ステファノティス






男はこの仕事に就いて三年を迎えようとしていた。仕事というのは夜間のシティの見回りが主であり、ダイモンエリアに担当しなければそうも辛い仕事ではありはしなかった。ただ彼は同時に結婚適齢期を迎えていて、それを気にせず独身で過ごしていたからか今回の事が身に起きてしまったのだった。

「左遷だな」

「お疲れさん」

同僚はさも気にしていないようにそう笑っていた。当の男自身もそうは気にしていなかった、理由は簡単で彼自身身を固めていないまま生活している間こうなる事はなんとなく見えていたし、それなのに婚約しなかったのはそれもいいかと考えていたからである。
元より今の仕事にこだわる理由もなかった。それに新しい勤め先はサテライトのパトロールという訳でもなく、セキュリティの更正プログラム施設での勤務だった。
ただ同僚のいうように左遷かもしれないと勤めて暫くして思う。これでは雑用係ではないかと。

「新しいクズが来る、やる事ないなら警備に回っておけ」

「あ、はい」

言われ、片付けを命じられていた書類を抱えたまま走る。やる事は腐る程にもあったが、よっぽどの事がなければ鷹栖の言う言葉はこの施設の中では絶対である為に男はそのクズという人間達が来る時間に間に合うように今抱えていた雑務の最低限を終わらせた。
クズ、とは、サテライトからの流れ者やシティからサテライト行きになった人間なんかを指している。サテライトに相応しいと感じられた人間は鷹栖を始めセキュリティの人間からすれば全て、クズ、なのだという。男はそれは何となく違うのではないかなぁ、と、思うだけ思っていた。だがそれだけだった。

その施設での勤務を三ヶ月程度続けたある日、男の今までの仕事は新しく回されて来た新人に任された。つまり新人が雑務係になり男は一つばかり階級上がったという事である。その階級が十を遥かに超える数存在するのはよく分かっていたが。

「今日からお前は此処の担当だ」

「これがマニュアルですか?」

「あー読まなくてもいい、ただ一つだけだ」

よく雑用を任されていた上司に連れられ歩いた先は一級犯罪者の隔離されている場所だった。造りの頑丈な檻の数々は施設の入口から望めるプログラム生達の入るそれの様子と遥かに違う。どれも人はいない何を閉じ込めているのかわからぬ光景だが、容易く入るのも出るのも難しそうだ。

「こいつの監視、それだけだから」

閉鎖的な廊下。その片側に大量に並ぶ檻。一番奥の囲いには俯せでだらりと眠る青年が居た。
一瞬、男はそれが既に亡きがらに見えた。しかしよくよく見れば胸が上下しており生きているのだと解る。手足に付いた枷のせいだろうか、その部分の皮がめくれて化膿していた。しかしもっとよく見ると足首なんかは化膿の跡すら見れない、細胞が壊死しているのだろうかごっそりと肉が無くなっている。

「……あの」

「此処の担当はお前だけだ、決まった時間に飯を持って来て様子を見ろ。一日7時間様子を見るだけであとは帰っていい、どうせ逃げる気力はない」

そう言い残して上司は去った。男だってさっさと去ってしまいたい、この場所はあまりにも臭いが酷い。血液の臭いに膿んだ臭い、腐臭すらする。いやそれもそうだ、鼻にくる不快な臭いがした。
青年の髪や背中、それに情け程度に穿かされているズボンには固くなっている白い液体がこべり付いている。いつのものなのだろうか、少なくとも四日以上は立っているだろう。
男は渡された鍵を見遣る。この檻だけの鍵だというのに四つもチェーンに付いていた。この頑丈な檻にこんなに鍵を付けて、あんなに太い枷を付けている一級犯罪者。胎児のように眠る痩せた体は酷く幼く見える。15くらいだろうか、後で資料をみるとしよう。
『どうせ逃げる気力はない』上司に言われたその言葉を思い出して、男は鍵をぶらさがる錠へ差し込んだ。どうせこの隔離された場所には俺くらいしか来ないんだろう。
何日か置かれた様子からするにもう体を弄ぶのも飽きられ、俺なんぞに以前は役得だったこの役割が回った。そういう事だろう。

全ての錠を解き、重苦しい鉄格子を引く。ぎいと音を立てて開き、足を一歩踏み入れた。その瞬間に青年はびくんと体を跳ねさせる。寝ているものだとばかり思い込んでいた為に男もつい一歩体を引いてしまった。
ばっと勢い良く顔を上げた青年は少年と呼ぶに相応しい年齢に見える。目を見開いていて、その色は絶望以外のなにものでもなかった。前髪にもついた白濁の跡に寒気がする、自分の上司達はこの少年に何をしていたのだろうか、男はおいおいと思う。何してんだ、って。

「っァぁあ、あァああぁぁぁあああ!!!!!」

「ぁ、おいっ」

がしゃんと枷が床に打ち付けられる。少年は狂ったとしか思えないくらいに叫んだ。きぃんと耳鳴りがする絶叫をしたままに、手首が枷に引かれるのも気にせずがくんと肩が外れそうな勢いで部屋の隅へ這って逃げる。
しかし逃げると言ったってこの狭さだ。2m四方程度の空間で少年の行ける場所は無いに等しい。汚く濁ってしまった金の瞳と薄い水色の髪の毛を眺め、男は内側から鉄格子をとりあえず閉めた。

「今日から」

「ひっ」

「此処の担当だ」

「……うっ、ぅぁ」

びくんと体を跳ねさせ、少年はうずくまって嗚咽を漏らし始める。気にせずに男は自己紹介を続けたが少年も同じく嗚咽を漏らし続けた。

「とりあえず掃除しようか」

食事の時間は日に二度で、まだその時間ではない。そうするとする事がないので男は汚らしい辺りを見回す。そこは白濁や血で汚れていて、これではスクラップ映画の撮影後みたいだなと思った。
男は少年をただ嬲った連中とは違ったが、それでも常識とも少し違う。どう足掻いてもセキュリティ勤めの短くない彼からすればサテライトの人間は優劣にすれば劣であり自分の立ち位置は優であった。
ただ少年が劣ではあったがだからそれを虐げたいとは思わない。ただどうでもいいとも近かった。

「邪魔になるから、床にいないでベッドに居てくれよ」

薄いシーツが敷いてあるだけの状態のベッドを指さすと少年はうろたえるように顔を上げた。言葉を理解したのか、ビクビクとしながら手探りでベッドを探している。
探して、いる?男はその光景に首を傾げた。

「もしかして、目、見えないのか?」

びくっと再び体が跳ねる。少年は、ふ、と嗚咽の残る息遣いで焦るように手探りでベッドを探し、そうして見付けると枷の重い鎖を引きずってその上へ乗り上げた。どうやら少年が床で寝ていたのは枷のせいらしく、ベッドで寝ると足の枷は彼の足を引っ張り上げるような形になる。長さが足りていないらしい。ぎゅち、と、音を立てて先程壊死したらしいと男が考察したその場所からぼろっと肉片だった物が落ちた。

「耳は大丈夫だよな」

「……、…」

「見えるか?」

二本、指を出す。息を殺しながら少年は見ろという意味合いを理解したらしく目を開いて指を見た、金色の目は濁っている。

「何本だ?」

「……さん?」

「じゃあこれは」

「……ご」

出していたのは四本の指だ。どうやら完璧に見えない訳ではないらしく、なんとなくなら見えるらしい。男は理解して頷く。
そして渡されたチェーンについていた小さな鍵を手に取り、少年の足に付いた枷を解いた。手にもゴツい枷は付いているし外したって大丈夫だろう。視力も可哀相なくらいに低下しているし、何より骨の見えた足首では立つのもままならない筈だ。

「……?」

「足枷は外した。だからベッドに乗り上げてくれ」

これでベッドから体をはみ出さずに済むだろう。確かこの独房に来る途中に掃除道具の置いてある場所があった気がするので、持って来て片付けをしよう。どうせほかにする事はないのだから。

不思議そうにベッドに乗り上げる少年を見遣り、男はそのままそこから出て、四つの鍵の内二つに鍵を掛けた。




「………アンタ、なんか…」

「ん?」

モップを湿らせ、白濁や血液、嘔吐物や排泄物で汚れた床を綺麗にした。元々の色である黒っぽい鼠色が垣間見えたのでいいだろうと作業を止めて、時間になったので少年の食事を運んで今に至る。
固そうなパンをかじりながら少年はベッドにうずくまっていた。

「他の奴らと……なんか、違う、な。なんか…」

なんかと何回言うつもりなんだろうか。男は汚い水入になってしまったバケツにモップの先を入れ、立たせるともう一つの綺麗目のバケツの中に入っているタオルを取り出した。

「そうか」

「……綺麗に、なんて、しない…から」

「口の端切れてるから喋ると痛むだろ」

切れてるどころではなく裂けてると言っていいだろう。血は固まって止まっているが顳手前まで亀裂が走っている、事故でなく故意で切ったとしか思えない有様だ。

「……心配だ、て、しない」

「そうか」

「返事だって…しない」

なんだ結局パン食えてないじゃないか、と、男は見遣った少年の口元を見て思う。顎に力なんて入らないんだろう、と、一口分やっと欠けたパンをひょいと取った。

「…なにす」

「お湯でふやかして来てやるよ」

そう言って、男は濡らしたタオルを少年の頬へ押し付ける。少年はパンが取られた事にやっと気付いたらしく、あ、と声を上げてそして吃驚したように男をぼんやりと視野に入れたままタオルに触れた。

「顔拭いとけ、汚くてしょうがない」

ぎいと音をたててそこから出て、鍵を再び閉める。泣き声が聞こえて男はなんだか不思議な気分になった。
サテライトの人間も、そういえば人間っていう類だったんだっけな。改めて確認するとなんだか妙な気分だ。ずっとありながら見えなかった物、のような。日頃使う自分のお気に入りの枕やクッションが道端のごみ箱にあったらおいおいと近付き拾い上げて自分のか確かめるが、中身の綿だけ捨ててあっても気付けやしない。だから所謂中身の綿だけみたいに認識してたサテライトの連中は、そういえば人間だったんだなといまさら認識してしまうような、男にはそんな存在だった。





「うっわ背中すごいな、蹴られたか?」

「……まぁ、他にも」

男はふやかしたパンを食わせた後、顔を拭かせたタオルで体中を拭った。更に着替えの囚人服と治療箱を持ち入れ、少年の汚い見た目を整えようとしている。その頃には少年も少しばかり警戒を解いているようだった。

「…ぎッ…いァ゙」

「んあ?強いか?」

「……ん゙、ん」

こくこくと少年は頷く。浮いた肋骨、とはよく聞く表現だったが背中から見遣ったそれは何故だか、真紫でそこにおらっしゃった。男は流石にそれに上司を嫌悪した、逆に真紫でない場所がないくらいじゃなかろうか。背中一面その色か、それかナイフか何かで切り刻まれて皮膚が盛り上がり壊死しているかだ。少年の首筋の白さと背中の色が、あんまりにも極端に色が違い過ぎる。
とりあえずはナイフの痕だと手を付けるが男に詳しい医療知識はありはしない、大体の勘で治療箱から道具を取り出していた。実際八割方合ってはいたが二割間違っている。しかし壊死していては処置しようもないなというのが男の考えだった。
包帯だけは詰め込んで来たので、軟膏や消毒液なんか塗したら包帯で巻こうという魂胆である。

「アン、タ、さぁ…ッ」

「ん?」

「ぃっ…こ、っの……仕事、向いてねェって…」

言われながらも男は真紫のその背中へ湿布代わりの塗り薬と書かれた薬品をごりごりと塗り込んでいた。そうしながら少年の言葉を聞き、ふむと考える。

「なぜ?」

「……優し、ぃ……から」

「そーか?」

がくがくと痛みに口をつぐみながら少年は頷いた。男は見届け、そして包帯を取り出して少年の胸から背中を覆う形を想定して巻きはじめた。

「あのさ」

「…?」

「向いてるとか、向いてないじゃないんだわ」

「……ぁ?」

「優しいとか優しくないとかでもなくってな」

シュルシュルと音をたてながら包帯を巻いていく。思い返せば何年振りだろう包帯を巻くのは、と、男はぼんやりと考えた。

「俺ただ給料貰えっから此処にいて、んで汚いモン見ると手を出したくなるからこーしてんだよな」

優しさなんか微塵もなく男は淡々と言う。事実男は同情や慈しみで少年の体をこうして治療してはいない。ただ監視相手が汚く監視するに絶えないからであった。暴力的行為も性的暴力行為もする気はなく、そしてやる事もないからこうしてつまらない事をしているまでだった。
しかし少年にすればそんな事は関係ない。暇潰しに、楽しいから、性欲から、そんな理由で理不尽に振る舞わず自分に優しくする男はなんであっても神みたいなものだ。

「……でも、嬉し…」

「そぉか」

少年が笑みを浮かべたのが分かって男もなんとなく笑みを浮かべた。男に家族はいなかった。嫁もいないし子もいない。両親は男が学生であった時にゼロリバースで亡くなっていて、財産が遺されはしたがそれなりに孤独に生きていた。しかしそれを不幸と他人に謡った事は無く、また自分の中でそれを膨らませる事もなかった。それよりも事故当日にサテライトと呼ばれるようになってしまった地区にいなくて良かったと考えるようなったくらいである。
ああそうか運が悪かっただけなんだな、この少年。年齢からすれば産まれたのはゼロリバース後か直前か少し前か。孤児で生きてきたのかもな。男はぼんやりと考える。

「名前、なんていうんだ?」

本来独房の人間は入っている牢の番数で呼ばれる。この独房は37、さんなな、さんじゅうしち、とまあそんな感じだ。しかし男は名前が気になった。この少年はどんな名前で生きてきたのか。

「……きりゅう、きょうすけ」

「ふぅん、綺麗な響きだ」

桐生恭介とかそんな字だろうかなと男は考える。巻き終わった包帯の先を止めて、顔腕背中と来たので既に脱がしてある下肢に触れた。少年はぴくりともしない。

「うっわ処理してないのか」

「……」

場所柄あまり明るくないので注視しなくては気付かなかった。少年の本来排泄物器官である場所は白く汚れている、先程掃除した時にも思ったが後ろ側の準備なんかはなんとも万全らしい。浣腸液の入れ物なんかくらいは片付けていただきたい。それと隅に配置されている排泄用の機材も一応使っていただきたい。上司は実に大雑把らしくて嫌になる。

「んじゃ拭くからな」

「じ、ぶんで…できるッ…」

「アホか、手枷付いてんだから物理的に不可能だって」

黙って拭かれてなさいなと男は濡れたタオルで少年の下肢を拭っていく。強張っている少年を嗜めながら男は作業を続けた。




「大分綺麗になったな」

「……ん」

下肢、足、再び全体にと施して新しい囚人服を着せた。そうすればもう新しく入った囚人そのものである。うんうんと男は頷いた。

「それじゃあまた明日な」

「………帰る、のか?」

「んだその恋人みたいな台詞」

食事を渡す回数は朝と夕方の二回で、男がここに担当させられたのは昼方からだった。夕方の分の食事は与えたし時間にすれば大分長い時間監視をしていただろう。もしかしたらオーバーしているかもしれない。時計のない周囲を意味なく見回し、時計着用の許されない制服に少し苛立つ。独房のある場所は本当に生活感がなく嫌になる。

「また明日の朝来るからな、きょうすけ」

「…………、…」

ぱちぱちと目を瞬かせ、きょうすけは男を見上げた。正しく言えば男のいる大体の位置を、だ、焦点はほとんどあっていない。

「また、明日」

きょうすけは頬を綻ばせ、瞼を閉じて笑った。男はそれに微笑み返してその場を去る。鍵を全て閉めながら子供欲しくなったなぁと男は考えた。親の寵愛があったらきょうすけはもっと幸せな生活だったのだろうな、と、同情とは違うただの憶測だけの思考を男は浮かべた。





「……あーあー…」

朝。男は規定通りの時間で出勤してきょうすけの朝食と治療箱を持っていた。朝はまた固いパンだったのでお湯でふやかし、昨日は「ピンセットあった方がいいなぁ」と思ったのでピンセットやその他を増やした治療箱とをわざわざ用意したのだったが。
きょうすけの入る独房の前に立って男は呆れた。

(上司さん達さぁ…飢え過ぎだって)

昨日初めて見た時とそう変わらないきょうすけの姿がそこにあった。違うと言えばきょうすけの体には男がした治療の名残があって白濁や血や嘔吐物や排泄物が新しいところである。
大方汚くて見放した玩具がまた綺麗になったと聞いて遊びに来たのだろう。誰も寄り付かないくせにどうして知れるのか。ハイエナか何かなんだろうか、あ、動物の番組でハイエナは自分がとった獲物を盗られたから取りかえしてるだけなんだよと言っていた気がする。じゃあハイエナに失礼か、ん、じゃあカラスでいいか。カラスだな上司達は。

「きょうすけ」

鍵を開け、きょうすけの前にしゃがみ込む。髪の毛をすいてやるときょうすけはぴくりと肩を震わせた。そしてゆっくりと手を伸ばして男の手を掴もうとした、が、男はその手に触れられる前に手首を掴む。びくっと困惑できょうすけの腕が震えた。

「汚いから触るのは無しな」

「……っふ、ぅ」

「おい大丈夫か?……折角綺麗にしたのにな…」

上げられた顔は血まみれである。元々視力の低下していた目は最早男を見れてはいない、血まみれた頭の形が少し変形しているのを見て、男は壁を確認した。血の付いた壁があるのを見てああ打ち付けられたなと思う。
それから体に下敷きにしていた腕が妙な方向に曲がっていて、ああもう、と、溜息を吐いてしまった。玩具を直す人間がいるから壊していいとかなんだそのルールは、直す身になれ異常性癖者共め。

「じゃあとりあえず綺麗にす」

「ッゃ、嫌だっ、ダメだ、やめッ」

「ん?なんで?」

「また、俺、また、され、るっ」

必死に訴えるきょうすけの目線はどこにもない。きっと彼からすれば暗闇に喋りかけているんだろう。

「あのな」

「っ、また、好き勝手され、る、んだったら…汚いま、ま…が…ぃ」

「いや無理だわ」

びく、ときょうすけの体が震えた。なんでと言いたげで、俺は肩を竦める。確かに汚いままなら上司達はまたいずれきょうすけを抱かなくなるだろう。だが、

「汚いまんまだと嫌なんだって、そこの道に立って監視しなきゃなんねーのに」

「………な、に、言って」

「だから俺は優しくないの、汚くて臭い奴何時間も監視したくないって、昨日説明したろ?」

きょうすけは、聞いた瞬間に黙り込み、しかし少しして口元を歪めた。ああそうと呟いて肩を震わせ、じゃあ綺麗にしてくれよとそう笑った。男は言われなくともするけどなと考え、何も返さなかった。






鬼柳京介はその晩死んだ




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ステファノティス
花言葉「二人で遠くへ旅を」「うぬぼれ屋」