三大魔法学校対抗対抗試合も終わりに近づいて一番盛り上がっている頃、わたしは人知れずセブルスの自室に閉じこもっていた。というか、閉じ込められていた。表向きには心労が祟って医務室に入院中で面会謝絶という事になっているけれど、アルバスとセブルスが考えた事だったようだ。この対抗試合はヴォルデモートがハリーの命を狙うためだけに仕組まれたものだ。わたしは対抗試合が始まってすぐに、セブルスから真実を伝えられていた。どうして彼がそんなことを知っているのか、わたしは詳しく聞かなかったけれど、最後の試練の前にセブルスはわたしに「そろそろ君には全て知っていてもらいたい」と弱弱しく囁いた。

「これは私とダンブルドアしか知らないことだ。どうか、君と私だけの秘密にしておいて欲しい・・・。私は、闇のものとダンブルドアの間で暗躍する二重スパイなのだ」

わたしは一瞬耳を疑った。「え?それは、どういう・・・ことですか」緊張で声がかすれる。

「そのままの意味だ。闇の帝王に従っていると見せかけて、情報は全てダンブルドアに流している。君はまだ知らないと思うが、『不死鳥の騎士団』という闇の帝王に対抗するための組織があり、私はそこに所属しているのだ。花子にも、近いうちに所属してもらわねばならんかもしれない」

『不死鳥の騎士団』。それはムーニーから聞いたことがある。まあ、彼は「まあ、ハリーを守るための組織みたいなものかな」なんてふざけたことを言っていたけれど。
わたしは闇の魔術に対しては強い(というか効かない)のは確かだけれど、対抗するのは得意ではない。それに、守る事も知らない。セブルスや他の人が守る術を教えてくれたら、きっと誰もかも守ることが出来るのに、と思う。『不死鳥の騎士団』にわたしが入れば、ハリーやみんなを守ることができるのだろうか・・・?そういえば、わたしが闇の魔術を使えるのかどうかも怪しい。正直、やった事がないのでわからない。
わたしが不安そうな顔をしていたからか、セブルスは一度わたしの頭を優しく撫でると、もごもごと呟いた。

「確かに、私を含め騎士団の連中は命の危険にさらされながら任務を遂行している。マッド・アイ・ムーディも本当は騎士団のメンバーなのだが、今この学校にいるマッド・アイはポリジュース薬で変装した死食い人のバーテミアス・クラウチJrだ。私が死食い人の味方のふりをするために招き入れた・・・」

つらそうな顔をしながら、セブルスは上着を脱いで左腕の袖をまくると自分の腕を見せた。そこには、黒くおぞましい闇のしるしがあって、わたしは思わず息を呑んだ。セブルスは自分の体にこんなものを刻むほど命をかけてハリーを守ろうとしている・・・。わたしはセブルスの腕に指を這わせると、彼の顔を見上げた。つらそうだった表情はもっと悲痛なものに変わっていた。

「セブルス・・・」

彼が何を思ってハリーの事を守ろうとしているのかはわからない。でも、彼がそんなつらそうな顔をするのは見ていられないと思った。そして、わたしなんかにそんな秘密を教えてしまうなんて、と思った。自分のことは何一つ言わなかった事に罪悪感だけが押し寄せる。

「・・・・・・ああ、セブルス、わたしをゆるして・・・」

指を這わせたそこに小さく口を付けると、セブルスはびくりと体を揺らして目を見開いた。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -