それは私にとって苦渋の決断だった。
不死鳥の騎士団での会議の時のこと。ダンブルドアは自らが気にかけている一人の少女の名前を口に出した。

「あー、それからセブルス、花子のことなのじゃが」

ここでその名前が出る事は予想できていた。私は気を落ち着かせ、シュミレーション通りの受け答えをする。

「彼女なら問題ありません。このまま私が面倒を見ていきましょう」

「しかし・・・そうもいかんのじゃ。セブルス、君も判っておるじゃろう?来年度は闇の魔術に対する防衛術の教科において、魔法省のドローレス・アンブリッジが就任する事になってしまった。このまま君の部屋に花子を閉じ込めておくのも良い手じゃが、そのままでは君がうまく立ち回れんかもしれん」

「そもそもセブルス、彼女をそこまでして匿う理由って一体何なんだい?」

ダンブルドアの言葉に続いたのはルーピンだった。「聞いたよ。三大魔法学校対抗試合の時からずっと君の部屋に花子を閉じ込めているんだろ?そんなに閉じ込めておきたいのならこの本部で匿えばいいんじゃないかな」ルーピンの隣でブラックがしかめっ面をした。「お前の部屋に閉じ込められて性格が陰険根暗になっていなければいいがね」
私はブラックの言葉を無視して極力奴の顔が視界に入らないように努めてダンブルドアに向き直る。

「独自の判断ですが、彼女の存在は隠した方が良いかと。我々が彼女の事を気にかけているとわかれば、あの女は彼女に何か危害を加えるでしょう・・・しかし、このような場所に花子を一人で置いておくわけにはいきません。よっぽどホグワーツにいさせた方が安心ですな」

「それは酷い言い様だな」と噛み付くブラックをさらに無視して「我輩の目の届く所に置いておいた方が、花子も安心すると思いますが?」と続けると、「うーむ」ダンブルドアは豊かに蓄えた髭をなでて眉尻を下げた。「そうじゃな、彼女が一番信頼しているのはどうやらセブルスのようじゃし・・・その方が彼女にとっても良い事なのかもしれんの」私は心中でほっとしながら紅茶を啜った。

「わしらは未だに七市野家の隠し事を知らないままなのじゃが、セブルスが守人になっているとしたら、これはわしらが知らなくても良い事なのかもしれん」

「そうですな。彼女は誰にとってもただの普通の小娘です。我々はハリー・ポッターの事だけを最優先していれば良いと思いますがね」

含み笑いをしたダンブルドアに噛み付きそうになりながらもそう言うと、ルーピンとブラックから非難めいた視線が飛んできた。
彼女の事を知っているのは私だけでいいし、彼女は誰の守りも必要とはしていない。彼女を守りたいと思うのは我々のエゴであって、彼女を愛したいと思うのは私の願いであった。

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