「ちょっと、昴さん!」タオルだけを体に巻きつけて、昴さんを探す。今まで気が付かなかった方が不思議だ。昴さんはキッチンで料理をしていて、私の姿を見て「おや・・・」と言った。「どうしたんですか」コンロの火を止めて体ごと私のほうを向く。「どうしたんですか、じゃないわよ。もう、これ、痕つけたでしょ」そう言って首筋の鬱血痕を指差す。昨日昴さんにつけられたものに違いない。幸い今日はタートルネックを着たので誰にも気が付かれなかったが、もしブラウスなどを着ていたらどうするんだ。一瞬で噂の的にされるぞ。

「落ち着いてください。花子さん。今の格好わかっていますか?」「わかって・・・ひゃあ!やめてよ!」片手を肩に置いた昴さんがもう片方の手で胸元のタオルを引っ張る。慌てて胸元を押さえると、腰に手を回した昴さんが太腿からお尻までのラインを直になぞる。
「や、やあっ・・・」羞恥心に顔が熱くなる。目も潤んでいるかもしれない。ぼやけた視界で昴さんを見つめると、昴さんは私の腰を引く。「風邪を引かないうちに、お風呂に入ってしまいましょう」何も返答を返せないまま私は脱衣所まで引き返す羽目になった。

「どれ・・・見せてください」
脱衣所に入ってドアを閉めた昴さんが背後から私を抱き寄せ、髪をよけて首筋を覗き込んだ。「ん・・・?どこだろう」さらさらと首筋を撫でられて擽ったい。「ん・・・っ」擽ったさに身を捩るが昴さんの手は止まらない。絶対わざとだ。「昴さん・・・っ、やめてよ」「一応確認はしなければ」そう言う昴さんは片腕で私を抱きこんだままもう片方の手で体を撫で回す。「よく見えませんね」「あっ、ちょっ、」体に巻いているタオルに手を伸ばされ、私は必死に前を押さえるが適うはずない。奪われたタオルは背後のチェストの上に投げ飛ばされてしまった。「あ・・・ううぅ・・・」目の前の洗面台の鏡で確認したがどう頑張っても届きそうにない。「ああ、丁度良いところに鏡がありましたね。前からと後ろからとでしっかり確認できそうですね」くつくつと笑いながら、耳元で囁かれた。腰にくるような低音で。思わず赤くなってしまった顔を見たくなくて鏡から目を逸らすと、今だとばかりに胸を鷲掴まれた。「きゃっ」驚いて悲鳴を上げるとすかさず耳を甘噛みされた。

「ちょ・・・ちょっと、昴さん、何するんですか」

「だから言っているでしょう。痕を探すんですよ」

背後を覗き込むようにして振り返ると、次いでとばかりに唇に口付けられた。「んむ・・・」口内に舌が侵入ってきて、無理な体勢なまま蹂躙される。「ん・・・んむっ」息もし辛いし唾液を飲み込みきれない。つつ・・・と唾液が零れるのを感じた。「ふっ・・・!」とうとう息が苦しくなって昴さんの体を二・三叩くと、そこで漸く離してもらえた。大きく息を吸い込む。「はあっ・・・あん!!」息を吸い込んでいる途中で胸を弄られて、折角吸い込んだ息を吐き出してしまった。「あっ、昴さん・・・!そこ、関係ないでしょ」指の腹で優しくくりくりと愛撫する昴さんに抗議の声を上げたが、効果はないようだった。「ほら、花子さんも一緒に探してください」意地悪にも目の前の鏡を見るように促しただけだった。ちらりと鏡を見やれば、昴さんの手によって胸を揉みしだかれている自分の姿が目に入る。うわ、なにこれすごい恥ずかしい・・・みるみるうちに自分の顔が赤くなった。鏡の中の昴さんと目が合って、「ふふ、可愛いですよ、花子さん」と首筋に軽く口付けた。鏡の中の私はまるで茹蛸のようになっている。

「ところで花子さん・・・痕がどんなものだか今一良くわからないので、ここでやってみても良いですか?」「はあ、何言って・・・!」私の返事を聞く前に、素早く背後のチェストに押し付けられた。振り回されて何がなんだか分からなかった。「見えないところにつけるのであれば問題はないんですよね」正面から向き合う形になった昴さん問われるが、その問いは問いになっていない。やはり返事を聞く気がない昴さんは私の胸を寄せてその谷間に顔を埋める。そしてべろりと一舐めすると、強く吸った。指は頂を優しく撫でている。「痛っ、あっ、んん・・・!」びりびりとした快楽に体が痺れる。膝に力が入らなくなって背後のチェストに両腕を付くと、自ら胸をさらけ出しているようになってしまって余計に恥ずかしかった。震える私に気が付いているのかいないのか、昴さんはちゅ、とリップ音を鳴らして離れていった。「ほう、これですか」胸の谷間、左胸の辺りにつけられたその痕を指でなぞって、昴さんは言う。「これは酷い鬱血ですね。痛々しい」自分でやったんだからねそれ。突っ込みの言葉は飲み込んで、代わりに溜息を吐いた。

「おや・・・?」

何かに気が付いたらしい昴さんが考える素振りを見せて、それから下に手を伸ばした。

「あっ!ひゃあ!」

「こんなに濡らして・・・辛かったですね」

内股に伝った愛液を指で掬い、そのまま割れ目をなぞる。欲しかった快楽を与えられて私の体はふるふると震えた。でも、まだだ、本当はもっとすごいのが欲しい。・・・だがしかし、場所が場所だ。憚られる。

「収めないと、辛いままではよくないですよ」

しかし昴さんはここでする気だ。カチャカチャとベルトを外して自身を取り出す。「ほら、自分の為なんですから、私も気持ちよくさせてください」そろりと手を伸ばして昴さんのそれを優しくなでると、ピクリと反応して徐々に硬くなる。握って上下にしごけば、直ぐに膨張して硬くなった。

「もうそんなになっているのなら、十分ですよね」

不敵に笑んだ昴さんに、まるで体中の血液が沸騰したように熱くなる。あながちそれは間違いではなかったのかもしれない。昴さんの顔を見れなくて、ふと視線を外すと、向こう側に見える鏡に真っ赤な顔で狼狽した様子の自分が写っていたものだから。
その姿を見てしまって余計にうろたえた私に、間髪入れず昴さんは熱を突き立てた。「あぅ!」「くぅ・・・っ」思わず昴さんの肩にしがみつくと、耳元で苦しそうな吐息だけが聞こえた。「はぁ・・・!」一度呼吸を整えて、行為は進む。ゆるゆると奥まで挿入され、ぴったりと体が密着すると、大きな手で頭を撫でられた。

「今日はまたすごい締め付けですね・・・一度力を抜いてください」

「そんな事・・・っ、言われたって!」

搾り出した私の声は震えていて泣きそうだった。大きく呼吸を繰り返し、昴さんの背中に両手を回してしがみつく。シャツがしっとりと暖かく湿っていて、汗をかいているようだった。彼もまた、私と同じように限界なのだろう。まだ、挿れただけだっていうのに。
暫く深呼吸して私の呼吸が落ち着いてきた頃、ゆるゆると昴さんは腰を動かし始めた。いやらしい水音が狭い部屋に響く。ゆっくりとした律動のお陰か、私は大きな嬌声を上げずにすんでいるが、そのお陰でいつもよりこの耳は多くの音を拾う。
お互いの熱い吐息、響く水音、私が寄りかかっているチェストが時折立てるゴト・・・という音。少しだけ余裕があるからか、熱を持って汗ばんだ昴さんの肌や、血液が沸騰しているんじゃないかと思うほどに火照る自分の体、熱に浮かされたような頬の感覚が良くわかる。まるで体中が性感帯になってしまったかのように、私は五感全てで昴さんを感じた。
ふと、背後のチェストに両手をついていた昴さんが私の腰を掴む。昴さんに余裕が出てきたのか、少しペースを上げるようだ。緩急をつけて出し入れされる感覚に私は小さく喘いだ。ゆるゆると出て行ったかと思えば、性急に突き上げる。肌のぶつかる音がする。そして時折中をかき回される。内壁をこりこりと擦っていくそれに私は震え、突き上げられる度に喘いだ。
既に私のイイ所を熟知している昴さんは、そこを攻める事も忘れてはおらず、悪戯にそこを攻めては私に口付けをし、嬌声は全て飲み込まれた。

「んっ、・・・んっ・・・・・・、はぁっ、」

ああ、本当に熱に浮かされているのかもしれない。思考がどんどんぼやけていく。目の前の快楽にしか集中できない・・・。辛そうな顔の昴さんの唇に自分から吸い付いて、もっとと強請る。中で一層膨張したそれに意識を集中させていると、律動が早められ、とうとう私は思考を放棄した。

「あっ、あっ、あっ、だめっ・・・・!もうっ」

「ン、はあっ、は・・・一緒に、イきましょう」

「んっ!!あっ、昴さっ・・・あああああ!!」

果てた直後、昴さんは「クッ・・・花子さん!」と呻いて私の中から自身を引き出し、その欲を吐き出したのだった。


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