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「ツナ、勉強不足だ。同じ学校の奴の情報くらい握っておけ。情報は先に掴んだモン勝ちだ。とはいえ、夏緒の親父の代になってからは威厳も何もない有様だがな」
「知らなくてもいい内部事情バラさないでください。それよりどういうつもりなんですか。身代金目的ならムリですよ。内部事情知ってるんでしょう?」
「ああ、隅から隅まで知りつくしてる」


嫌な赤ん坊だ。しかしようやく額の銃口が降ろされて私はそっと息をついた。私も護身用でカバンに拳銃やらドスやら忍ばせてはいるが、やはり扱うに気分のいいものではない。


「桐生組にイイ話を持ってきてやったぞ。ありがたく思いながらよーく聞けよ」
「はぁ……」
「落ちぶれ真っ逆さまの桐生組に第一段階として日本円で二億円の融資と人員五十人を貸し出してやる。どうだ? ヨダレが出るような話だろう?」


リボーンくんはニヤリと笑う。私はその言葉に息を詰まらせた。


「……赤ちゃんの言う話にしてはさっきから生々しい話だけど」
「ああ、なにせ本気の駆け引きだからな。何なら今お前の親父に電話して持ち掛けてやろーか。ツナ、携帯貸せ。5分待ってろ」


そう言って沢田くんから携帯を奪い取るとリボーンくんは離れた塀の上に場所を変えた。口元が動いているが何を話しているかまでは聞こえない。

リボーンくんのいないのをよしとして沢田くんのネクタイを強く引き寄せて今の数分のやり取りで胸につかえたものを吐き出すようにまくし立てた。

凄まじい剣幕でつかみ掛かられて沢田くんは情けない声を上げた。そのすくみ具合は学年を飛び越え学校中でダメツナと呼ばれるだけある。


「一体何なの沢田くん? いきなり拳銃突き付けられたり我が家の秘密をばらされたり、てゆーかあの赤ちゃん一体、」


一番肝心な部分を問う前に、獄寺くんが横から入ってきたかと思うと沢田くんのネクタイを掴んでいた手を思い切り払いのけられた。


「痛った!」


確かに私も乱暴だったけど、だからって女を本気で叩くか普通? 叩かれた部分が赤くなっている。威嚇という言葉がピッタリ、獄寺くんは睨みをきかせながら沢田くんを背中に隠した。


「獄寺くん女の子に何してんの! 女の子を叩いたりダイナマイト投げたりしちゃだめって言ってるだろ!」
「しかし十代目!」
「しかしじゃないの!」


ところがなぜか沢田くんを助けた獄寺くんが怒られ始まった。可哀相に、ああ言えばこう言い返されてそのしっぽがどんどん垂れて来るのがわかるようだ。

しばらく言い合って、というか一方的に獄寺くんが言われつづけ観念したのか、沢田くんに背中を押された獄寺くんが不満たっぷりの顔で「悪かった」と謝ってきた。


「きみ、全然悪いと思ってないよね」
「たりめーだろ」
「獄寺くん!」
「十代目! すみません! 以後気をつけます!」
「ははっ、獄寺相変わらずなのなー」


山本くんに笑われた獄寺くんは言い返したい様子なのを堪えてそっぽを向いた。きみは子供か。







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