三角関係的友情的親愛_10

「……おはよ」
「……はよ」

いつものように騒がしい教室の中で、二人の間だけに沈黙が流れる。

「……朝、どうしたの。何か用事?」
「まぁ、ちょっと」
「俺の思ってること言っていい?」
一瞬、目をあげた御影は、好きにすれば、と言ってまたすぐ机に視線を戻した。
避けてるのか?とか、本当はこんなつもりじゃなかったとか、ごめんとか、色々言いたい事が出てきて、悠樹は口を開きかけた。しかし、
「……やっぱいい」
どんな言葉も自分の気持ちを無責任に押し付けて、一刻も早く楽になりたいだけの怠惰と臆病ゆえのものに思えて、結局それらは喉の奥に飲み込まれた。
チャイムが鳴り、クラスメイトが席に着き始める。帰りは一緒に奈津のとこ行こうな、と声をかけたが、うつむいた御影からの返答はなかった。

「瀬野!頼むノート見して!」
「またかよ、今回こそはジュースおごってもらうからな!」
「わかったわかった!マジ最高!神様仏様御影様!」
クラスメイトにはあんな対応するのに、幼馴染の俺にはこれかよ、と考えかけてその原因を作ったのは自分だということを思い出した。
あー本当、なんでこんな風になったんだろうか。ずるずると椅子にもたれかかる。木の角が薄手のシャツを通し、身をへこませるのがわかった。


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