※「(Y子の頭が)春のもぶきりゅ祭」とかいうY子内でのイベント開催中です。内容は名前通り「モブ×鬼柳のエロい話祭だぜひゃっほーい」です。ヤオイしかないです。それでもよければどうぞ見てやって下さいorz

ステファノティスと繋がってますが、恐らくそちらを見てなくても見れる話だと思います。



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体から包帯の匂いがする、あと、消毒液の匂い。清潔な匂いだ。久しぶりに床でなく固いながらに寝台と言えるそこに寝ている。固くなかったパンも力のない顎でも食べれたので胃も久しぶりに空っぽではない。手首と足首に厚く巻かれた包帯のお陰で枷に引かれて痛む事もなかった。ただ背中や頭や腹に残った生傷はいまだにずきずきと鈍痛がする。
サテライトのセキュリティ管理更正プログラム施設、独房番号37鬼柳京介は久しぶりに暖かい気持ちになっていた。
その気持ちは彼のセキュリティはクソ野郎しかいないという考えを払拭させようとするくらいである。どんな奴もセキュリティってのは総じて最低だと京介は思っていた。サテライトに暮らす人間の大体はそう思うのだが、京介のその感情は人一倍だった。生きている価値がないとセキュリティがサテライトの人間に思っているように、京介もセキュリティが生きている価値がないと思っている。だから、セキュリティ本部に爆薬を仕込んだ事も後悔はなかった。良かったはずだった。何人が負傷、いや死んだかを京介は知らない、興味もなかった。だが自分のこの手当をしてくれたあの看守のような人間が何人巻き込まれてしまったのか。そう考えると胸が酷く痛む。
京介は小さい頃からセキュリティが大嫌いだった。ロクなルールを設けないくせに法だなんだと行動を抑止して支配するのが当たり前な顔でのさばっている。サテライトのほんの一握りである善人な大人の保護下でなければ弱い子供は食い物にされていた。大嫌いだったのだ、そんなセキュリティ達が。神にでもなったつもりなのか偉そうに自分を虐げるあいつらが。
この施設に送られてからは京介に一層そう思わせていた。更正プログラムなんて吐きながら裏ではこの有様だ。特に罪の重い奴や線の細い奴なんかが重点的に可虐されていく。女が送られてきた時なんか散々で、言葉にするのも悍ましかった。
だから京介を介抱し、傷を処理して世話をしたあの新しい看守はかなり珍しいのだ。他人を虐げ群れるセキュリティの中であんなにも優しい人間はいない。京介は薬品の匂いのする腕に巻かれた包帯をすんと嗅ぐ。清潔な匂いだ。彼が近くに居てくれるのなら、この汚い独房で罪を償って死んでいくのは仕方ないように思えた。
前任の看守の手酷い暴行から京介の目はあまり見えていない。線が滲んだ世界の中で涙さえ枯れてぼんやりと生きていた。看守からの日々の暴行や強姦が突如無くなった翌日に彼は看守を任され訪れた。多分好きなだけ犯しても後処理をしない為に成立したあまりの汚らしさと、度重なる手酷い暴行で次には殺してしまうかもしれないという事から使い古した玩具は要らないと判断されたのだと京介は理解している。そのいかれた精神のお陰であの看守に巡り会えたのだから、と、京介は少しばかり感謝していた。
どこから調達したのから着せられた新しいプログラム生徒用の服は何かとても暖かく感じる。あの看守の名前もなにも知らないが、高くも低くもない声も三十路くらいの年齢を思わせる雰囲気も思い出すと京介はすごく安心した。恋、とは違う気もするが似ている気もする。吊橋効果か刷り込みか、とにかく京介にとって絶望的場面に現れたあの看守が救世主のようにヒーローのように素晴らしい存在に思えた。多分朝になればまた会えると頷き、薄いタオルケットに包まる。彼が名前を聞いてきたように、こちらから名前を聞いたらどんな反応をするだろうか。京介は思考するがあの看守が他の奴らのように自分を足蹴にする姿は想像出来なかった。名前を、優しく教えてくれる気がした。
ほんの少しの、久しぶりに感じた幸せな気持ちにまどろみながら京介は瞼を閉じる。つい最近まで瞼を閉じる事は死ぬ事と同じくらいに怖かったが、この時はとても至福だった。目を覚ませばあの看守がいて見張られて、久しぶりにプログラム生らしく独房に見合った仕事と学習をするのだと、そう思うと安心した。看守達のはけ口にされていた時は昼夜問わずいたぶられる為に仕事も自由時間も存在していなかったのだ。やっと人間らしく扱われる。まどろみの中、眠りに落ちた。

京介が次に目を覚ましたのは翌朝ではなかった。時間にして二時間も寝ていない真夜中に、がしゃんと格子が躊躇いもなく蹴られる轟音で京介は飛び起きる。心臓がばくばくと煩いまま目を遣るが霞んだ視力では音の原因をろくに捉えられない。しかしなんとなく輪郭を捉えただけで京介は恐怖で声も出せなくなるくらいに竦み上がってしまった。人数は三人、他のそこいらの看守とは違う少し色の濃い制服。焦点の合わない京介の視界でもわかるその情報だがそれで十分だった。鍵を開けたらしい扉が蹴りでもって開かれて音らしく、三人はずかずかと独房内に踏み込んで来る。息が詰まりそうになり、包帯の下に残る見るも無惨な傷がじくじくと酷く痛んだ。喉の奥がからからになって、意味もない寝ているフリをしながら指先が震える。どうして、と、それが何十回も何百回も頭に回る。吐きそうだ。

「京介君、起きてるだろ、ほら」

「聞いた通りマジで床とか綺麗になってんな。臭くもないし、あの新人も役に立ってるじゃねぇか」

「にしても頭ヘンですよあの新人、何考えてんのかわかりゃしない」

がくがくと体中が震える。嫌だと叫びたいが唇同士が縫い付けられたみたいにぴくりとも動かない。嫌な汗が額も背中にも流れて、胃がぎゅぅうと痙攣する。なんとか息を飲み込むと涙が溢れた。瞼を閉じるとあの優しい看守の顔が浮かぶ。

「やっぱりコイツが一番ヤり甲斐があるな」

「本当、新人が変人でよかったですね」

「だな。あんな汚い奴の処理なんかよくするよなぁ」

ははは、と、笑いが起きる。ふ、と嗚咽に交えてなんとか呼吸をして吐き気を抑えた。この三人は京介が大嫌いなセキュリティの奴ら代表の所謂クソ野郎共だ。京介がこの独房に入った翌日からずっと京介を犯し続けてきた奴らである。三人共このプログラム施設ではとても位の高い人間で可虐趣味の特に酷いグループだった。
サテライトで犯罪を犯す輩は多いが見目が整っている人間がこの施設に来る事はとても少ない。京介のようにそれなりの美形で肌の白い人間がこの施設に、しかも一級犯罪者として人通りの少ない独房に来るとなると彼らの餌食になるのも当たり前だった。
代わりに遊んでた放火魔の女もさっさと使えなくなっちまったし、と、一人が言う。それが何かすごく怖くて嫌でセキュリティなんてと思わせる言葉が死にたくなる。なんでこいつらはこんなに最低なんだろうどうしてあの看守みたいに少しくらい優しくしてくれないんだろう。なんでサテライトに生まれただけでこんな、最低な一生を送らなきゃならないんだろう。なんで、

「京介君、自分で起きないとどうなるか一週間経ってないのに忘れちゃったのかな?」

なんでこんな不条理且つ理不尽な扱いを受けなきゃならないのだろうか。
ぐんと引かれた足枷に伴って体が床に落ちる。肩から落ちたので背中も合わせて痛むが、もう何故生きているのかと人生を呪うしか出来ない。抵抗はしたって意味がなく、逆に奴らを逆上させるか可虐心を煽るかだ。足掻いたって仕方ない、だが抵抗をしなくては人間としての何かが削ぎ落とされて行く。絶望すらしなくなっていった先に自分に待っているのは何なのだろうか、死、しかないんだろうか。京介は震える肩を抑え付けて物のように床に寝たまま黙り込む。当然、右腕の間接を踵で踏み付けられた後に腹を蹴られ、体が二回程回転して寝台の下へ寝てしまう。腕の方向が妙な方へ向き呼吸が辛い程に痛む、内臓も変型したのではないかというくらいの鈍痛と吐き気が襲いぐぐもった悲鳴が上がり、しかしなんとか堪える。何故堪えたとか理由は最早京介にもわからない。もう生きている訳さえわからない。人間、尊厳をなくす程に虐げられると自分の存在がわからなくなってしまう。何故生きているのか何故息をしているのか何故自分は此処に居るのか。人間にされるべきでない行いへの抵抗を止める事は、人間としての価値を自ら手放している事に程近い。

「っぅ、ぅ゙……」

「あー久しぶりだからなんか楽しいですね」

「そうだな、さっさと壊れちまうのはつまんねぇし、やっぱりコイツ最高だわ」

「顔が女みたいなのに体は頑丈でな、確かに最高だ」

寝台の下から体がずるりと引き出される。勝手が悪いとばかりに手足の枷が外されるが京介はそれに何も感じやしなかった。前に今だと逃げようとしたが無駄だった。こいつらは独房のあるこの廊下の奥の扉の外に部下を数人待たせていて、逃げれる訳なんてなかったのだ。きいきいと揺れている檻の扉は開きっぱなしだというのに、京介に希望なんて一握りもありはしない。
人形のように四肢を投げ出して脱力している京介の服を脱がせる手は皹の一つもない綺麗な手だ。生まれてから一度も苦労したことのないような、そんな手だ。京介は悔しかった。とにかく悔しかった。なんでこんな奴らに、なんで生まれが違うだけでこんな奴らが自分を虐げる道理が通るのか。理不尽だと泣き叫びたかった。だがもうそんな気力はない。掠れた視界を閉じるとあの看守を思い出した。京介にとってあの看守は希望と言える、やはり恋に近いかもしれない。

「丁寧に包帯巻かれてんな」

「つか話によるとあの新人、こいつに手出してないらしいですよ」

「訳わからない奴だな本当に」

「女にしか興味ないとか、あ、不能なのかもしれないですね」

「そりゃいい、これからも世話役やってもらうか」

そうすりゃコイツも暫く壊れないだろう、と、男が言った瞬間にぷつと音がした。なんだと思う前に背中の包帯が開けていく間隔がしてぞっとする。そんなまさかと自由になった掌で胸元に触れると、やはり包帯が切られ取られていた。あんなに丁寧に巻いて貰ったのに、と、そう思うと絶望感が酷い。遠慮なく下肢も脱がされて行き、流石に抵抗をする。手を払い退けると抵抗すると思っていなかったのかその手は案外簡単に離れた。

「さっ、わるな…ッ…」

京介の喉から出た勢いのない掠れた声だった。だがそれが全力だった。少しのあいだが空き、しかしすぐに笑いがどっと訪れる。京介は訳がわからず困惑した。ぼやけた視界では肌や服の色は認識出来たが表情まではわからない。

「何命令してんだよ」

笑みの含まれたそれが耳元で聞こえたかと思うと、首を掴まれる。大きな掌で掴まれたそこは締まって苦しく、ふ、と息をしようとするが上手くいかない。頭に酸素が行かずよくわからないが三人が何か話をしているようだった。なにを、と思うと同時に会話が終わり、そして体が持ち上げられた。そのまま少し浮遊感があったあと、がんっと頭に音が響く。少し遅れて割れるような死ぬのではないかという痛みが頭にきた。額と首筋に生温い液体が溢れ、ぐらぐらと頭が気持ち悪いくらいに揺れて鈍痛は止まずに頭をぶん殴られているみたいに続く。

「痛ッぁぁぁあ゙ッ…ゔゥっ…痛っ…ぃあぁぁ…!」

「うわ、やり過ぎじゃねぇの」

「死にませんかこれ」

「躾だよ躾」

離されていた首筋を再び掴まれ、ガンッと再び同じ場所をたたき付けられる。酷い鈍痛と共に、京介の頭の中でぶつっと音がして視界は真っ赤になった。少ししてそれに慣れていくと真っ暗だと気付く。体中を蝕む痛みに額と背筋を辿る生温い液体に鼻から流れる血液とを感じながら、真っ暗な世界に困惑した。なんで真っ暗なのか、瞼は開いているのに、なんで。京介はくらいと呟く。三人の内の敬語を使う男が気付いたように「ほら今ので視力いっちまったみたいですよ」と他の二人に言った。視力を、京介は出血と鈍痛でぼんやりとしている頭で考えたが、意味は丸きりわかる事が出来なかった。


暗い世界で痛みばかりが訪れて京介は思うともなしにああ人間はこうして死ぬのかなとぐちゃぐちゃでずきずきとする変型してしまっている頭で思う。排泄器官を押し広げて入ってくる男の性器は先程までの暴行で興奮してこれでもかと固くなっていた。腰を掴まれ交尾みたいにがつがつと性器を中に押し入れられ、吐き気ばかりを京介は感じる。本当に獣の交尾のようなバックの体制でそれを受けながら、口では前に居るもう一人の男の性器を奉仕していた。頭からも鼻からも血を垂れ流す京介の顔を、男楽しそうに見下ろしながら性器をくわえさせている。勿論、頭を抑えて排泄器官を犯すように京介の喉奥へ性器をたたき付けていた。もう一人、あぶれてしまっている男は自ら性器を扱いている。どちらかが達したら場所を代わってもらうつもりなのだが、こうなるとローテが続き終わりはなかなか訪れないのを京介は知っていた。しかし今の京介にまともな思考力はなかった。抵抗も思考もせず痛みと吐き気を堪えるだけの今の彼はダッチワイフ宜しく人形だ。尊厳、という言葉すら今の京介の頭にはない。
男の低い唸り声が聞こえた後、押し付けられた性器が喉の奥で射精する。喉に直接吐き出されたそれを飲み込み、飲み込みきれなかったものを少しだけ吐き出して京介は噎せた。吐き出してしまったが従順に飲み込んだ姿が及第点だったのか男は満足そうに京介の頭を撫でる。無意識したので撫でられた意味がわからず京介はぼーっと暗闇の中で首を傾げた。しかしすぐに控えていた男の性器を口に捩込まれ、ぐ、と再び噎せ込む。なんとか口内に性器を押し込めると、再び頭を掴まれ喉奥へ性器を抜挿されてしまう。

「声上げなくてつまらねぇな」

「あー最初は悲鳴とか上げてましたよね」

「確かに慣れてしまってつまらないかもな」

なにやら会話が始まる。しかし京介はよくわからないので、なんとか体制を崩さないようにと間接がおかしくなった片腕は使わず片腕だけで掌を床に着き、腰を上げるようにと努めるしか出来なかった。頭がずきずきとする、鈍痛がする、血が止まらない事がとても怖い。吐き気もする。早く終われとも思えないくらいに京介の脳はぐちゃぐちゃだった。
少し会話が続いた後に結論に至ったらしい男達は律動を止める。そして少しだけまた会話をして、そしてすぐに京介の背中へ先程包帯を切る時に使った小さなナイフを切り付けた。瞬間、当然だが京介は悲鳴を上げる。悲鳴というよりは絶叫であった。聞くに堪えない、聞いているだけで失神してしまいそうな悲鳴である。事実、彼らの部下である数人のセキュリティの人間は控えている廊下の奥で耳を覆っていた。確かにセキュリティの人間は京介のいうクソ野郎ばかりだが、全員が全員ここまで可虐性癖がある訳ではない。
もういいかとばかりに再び律動が始まり、背中に浅く傷を残したそのナイフを男は更に上下へ動かす。京介を見限る前にも同じ事をした為、背中にはナイフの後が何十も残っていた。青紫のそこは傷が塞がりかけていたが、男はわざわざそこへ再び傷を開かすようにナイフを引く。京介の体が耐え切れず床に落ちた。口にくわえていた性器と一緒に噛まないようにと奥歯に噛まされていた布も落ちる。

「あ?死んだ?」

「いや意識飛んだんだろ」

「もう後ろだけにします?せっかくの悲鳴もぐぐもりますし」

死んだなら死んだで三人は構わなかった。どうせ一級犯罪者は死ぬまで独房に入るものだし、第一サテライトの人間はまだごまんといる。まともな戸籍も管理されていない彼らを丁重に生かす理由なんてないのだ。
それもそうだなと二人が同意し、再び後ろだけで律動が始まった。勿論悲鳴を上げさせる為にナイフを引かれる。息を堪えて気を失ったフリをしてみせていた京介は嫌でも悲鳴を上げて体を反らせてしまった。男はそれを見て気分が良さそうに京介の中で射精した。




少しして流石に意識を飛ばした。男達も気が済んだのかそれを境に独房を後にしたらしかった。朝だと告げる施設内のアナウンスに目を覚ますが、瞼を開いても世界は展開されない。真っ暗な世界の中色が一つもなかった。体中鋭い痛みに襲われる。そういえば意識を失う前に壊れても困るといわれて情けな程度に痛み止めを大量に服用させられた気がする。なのにまだこんなに痛むなんて。暗闇の中で蝕む痛みは何か不思議な感覚がする。死と仲良しになった気分だ。

「……なんで、こんな…」

何故こんなにも世の中は理不尽なんだろうか。なんだってこんなにも不条理なのだろうか。涙が溢れて唇に伝う、途中で肌に付いていた乾いた血が混じったのか鉄の味しかしない。
あの新しい看守みたいな人間は稀なのだろうか。あんなに優しいセキュリティなんて他にいないのだろうか。あの三人が変わる事なんてないのだろうか。自分が救われる事なんて、やはりないのだろうか。京介は床で寝たまま嗚咽を漏らす。

それでもあの看守がいると思うと何か希望がもてるのだから不思議だ。京介は少しばかり笑む、しかしすぐにそんな余裕はないなと全身が痛んで眉根を寄せる。
でも、あと三日くらいまたあの暴行に堪えればなんとかなると京介は考えていた。汚くなればあいつらが自分を抱かないとはわかっているからだ。もう既に血に塗れ白濁に塗れて京介の体は酷い有様である。事情を言えば、この有様を見れば、あの看守も理解してくれるだろう。可哀相にと思ってくれるだろう。真っ暗な世界で一握りもありはしない希望に京介は馬鹿みたいに可哀相に安堵した。



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救いがなさすぎるん…