三角関係的友情的親愛_1

「……皆さんも高校三年生になり、そろそろ進路を真剣に決める頃でしょうが、自分の後悔しないようによく考えて……」
木曜の午後、退屈なLHRの終了。
例年に比べて早咲きだった桜は風が吹くたびに無抵抗に散り、地面をピンクに染めてゆく。新緑の季節というにはまだ少し肌寒い。

「悠樹、一緒に帰ろうぜ!」
顔をあげると、見飽きた顔が笑顔でこちらを見ていた。
「言われなくても帰るっての」
真新しい教科書の詰まった重い鞄を持ち上げ、やけに機嫌のいい友人と階段を下りる。うきうきオーラが伝わってくる、こんな日にはアイツも一緒に帰る証だ。

「ありがたいんだけど……御影くん、毎回教室までこなくてもいいって言ってるのに…」
俺たちの間に挟まれて、困ったような顔で言うのは、一つ年下の萩原奈津。去年の入学時にはぶかぶかだった制服もすっかり体に合い、まだまだ成長期のようだ。もっとも、元が小柄だったというのもあるが。
「何言ってるんだ、奈津が悪い奴にさらわれたらどうするんだよ」
くそ真面目な顔で言い切るのは俺と同い年の瀬野御影だ。相変わらずの溺愛っぷりに寒気が…いやいや、なんでもねぇ。
「悠くんも御影くんに何か言ってよー」
「御影は頭のネジが足りないからな。100本くらい刺してやれば直るぞ」
「そっかぁ」
「待てよ!奈津も納得するなって!」
……そんな二人に、俺こと間宮悠樹を加えて、腐れ縁な幼なじみの出来上がりだ。
俺と奈津と御影は保育園からの友達で、どういうことか小中高と同じ学校に通い、今に至る。これだけ長くいれば飽きるものだが、互いに全く気を遣う必要のない気楽さに甘えて、登下校や休日など、暇さえあれば三人一緒に過ごしている。


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