Jeanne d`Arc | ナノ



001


「今日も無駄にいい天気!」


燦々と煌めく太陽を眺め小さく私はため息をついた。
私、ノアル・エリアーデは今ナブルスを出て少し進んだとこにある人参畑にいる。
勿論、今日のご飯を手にいれるためだ。
…とある事情で住むところがない私はナブルスの貧困街で毎日暮らしている。

―生活は最悪だ。

お金がないから物は買えない、家もないし身体を洗うこともできない。
ナブルスは市場で栄える一方、下に降りると貧困層の住人がいて…治安も悪いし、同じウィンドルとは思えない。
でも、これが現実なんだ。

私はお金もないし盗みは絶対しないと決めている。
最近、野生の人参畑を発見して直々そこから貰っている。
別に売り捌くわけじゃない、必要な分を貰うだけなんだから構わないよね…って
言い聞かせて、三本抜いた。


「…よし」


他にする事もないから私はさっききた道を引き返す事に…したいんだけど。


「どいて…くれません?」

「キュイ」

「む…」


退いてくれないなら強行突破!
私は人参を置いて後ろに抱えている斧を取った。
この道は人参畑だって、もう少し歩けば別の野菜とかあるけどあまり知られていない。
なぜなら、魔物が出るからなのだ。


「ええいっ爆砕陣!」


私が思いきり斧を振り下ろした、がむこうも伊達に魔物やってないってことね!
あっさり避けると足を振り回した。

お、っと

少し掠ったが気にしない。
私はすかさず背後に回ると思い切り斧を振り上げた。


「蒼牙刃!」

「きゅいいっ」

「やった!この私を倒そうなんて全然!まだまだって事ね!」


無事魔物も倒したし、私は斧をしまうと下に置いた人参を…


「きゃあああああっっっ!?!?私としたことがああああっっ」


やってしまった。
人参は無惨にも粉々に飛び散っていた。
私が踏んだのか魔物が踏んだのか攻撃した時に当たっちゃったのか。多分一番最後。

「うう…私の三日分の食料が…」


取りたい感もあるが私のせいなんだから仕方ない。必要以上は取っちゃ駄目だと思うから。


「まあ仕方ないか…多少食べなくても……だ、大丈夫だ、問題ない」


仕方なしに私はトボトボ来た道を帰る事にした。


***

―ポジティブにいこー!


ノアル:あーあ、なんの為にここまできたんだか。
私のご飯がー人参がー

…まあ仕方ないよね、諦めよう。
もしかしたら途中の道で良いものが手に入るかもしれないし!

うんうん、ポジティブにいこー!

(ぐぅ…)

……ううっ


***



「泥棒だ!俺んちの林檎を盗みやがった!」

「泥棒!?」


ナブルスに戻ると八百屋のおじさんの怒鳴り声が聞こえた。
八百屋のおじさんはただでさえ顔が怖いのに怒ってるから尚更怖い。
盗んだ人勇気あるなー。

と思いながらも困っている人は放っておけない症なのです。


「くそっ、黒髪のガキが…貧困街のガキが盗みやがって…!」

「貧困街…ね」


ナブルスは市場として有名だがその一方で下には貧困街、と呼ばれる場所がある。
意味はそのまんま。
私みたいに住む場所がない人がそれなりに住んでる。…っても路上だけどね。
多分、ナブルスに普通に住んでる人達に取っては私たちは厄介者でしかないんだと思う。
汚い、とかイメージが下がる、とか。
私が市場街を歩くだけで…ほらあっちでひそひそこっちでひそひそ。
流石にもう慣れてるのでそこを突っ切って私は「貧困街」へ向かった。
黒髪のガキなら心当たりがある。



「あの…少女……」



***

―リンゴ


ノアル:リンゴってほんと美味しいよねえ!普通に食べても美味しいしアップルグミ
とかアップルパイとか…!

じゅるり

…っていかんいかん、そんな事考えてたら尚更お腹空いちゃうよ!

…はあ。昔は、食べたいと思ったら直ぐに食べれたのにな…

***



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モドル