三角関係的友情的親愛_8

そんなつもりはなかった、いやあったんだけど、でもそういうことじゃなくて、俺はただ御影のためにと思って言ったのであって、まさかそんな本気の感じにとられるとは思わないし、それに御影からしてみれば味方かと思ったらあっさり裏切られたってことだろ?残酷にも程がある。

先日のまさかの告白、そして成就(と呼んでいいものか)の後から、俺たちの関係性は明らかに変化を迎えた。そりゃそうだよな。

あの後、最初に沈黙を破ったのは御影だった。
「あれ、奈津も、悠樹も、両想いだったんだ」
「……」
「おめでとう!よかったな奈津!」
「……うん、まだちょっと信じられないや」
じんわりと幸せのにじむ声の奈津と、真意の読みとれない明るい声の御影。否、読み取れないのではなく、俺がそうしたくなかっただけだ。今の御影の気持ちなど想像したら、自分がどんなに酷いことをしたのかという自己嫌悪で叫び出しそうになってしまうだろう。
悠樹は顔が上げられなかった。

「……悠樹もおめでとう」
「……え、あ、あぁ。」
「それじゃ、また」
「悠くんまた明日ねー」
手を振り、いつものように別れた二人のことをやはり正視できないまま、俺は家に帰り、次の日は学校を休んだ。知恵熱少々、後ろめたさとどんな顔して会えばいいのかという気持ちからのズル休み8割。そのまま週末を迎え、今に至る。

「……最悪」
自分への気持ちか、はたまたこの現状へ向けたのか、どちらともとれる言葉は蛍光灯に照らされた天井へ消えていった。


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