meetmee_3


「俺もう書いとくわ」
一足先に着替え終わった先輩は、ファイルを開きシフト希望を書いていた。
「あー俺も俺も、忘れないうちに」
急いで靴ひもを結び、ロッカーの扉を閉める。

「出勤ー、出勤ー、出勤ー……」
「いや何連勤するんですか」
「そして休み!木島も休み!」
「ちょ、勝手に書かないでくださいよ!」
慌てて先輩の手を抑える。

「この日が何の日か見てみなさい」
「何って、土曜っすよね」
違う!とでも言うように険しい表情をする先輩。
「2月14日、バレンタインデーでしょうが」
ああー、そんな日もあったっけな。いやはや、自分に縁がないイベントすぎて忘れてた。まったく、冬はただでさえ寒いのにこうして独り身の孤独さまで容赦なく突き刺してくるのだから辛い。

「カップル見るの嫌だから休むんですか?」
「お前ってやつは……」
「?」
「……いや、そう、そうなんだよ、外にも一歩も出たくなくてさ」
「なーんだ!俺もその気持ち分かりますよ!」
「でも1人でいるのもなんか寂しいしつまんないだろ?」
「うんうん、そうですよね」
「だから木島も俺も休みにして、遊ぼうぜ!」
「いいですね!」


「7階のレストラン、アニバーサリープランで予約したから!」
そんな先輩からのメッセージで、バレンタインデートの約束を取り付けられていたと、やっと気付いたのは、それから数週間後のことだった。



200116

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