それはまるで戯曲のような
接触-1/2

一緒に登校するといっても、奇数では一人焙れるのは目に見えていた。

私が質問をして、鳴上さんが答える。
それを陽介くんが不機嫌そうに睨む。
鳴上さんの両親が転勤族なため、いろんな地方に引越しをしていたらしい。
今回は海外に転勤らしく、1年間だけ叔父の家に居候しているとか。

さすがに耐えきれなくなった陽介くんが、無理やり私達の間に割り込んできた。

「そういえば鳴上! この街の名物知ってるか?」

ビフテキでしょ、と口出しそうになったのを抑える。
(陽介くんは私とじゃなく、鳴上さんと話したいはず。)

どうやら、助けたお礼に奢るとのことだった。


「その話あたしも乗ったー!!」

振り返ると、先日見かけた緑のジャージを着たショートカットの女子生徒。

「お詫びの印に、放課後おごってよ」
ニッコリと笑うその手にはDVDらしきパッケージ。

おそらく、彼女が持っているDVDを花村が何かしてしまったのだろう。
それなら先日のあの怒りように納得が行く。

彼女の言葉に続き、鳴上が追撃を仕掛ける。
「桜庭さんも花村のこと助けたんだし、桜庭さんにも奢るべきじゃないか?」

花村は諦めた様子で「わかったよ……」と、力なく同意した。

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