ああ・・・もう何もする事が無いよ・・・。
最近先生方はセブルスも含めてみんな作戦会議?をするのに必死で、わたしは不死鳥の騎士団にも連れて行ってもらえていなかった。フルーパウダーの使用はセブルスに禁止されてしまったし、一人で行こうにも行き方がわからない。それにマクゴナガルには自分の行動を報告しなければならないのに、マクゴナガルがどうやっても捕まらない。これはわざとか・・・!とわたしが思いはじめた頃、ようやくセブルスが帰ってきた。

「お帰りなさい。今日はもう用事は?」

「ああ、ただいま。・・・今の所はない。しいて言うなら残りの分の論文を書いてしまいたいくらいだ」

「そうなの?セブルスがここにいるのならそれでいいわ。わたし、退屈で死にそうだったの」

セブルスに駆け寄って行くと、彼はわたしの頭に手を置いて薄く笑んだ。

「こんな生活を続けていたらわたしきっとハーマイオニーよりも頭が良くなっちゃうわ」

「それは良い事だ。その調子でがんばりたまえ」

セブルスはわたしの手を引くとゆったりとソファに腰掛けて魔法でティーセットを出した。ティーカップに紅茶を注ぐと、いい香りがして、気分がもっと軽くなった。「わたしセブルスの紅茶好きよ」「そうか」セブルスはわたしに習って紅茶を一口飲むと、深く息を吐いて背もたれにもたれかかった。
ムーニーみたいな顔をしているセブルスが少し心配になって、「少し休んだ方が良いんじゃない、セブルス?最近鏡で自分の顔を見た?」と言うと、「いや・・・」セブルスは少し口ごもって言い直した。「そうだな、少し休むとしよう」
立ち上がりかけたセブルスを制して、わたしは「よければわたしの肩か膝をお貸しするけど」と提案すると、セブルスは顔を少しだけ赤くして口元に手をやった。そしてもごもごと何か呟いた。

「・・・では、少し失礼するとしよう」

セブルスはソファに深く座ったままの状態でわたしの肩に頭を預けると、深く息を吐いて動かなくなった。首筋と頬に当たるセブルスの髪がくすぐったい。しばらくすると規則正しい寝息が聞こえてきて、セブルスが眠ったのだとわかった。こんなに早く眠りに落ちるなんて、相当疲れていたのね。わたしはセブルスを起こさないように慎重に彼の頭と体を支えながら自分の膝の上に頭を落ち着かせると、さっき呼び寄せた本を開いて読書を始めた。わたしがページを捲る紙の音とセブルスの寝息しか聞こえない静かな空間だったけれど、わたしは彼が今ここにいる幸せを噛みしめていた。


ああ、どうやら眠ってしまったようだ。本の間に挟んだ指を引き抜いてローテーブルに本を戻し、膝の重みを思い出した。そう言えばセブルスに膝を貸したのだった。目の前の艶やかな黒髪を撫でると、スブルスは軽く身じろぎをして目を覚ました。

「おはよう、セブルス」

「・・・・・・・・・ああ」

セブルスは一度ぼんやりとしてから返事を返すと状況を確認するように目をぐるりと回した。それから「・・・・・・!」がばっと飛び起きてわたしの顔を見た。

「すまない、私はいつの間にか膝を借りてしまっていたようだ」

「違うわセブルス。わたしがそうしたのよ」

セブルスはまだ何か言いたそうにしていたけれど、唇をきゅっと結んで何も言わなかった。代わりにわたしの頭に手をやってそっと抱きしめた。

「花子、大事な話をしておこう」

そのままの状態でセブルスはわたしの耳元で囁いた。

「来年度、魔法省のドローレス・アンブリッジが闇の魔術に対する防衛術の教授に就任することが決まった。このホグワーツは監視されるだろう。私ももちろん監視下に入る事になる・・・。もう君とはこうして一緒にいる事は出来なくなるかもしれない。今のうちに君の存在を隠してずっとここにいさせたいと思うが、今、君は勉強をしなければならない。私の苦渋の決断をどうか許してくれ」

セブルスは最後に強くわたしを抱きしめた。セブルスの言いたい事はわかる。だけど、彼の苦渋の決断はわたしにとっても苦渋の決断だった。来年度、彼と一緒にいる事ができなくなる。わたしは抱きしめた彼の服を離したくなかった。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -