「ただいまー・・・・・・!?」

「!!?」

家に帰ったら昴さんが女子高生を連れ込んでいた。


連れ込んでいたというか、その女子高生は最近顔見知りになったコナン君の居候先の娘さんだった。

「な、な、な・・・」

私は驚いて声も出ない。目の前で目を輝かせている少女は、もう一人の茶髪の少女に駆け寄ってひそひそと話し始めるが聞こえてるわよあなたたち。

「ねえ、聞いた園子!!ただいまだって・・・!」

「ええ、聞いたわよ蘭!!昴さんったらやっぱり女の人を連れ込んでいるのね・・・」

「同棲してるのかなあ・・・結婚前提のお付き合いとか!?」

「おはようのちゅーとか、行ってらっしゃいのちゅーとか・・・」

「きゃあー!!」

「・・・・・・ところで蘭、あの女の人と知り合い?」

「あ、そっか、園子はまだ会った事なかったっけ」

蘭ちゃんが思い出したようにそう言うと、漸く私の方にやってきて、「こんにちは!すみません・・・突然私たちがいてビックリしましたよね・・・。私たち、たまにこうしてこの家の掃除をしに来ているんです。この家、私の幼馴染の家で・・・住人が今帰って来れない状況なので・・・。えっと・・・花子さんでしたよね。私、毛利蘭っていいます。いつもコナン君がお世話になってます」と何事もなかったかのように挨拶してきたので、素直に毒気を抜かれた。しかも掃除をしてくれているだと・・・?

「ああ、蘭ちゃんね・・・。こちらこそコナン君にはいつも遊んでもらって」

挨拶を返しながら昴さんとコナン君の気配を探る。奥の部屋にいるのはわかってるのよこっちの気配に気が付いているのならさっさと出てきなさい・・・!

「それに掃除だなんて・・・知らなかったわ。ごめんなさいね。本来ならここをお借りしている私たちが掃除をするものなのに・・・」

「いいえ、いいんですよ!花子さんはいつもお仕事が終わるの遅くて、休みの日くらいしかこうして掃除することが出来ないって昴さんも言っていましたし、それにお二人がここに来る前から私定期的に掃除をしに来ていたので・・・」

何この子この家の新妻・・・!?
なんて甲斐甲斐しいのかしら・・・・・・。
っていうか、感動に浸っている場合ではない。とりあえずお茶を出した方がいいのかな。ここ私の家じゃないけど。そんな事を思って「詳しい話はお茶しながらしましょ!」と早歩きで奥に向かったら「おや・・・花子さん。おかえりなさい。今日は早かったんですね?」と言いながらやっと出てきた昴さんに捕まって女子高生の目の前で見せ付けるようにキスをされて本当に私の顔は怒りと羞恥で真っ赤になってしまった。あとで覚えてろよ赤井秀一・・・!


「すみません・・・少しやりすぎましたか?」

お茶の準備をしている間も昴さんは私にまとわりついてきていた。というか、二人羽織のように私の背後から抱きしめる形でくっついている昴さんが殆どお茶の準備をしているのだが。私は半分だけジャケットを脱がされてそれが肘のところで止まっているので両腕の自由が利かない。腕を真っ直ぐにすればジャケットも脱げるのだろうけど、ぴったりと昴さんが体をくっつけているために上手く行かない。皺ができちゃうから離して、と言ったけれど「ああ、丁度良かった。最近アイロンがけにハマっているんです」とはぐらかされた。いけしゃあしゃあと・・・!
準備が終わると昴さんは拘束を解いてジャケットを着せてくれたけど、「このあなたの格好もなかなか扇情的で大変そそりますが、未成年に見せてはいけませんね・・・。尤も、私以外に見せたくはありませんが・・・」と余計な言葉を一言も二言もつけてくれたのでグーで顔面を狙った。簡単に避けられたけれど。「やりすぎたと思ったのなら自重してよね」と言うので精一杯だった。


「蘭ちゃーん!お茶の用意が出来たから皆で来てね!昴さんがクッキーを焼いていたようだから、焼きたてのクッキーもあるわよ」

リビングから二階に向かって呼びかければ、すぐに返事が返ってきた。私の言葉を聞いた昴さんが慌ててキッチンに行きクッキーの準備をする。ふふん、匂いでわかっていたのよ。大方私に夢中で忘れていたのだろうけど、昴さんははじめから彼女たちにクッキーを振舞うつもりだったんでしょう。
程なくして昴さんが帰ってきて、そのすぐ後に蘭ちゃんたちがやってきた。「いただきまーす!」と声を揃えて各々紅茶やクッキーに手を伸ばす彼女らを見て、私も紅茶に手を伸ばす。

「あの・・・お二人の馴れ初めとかって聞いてもいいですか?」

わかってはいたけれど・・・やはり彼女らはこういう話が好きらしい・・・。蘭ちゃんと園子ちゃんに挟まれるようにして座っているコナン君が少し居心地悪そうにしている。蘭ちゃんの質問に答えたのは昴さんだった。「彼女とは同じ大学の友人だったんですよ」

「え?じゃあ大学で出会って今に至るんですか?」

「ええ・・・まあ、付き合うようになったのはつい最近なんですけどね」

「告白はどっちからなんですかー?」

「そうですね・・・少しずるいやり方だったかもしれませんが、それは私の方からです」

「ずるいやり方?」

「ええ・・・どうやら彼女の職場の人間が亡くなったようで・・・。彼女が落ち込んでいたので、そこに漬け込んで・・・と言うところでしょうか」

「ちょっと、そういうのは本人の前で言うものじゃないでしょう。まあ・・・実は私も昴さんの事ずっと好きで・・・」

あわせてみたけれどこれものすごく照れる。うわああ恥ずかしい!

「花子さん真っ赤になっちゃってる・・・かわいー!」

「クールなイメージしかなかったんですけど・・・昴さんが絡むと花子さんも乙女なんですねー!」

「彼女、案外照れ屋なんですよ。あまりからかわないであげてください」

「はーい」

フォローしてくれたのは嬉しいけど、それが逆効果になっている・・・!コナン君の頭の上で手を取り合う蘭ちゃんと園子ちゃんは「ラブラブだねー!」「理想のカップルってカンジ!」とはしゃいでいる。・・・こんなことならこんな時間に帰らなければ良かった・・・!
というか、彼女たちが掃除しに来てくれているという事を男衆は早く教えるべきだったし、必要なら私が帰宅時間を遅らせるだけで済んだのだからやっぱり早く教えるべきだったわ!!
チラリと昴さんを睨むと、してやったりと言うような笑みを一瞬見せてきたので本当覚えてろよ赤井秀一・・・!


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