「んっ・・・ぁ、あっ・・・」自分の厭らしい声で目が覚めた。
体は熱を持っており、疼くそこは湿り気を帯びている。布団の中では何者かが私の体を蹂躙しており、絶えず口からは吐息と嬌声が漏れる。
何者かが、とは言ったが、こんな事をするのは一人しか居ない。――昴さんだ。

「あっ、や、昴さっ・・・?やめて・・・っ」

「ああ、起こしてしまいましたか」

絶対分かっててやってるよねこの人。顔を出した昴さんを恨みがましく見つめると、彼は私の隣に横になって体を抱き寄せた。素肌に触れる逞しい腕に心が疼いた。


工藤邸に仮住まいし始めて約一週間が経った。有希子さんに一部屋空いているから自由に使ってねと客室にしていたらしい部屋を私が借り、昴さんは書斎で寝泊りをすると言って旦那さんの書斎を借りることになった。・・・・・・のだが。昴さんは時々夜中に私の部屋に訪れてはこうして求めてくる。大体の場合私が断れない状態に持って行ってから耳元で「いいですよね」と囁いてくるものだからたちが悪い。寄せられた唇に自ら口付けをすれば、それが合意の合図。
いとも簡単に口内に侵入してきた舌に絡めとられて吸われれば、簡単に私は絆されてしまう。唇を離せば交じり合ったお互いの唾液が糸を引いた。そして鼻先を掠めるクセのあるアルコール臭。酔ってる、この人。「余所事を考える余裕があるとは、恐れ入りますね」不敵な笑みを見せた昴さんに嫌な予感を覚えると、突然走った甘い痺れに思わず声を上げて昴さんの肩にしがみついた。

「あまり大きな声を上げたら、ご近所に聞こえてしまいますよ」

「あっ・・・だって、・・・・・・んん!」

いつか哀ちゃんに言われた言葉を思い出して、顔に血が上った。と言うか、誰の所為だと思ってるのよ・・・!

「耐えてる顔も良いですね・・・ほら、私のも触ってみてください」

手を引かれて行き着いたそこは既に膨張して硬くなっていた。優しく握ってしごき上げれば昴さんの口から辛そうな声と吐息が漏れる。その吐息のなんと色っぽいこと!そのまま強弱をつけて扱き続けると、不意ににゅるんと一番敏感な場所を擽られて思わず口に手を当てた。それでも漏れる声に、昴さんは喉の奥で笑う。

「ほら、集中してください」

それはどちらに対しての集中か。
睾丸を優しく撫で上げると、昴さんはびくりと肩を揺らして「くっ・・・!」と声を漏らして
眉を潜めた。

「あら、集中してないのはお互い様だったみたいね?」

そう笑ってみせると、サイドボードに置いていたらしいコンドームの袋を手に取って封を切った昴さんが「望むところですね」と不敵に笑った。
ああ、この人がこの顔をする時は大抵私は負けるのだ。覚悟を決めた私は、すぐに訪れるであろう大きな快楽に備えて口元を手の甲で押さえた。



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