Jeanne d`Arc | ナノ



008


騎士学校の制服をきた少年がマリクに近づいてきたから、先に外に出てろと言われ私は言われた通りに外に出た。


「凄い…」


これがバロニア…。
回り見ても大きな建物が沢山だったり、向こうにもお城が…あれ?


「リチャード…?」

「!?」


お城の方向をみると柱の後ろに、リチャードっぽい男の子と…後男の子一人に女の子二人。

何してるのかな?かくれんぼ?
…ってあ、リチャードはもう私のこと覚えてないかな。
会ったの凄い前だし。

それに私は…ほんとは…。


「え…ノアル…?」

「わああっそ、それは勘違いじゃないのか?」

「うわっ!?」


リチャードっぽい少年が何か言おうとするのをもう一人の少年がいきなり前に出てきて遮った。
突然出てきたので少しビビる。


「え…でも似てる気が…」

「待たせたな。…ん?」

「あ、マリク!」


私が少年達と話していたら後ろから用事が終わったらしいマリクがやってきた。

マリクはリチャード…っぽい少年を見ると顔をしかめた。
少年の方もなんとも言えない顔をすると、俯き、帽子で顔を隠した。


「こんにちは!」

「元気のいい子どもだな。こんにちは、そこの君…名はなんという?」

「タイガーフェスティバルです!」

「アスベルっ!」


アスベル、と呼ばれた少年が言った名前に私とマリクは目を合わせた。
タイガーフェスティバル…って何よその名前…。


「…妙な名前だな」

「兄貴は人一倍照れ屋なんです!」

「なので、緊張してちゃんと立てないんです!すみません!」


アスベルが言うと、それをフォローするように後ろのピンク髪の少女がお辞儀をしながら言った。
紫髪ツインテの女の子も真似して頭を下げる。


「緊張してって…」

「なるほど…そういう事か」

「え、マリク納得しちゃうの?」

「そうそう!俺たちそんな兄貴が心配で付いてきちゃったんです!」

「……君はいいご兄弟に恵まれたのだな。ご兄弟のためにも心を強く持て。よろしいか?」


マリクはそう言うと、笑った。
リチャー…じゃなくてタイガーフェスティバルさんは帽子を押さえながら小さく頷た。
それを確認したマリクは小さく彼に何かを言うと私の手を取った。


「わっ」

「それでは私はこれで。ノアル、行くぞ」

「う、うん。じゃあね、タイガーフェスティバル君、アスベル君」

「お、おう!またな!」

「あ、ノアル…」


私は半分強引にマリクに連れていかれ、その場を後にした。
…タイガーフェスティバル君が何かを言おうとしていたが、それを確認することは、できなかった。



***

―リチャード


ノアル:やっぱり似てるんだよねえ…
タイガーフェスティバル君リチャードに。

マリク:ん…ノアルはリチャード殿下とは知り合いなのか?

ノアル:うん。昔は一緒に遊んだ事もあるんだけど…。

マリク:昔…?(ナブルスの貧困街の少女が、殿下に会ったことが…しかも呼び捨てに…)

ノアル:うーん、やっぱりもう一度確認に

マリク:やめておけ、オレたちは大翠緑石を見に来たんだろ?

ノアル:そっか!そうだねー!
それに私みたいなのがもう会えるわけないし…行こう行こう!

マリク:ああ…。
…この少女は…一体…。

***


「うわあ凄い!グレルサイドは第二の都とは言うけどそことは比べ物にならないよ…」


周りを見回すと、お洒落な家とか、大きな建物とか沢山!
さっきから何度も立ち止まってるけどマリクは文句も言わずに付き合ってくれている。


「グレルサイド?行った事があるのか?」

「あ、うん…まあ、ね。住んでいたっていうか」

「住んでいた?そうなのか…」


ということは元は普通の家庭…いやもしかしたら貴族で、でも何かが原因で住めなくなりナブルスに移った、ということなのか。

それなら納得がいく。

食事方法や服の着方を知っていること。
もし、貴族なら殿下と知り合いだというのもまあ…わからなくもない。


「マリク、どうしたの?」


どうやらオレは暫く立ち止まってしまっていたようだ。
戻ってきたノアルに顔を覗きこまれハッと我に帰った。
…わざわざオレが過去を詮索する必要はない。
小さな頭をくしゃくしゃと撫でるとなんでもないと答えた。


「ふーん…そっか。あ、ねえ、もしかしてさっきから見えてるあれって大翠緑石?」

「そうだな。直ぐに実物が見れるぞ」

「ほんと?やった!」


私がそう答えるとマリクは頷き笑った。

…マリクが聞きたい事はなんとなく分かる。
でも、もしそれを話してマリクは信じてくれる?
同情されるくらいなら言わない方がマシな気がして…。
モヤモヤとした気持ちを無理矢理押し出すと私は少し大股で歩き出した。





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モドル