psi fantasy_2


沼に棲む下級魔物はそんなに足が速くない。
草むらを走り、洞窟の近くまで行ったところで追跡は無くなった。

「はぁ……はぁ……」
体力は残りわずか。思わず岩にもたれかかる。
「でもマップ的にはそろそろ着きそうだし、なんとかいけそうか」

プレイヤーがマップの確認をしている間、息を整えていると、目の前に大きな影。
「……ぁ、終わった」
ここら一帯の穢れの主、噂でしかきいたことなかった中級魔人が俺の前に立っている。
って、出会うのはもっと先なんじゃなかったっけ?

「ここは裏道だ、普通の者は入ってこない」
俺の心を読んだかのように言う。
全身黒い布で覆い隠され、声だけが降ってくるのが不気味だ。

「魔物から逃げていたら偶然……」
「我の棲家を荒らしたな」

やばい、これ怒ってる。

「俺、ここで殺されますか」
「致し方あるまい。」
「そんな……」

嫌だ。ここで終わったら、最初の村に戻ってしまう。またひたすら宝箱を探し、マップや装備を1つずつ集めていく日々だ。……セーブポイント少なすぎるんだよなこのゲームは!

魔人の手がこちらにのばされる。
どうせ正規にないステージだ、こっちだってチュートリアルにないことくらいやってやる。最後の悪あがきだ。


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