3



そのうちリボーンくんが軽い身のこなしで沢田くんの肩に戻ってきた。ニヤニヤしながら私を見下ろしてくる。


「話はついたぜ。そのうちお前の親父から電話が来るだろ……ほら、出てみろよ。もちろん、オレたちに聞こえるようにスピーカーにしろよ」


しなかったら再び突き付けられた銃で脳天撃ち抜かれそうだったので従うことにした。電話は間違いなく私のお父さんからだ。


「もしも、」
『夏緒か! 聞いてくれ!』


浮かれた声で私の言葉を遮ったお父さんから出てきた言葉に私は目眩を感じた。

いわく、なんと我が家の財政難人材不足を聞き付けた他所の組が支援を申し出てくれた。細かい話は直接会ってからにしたいが、友好の証に今日中に人員5人と一千万を一切の見返りなく無償提供してくれると。手の早いことに、その5人と一千万は既に我が家に到着しているらしい。

そこまで聞いて私は大きな声を上げていた。単純というか、楽観的というか、つまり……、


「お父さんバカじゃないの! まさかその話受けたんじゃないでしょうね?!」
『弱きを助け、強きを挫く。我が組の古くからの教えに共感して下さったそうだぞ』
「バカ! 今すぐその人達とお金返して! タダより高いものはないんだから!!」


お人好しも過ぎると痛い目を見る。


「返さなくていーぞ。それはオレたちファミリーからの同盟と親愛の証、いわば結婚前の婚約指輪のようなモンだ」
『その声はリボーンさん! 夏緒と一緒だったんですね!』
「仲間も一緒だぞ。しかし、親父想いのいい娘じゃねーか。子はかすがい。オレ達の仲もぜひ保ってもらいたいモンだな」
『いや、全くです。夏緒、そちらの皆さんに失礼のないようにな』


今すぐにでも携帯を投げ出して踏み付けてやりたい気分だ。どう考えてもその無償提供のツケは私に回ってくる。というか、リボーンくんのセリフがいちいち赤ん坊の言うことじゃない。

リボーンくんはやはりニヤニヤして私を見下ろし、沢田くんは頭を抱えていた。

要するに、私にできることは腹をくくることしかできなさそうだ。いくら言っても我が桐生組の組長はお父さんだ。全てはお父さんが絶対だ。


「……お父さん、お父さんがそう決めるなら従う。でも最後に確認させて。本当に大丈夫? 後悔しない? 自分の命預けられるくらい信用できる組なの? ハッキリ言って、かなり怪しいんだけど」


私は目の前のリボーンくんを見ながら正直に言った。リボーンくんは気にした様子もなく意味ありげに笑うだけだ。

電話口からはお父さんの楽しげな笑い声。


『安心しろ夏緒。夏緒も聞いたことがあるだろう。今回援助を申し出てくれたのはイタリア最大手マフィア、ボンゴレファミリーの10代目、沢田さんだ!』


ああそう、ボンゴレの沢田くんなら今目の前に……。


「はぁ?! ボンゴレ?!」
『そうだぞ。あの、ボンゴレだ』
「ち、ちょっと待ってよ沢田って……沢田ってこの沢田くん?!」


見えるわけもないのに私は携帯に向かって気まずそうにしている沢田くんの顔を向けた。ついネクタイを掴んでしまうのは掴みやすい位置にいるのが悪い。

確かにボンゴレファミリーの名前は聞いたことがある。というよりこの世界にいて知らないわけがないくらい有名マフィアだ。

確かに10代目が若いということもささやかに噂され、何年か前には10代目の玉座を狙った内部抗争が起きたとも聞いている。

サワダ。流れ的にみても、実に気まずそうに視線を逸らす彼的にも間違いなく目の前の沢田くんだ。


『沢田さん! いらっしゃるんですか! いや、この度は大変な援助の申し出、誠に……』


お父さんの言葉は最後まで続くことがなかった。私の頭のなかで何かが切れた音と一緒に、ついに携帯を地面に投げつけてしまったからだ。

今更気づいてももう遅いんだろうけど、私はなんだかとんでもなく面倒でややこしい事態に巻き込まれ始めていた。逃げ道はない。リボーンくんの笑顔がそれを物語っていた。







-------------------


獄寺くんの嫁になりたい!!

そのうち続きかきます。

でもリング争奪戦までしかしらないや。記憶もあいまい。

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -