08




「彼女を殺すつもりはなかったんじゃないのか!」
「先に約束を破ったのはバーボンだ。それに僕は約束を一つも違えてはいない」
 問い詰める赤井にそう返して、綴喜は恵から手を離した瞬間に駆け出した。恵の体が糸の切れた人形のように崩れ、床に落ちる。
 すかさず駆け寄った新一が、イスから落ちきる前に恵の体を支えた。腹部にはナイフが刺されたままになっている。引き抜かれていれば早いうちに失血死していただろう。おびただしい量の出血を見てそう新一は考える。
 恵を殺すつもりはない、丁重に扱っている。綴喜の言葉は本心だったのかもしれない。新一は極限状態のなかでそんな些末なことを考えた。
 だが生きるか死ぬかの瀬戸際に恵を追いやられているのを見た降谷は、みるみる内に精神を摩耗させていった。不明瞭な意識のなか、降谷はなんとか恵に近寄る。そして力の抜けた恵の体を掻き抱くようにして新一から奪い取った。黒い総レースのドレスが、恵の口から吐き出された血と、腹部から毒々しく流れる血を吸って深みを増していた。ぼろぼろと落とされる降谷の涙がそれに拍車をかけていた。
 組織を壊滅させるため、掃討作戦に果敢な姿勢で挑んだ潜入捜査官の風貌はどこにも見られない。降谷を隙のない捜査官として動かすには、もう恵は切り捨てられないほどの存在になっていた。
 まともに機能しない降谷を横目に捉えて一瞬だけ動きを止めた赤井は、振り切るように大声を張り上げて足を踏み出す。
「ボウヤ! 降谷君は使い物にならない、恵君を頼んだ!」
「赤井さんはどうするの?!」
「脱出の手段は二つしかない!」
 赤井の意図を読んだ新一は力強く頷いた。赤井は急いで綴喜の追跡を開始する。
 新一は恵へ向き直った。コナンだったときから使っている探偵バッジ、本作戦用に多少の調整を加えたそれを取り出す。
「宮野! 恵さんが……!」
「無線で聞いてたわよ! 何が起こったかは知らないけど、彼の取り乱し方で大体察しはつくわ、救護班は四十秒前にそっちへ向かった!」
 新一が志保に連絡を入れると、降谷と赤井が所持していた無線を介して状況を把握していた志保が答えた。万一のことを想定して、降谷は警察車両とは別に救急車を待機させていたのだ。
 ひとまずは出血を抑えなければならない。自分の服を裂こうとしたところで、新一は未使用のハンカチを持っていたことを思い出す。世話焼きの蘭に、作戦決行前に持たされたハンカチだった。躊躇なくそれで恵の患部を覆い、刃物が動かないよう固定する。
 恵は大丈夫だ、新一はそう確信していた。出血が多くとも、こうまで最悪を想定した準備がなされている状況で命を落とす方が難しい。ただ、布越しに握った刃物でさえ、恵の体温が伝導して熱い。
「秀一さんは何してるの?!」
「犯人を追いかけて行った! 多分撃ち抜く気だ!」
「まったく、出口は山ほどあるのをわかってるくせに……!」
 脱出の手段は二つしかないが、出口は腐るほどある。新一は救護班の到着を待ちながら、窓から覗く薄暗い空を見上げた。
 降谷は恵の名をうわ言のように繰り返していた。

 赤井は洋館の情報を全て頭に入れていた。そして迷いなく洋館の最上部を目指した。
 脱出経路は二つしかない。正門に繋がる道と、裏門に近い使用人の部屋である。使用人の部屋は、洋館を起点にして広がる地下水路に繋がっている。地下水路は、洋館から離れた場所を流れる小川に出るようになっていた。大事の際の避難経路だ。
 正門は警察到着の際に押さえられている。そうなれば、綴喜が使うのは地下水路だ。
 地下水路の存在を降谷達が把握している可能性については綴喜も重々承知しているだろう。赤井は、事前の打ち合わせでそんな会話を降谷としたことを思い出していた。それでも綴喜は地下水路を通ることが赤井にはわかっていた。水路の先は幾重にも分岐しており、綴喜がどこを通るかを予測するのは不可能だ。あの場のだれが追って来ても間に合わないことは明白だった。
 故に、赤井達は分岐した出口にそれぞれ数人の警察官を配置していた。
 ただ、ここへきて赤井は認識を改めざるを得なかった。実際に綴喜と相対してみてわかったことがある。綴喜は、予想していた以上に頭の切れる男であり、気が狂っているためどんな行動に出るか即座に読むことができない。制圧しようとした降谷を回避したときの身のこなしから、身体能力が高いことも窺える。警察官が待機する先に綴喜が姿を現したとしても、突破される可能性があった。
 捜査官を数名失うことの痛手は大きい。そう考えた赤井は、作戦の手順を変更して自らの射撃で犯人を確実に無力化する道を選んだ。生け捕りを望んだ降谷には止められた手段だった。
「志保、俺だ!」
『やっと繋がった……! あのね、無線は常に使えるようにしておいて! それと頼み事はもっと早く! 時間がかかって間に合わないじゃ済まないのよ!』
「そう怒るな。もうすぐ屋上に出る、犯人が逃走する経路を絞り出すことはできないか」
『無茶言うわね……!』
 無線の先で志保が唸る。最上階のドアを開けると、ひらけた屋上があった。まるで周囲を見渡すために作られたような開放的な造りに赤井は思わず口許を歪める。どの方向を狙うのも可能な、絶好の位置取りだった。
 木々が生い茂っているため、綴喜が森に別途逃走経路を作っていれば、赤井達はどうしようもなかっただろう。だがいずれ川に出るとわかっていれば、木々のない川辺を彷徨う綴喜は赤井にとって狙いやすい的でしかなかった。綴喜が走った水路さえ辿ることができれば、確実に撃ち抜くことができる。
『彼、恵さんの追跡チップを持ってるわ。気づかれてたのね、でも持ったまま忘れてるみたい。一つ信号が送られてるけど建物を出てすぐの場所だしこれじゃどうにも……待って、ちょうど十分経ったわ! 新しい信号よ、この位置なら出口は……』
「大体で良い! 方向がわかればこちらでも確認する」
『西南西の方角にある出口へ出るはずよ!』
 赤井は背負っていたケースからライフルを取り出すと、ストックを肩の付け根に当てて固定した。日は沈み、辺りはすっかり暗くなっている。暗視スコープ越しに西南西の方角を探る。見落としがないように注意深く睨みつけていると、森の中に黒塗りの高級車が停まっているのを捉えた。逃走車であることがわかりやすく主張されたそれにいっそ笑いが込み上げてくる。
 周囲に警察官はいない。地図に載っていない経路があったかと赤井が呟くと、志保の声が驚きに染まる。調べ物をしているのか、激しい打音が響いていた。どの資料にアクセスしても出てこないと苦悶の声が届いた。
『もう貴方に頼るしかないわ。途中方向転換する可能性もあるから、信号は変わらずこっちで監視しておく。任せたわよ』
「了解」
 出口付近にまだ綴喜の姿はない。あそこまで走るのには時間がかかる。赤井は幅のある手擦りを見てバイポットを取り出した。ライフルを安定させ、風の流れや風速を読む。
 そして、綴喜が森に姿を現す瞬間を待った。

 パン、と乾いた銃声が響き渡ったのは、恵を救急車に乗せるべく新一が降谷を抑え込んでいたときだった。赤井のライフルが放った銃声だと悟った新一は思わず窓の外を見た。続いて銃声が響かないということは、赤井は一撃で綴喜を仕留めたのだろう。新一は腕の力を緩めないまま確信する。
 降谷は医者までをも随伴させていた。生死のわからない恵を思えば気が気でなかったことが窺える。なかなか恵を離そうとしなかった降谷を一喝し、恵から離れさせるのには骨が折れた。
 医師の指示によってその場で応急処置を施された恵は、額に汗を浮かばせてぐったりと降谷を見ていた。降谷もまた虚ろな瞳で恵を見下ろしていた。互いに目の焦点は合っていなかった。運ばれていく恵に向けて持ち上げられた降谷の手が空を切る。
「降谷さんしっかりしろ! 恵さんは大丈夫だ、出血の量は多いけど、応急処置もした、輸血の準備も万全だった、あとは病院に搬送するだけ……あんたの采配だ!」
「は、……は」
 降谷の呼吸が荒い。息を吸えていなかった。降谷の耳に新一の言葉が届いていないのだとわかると、新一は激しく降谷の肩を揺らす。
「医者も心配ないって言ってただろ、あれくらいで人が死なないことはあんたが一番わかってるんじゃないのかよ!」
 無茶苦茶な言い方だった。死に基準など存在しない。当たり所が悪ければ人は簡単に死ぬものだ。だが恵が死ぬ状況ではないと医師に保証されても、目の前で死にそうな恵を見て正常な判断ができないでいる降谷を、新一はどうにかして正気付けようとした。
 新一にとっては根拠も何もない発言だ。まだ組織が壊滅していなかった頃、サミット会場の爆破事件に巻き込まれて怪我をした降谷を新一は見ている。あのときは大怪我には至らなかったようだが、窮地を掻い潜ってきた降谷であれば、幾度となく命が危険に脅かされたこともあっただろうと考えたのだ。
 偶然だった。降谷の経験に基づいた記憶と関連付けることが効果を発揮し、降谷ははっと息を飲む。そして新一の肩を借りて、正気に戻った降谷は絞り出すような声を出した。
「もう……もう、失いたくないんだ……!」
「……そうだな」
「彼女が死んでしまうなんて、いやだ」
「大丈夫だよ、降谷さん」
 あんたがそれほど命をかけて守ったものが、死んだことあったかよ。
 新一の言葉に降谷は嗚咽を漏らした。景光は守れなかった、そんな考えが降谷の頭に浮かんだが、そんなことを言えば景光は降谷を諫めるだろう。景光は国を守るために死んだのだ、降谷には景光を守る余地すら与えられなかった。
 降谷に守りきれなかったものなどなかった。

◆ ◆ ◆

 病院のベッドの上で、恵は驚くほど不満気な顔をしていた。
「恵君のそんな顔を見れるとは思わなかったな。いやに不機嫌だが、どうしたんだ」
「んん……病院食が……」
「不味いんだよな」
「新一くん、だめよそんなこと言っちゃ」
 言葉を濁した恵の代わりにバッサリと断言した新一を、恵は静かに諫めた。恵が不機嫌な理由を知った赤井が堪え切れずに噴き出す。
「降谷君の料理は美味しいからな……美味い料理を出すのが目的じゃない病院食では、君の舌を満足させることはできんだろう」
「そうだって。仕方ないだろ、怪我の状態と栄養素、吸収能率を考えると恵さんに常食は出せないし」
「わかってるの、わかってるんだけど……だって入院が伸びてるじゃない……不必要に」
「ああ……降谷さんのせいで」
 恵は病院に搬送されたのち、適切な処置を施されて、入院が決定した。それでも、現代医療では入院日数が短く設定されることが多い。早期退院を望まれるのだ。
 早期退院を求める病院側にも根拠に基づいた理由がある。治療技術の向上はもちろんのこと、恵のような急患が運び込まれた際に病院は入院体勢を整えていなければならない。勤務する医療従事者の勤務体制もある。病院というシステムを正常に機能させるべく入院患者の早期退院は奨励されるのだ。
 恵も同じ対応を受けなければならないところを、降谷は「心配だから」の一言で退院を先延ばしにさせていた。事件の後処理に追われる降谷は、恵が退院すれば監視の目を失うことになる。そのため、恵は重要参考人で所在を常に明らかにしておく必要があるからともっともらしい理由をつけて病院に縛り付けていたのだった。警察権力の乱用である。
 病院食が、わざわざ指摘するほど不味いわけではない。通例以上に入院が伸び、その理由が降谷の安心を買うためでしかないことを知っていたからこそ、病院食に飽きがきて、不満を覚えるに至るのだ。
 病院食ではなく降谷に不満を抱いているのでは、と赤井は考えたが、新一は気づいていないらしい。明日蘭がフルーツ持ってくるって言ってた、と言えば恵はへの字に曲げた口許をゆるゆると緩めていった。
「ところで赤井さん、今日は何を?」
「降谷君より先に書類整理から解放されたんだ。また戻る用事があるから、彼の代わりに君の様子を見に来たというところだな。それより途中でフラッペを買ってきたんだが……まだ全回復とはいかない君には与えない方がいいか」
「えっ飲みたい、ください」
「だめ。赤井さん、俺にちょうだい」
「恵君にはまた買ってくるよ」
「あっこれ期間限定の桃?」
「……」
 恵の機嫌が再び降下して赤井は頬を掻いた。
 代演事件、ならびに血抜き事件は解決へと向かっていた。作戦決行から一か月が経とうとしていた。
 赤井が発砲した弾は見事綴喜に的中した。綴喜の死はあっけないものだった。
 綴喜は能力の高い男だったが、一つだけ見誤ったことがある。赤井についてだ。綴喜は降谷に執着し、降谷については一際詳しかったが、恵の保護を任されていたと知っていてなお赤井についてはまったく関心を持てず注意を怠っていた。
 まさか赤井が志保によって脱出口を特定し、さらには何十メートルも離れた場所に現われる綴喜を一発で射殺できるだけの能力を持つなどとは思いもしなかったのだ。赤井について多少なりとも調べていれば、志保の存在も知り得ただろう。そうなれば、赤井までも封じられた警察側は打つ手がないまま綴喜を野に放っていた。
 良くも悪くも、始終降谷の美しさに囚われたままであることが綴喜の敗因だった。
 発砲後、赤井は付近にいた警察官に確認を要請するのと同時に、自らもスコープ越しに綴喜が絶命したのを見届けた。赤井が戻ると、現場保存のために洋館を警察官が慌ただしく動き始めていた。恵が大事ないことを聞いた赤井もまた胸を撫で下ろした。
 全てが収束へ向かう頃には降谷も落ち着いていた。綴喜を追い、仕留めた赤井に、降谷は腰を深く折って礼を言った。同じ警察官として責務を果たせなかった自身を恥じ入る降谷の肩を叩いた赤井は、恵が搬送された病院へ行くかと尋ねた。現場を任せ、新一も連れて病院へ行く降谷を止める者はだれもいなかった。
 洋館の地下からは数えきれないほどの死体が出てきた。綴喜は警視庁を混乱させた血抜き事件とは別に、人身売買で調達した人間でも実験を行っていた。血抜き事件は、代演事件の片手間に検体を補充する目的で行われていたようだった。綴喜に雇われて手術を行っていた闇医者もほどなくして足がつき、逮捕された。
 結果的に、降谷の作戦指揮で警察側に死傷者は出ず、被害者もこれ以上は出さない結果となったのだ。バーで恵が誘拐された段階で、建物の所有者が綴喜であることが判明したとしても、降谷が強攻に出なければ綴喜の証言を得られることはなかった。
 一連の殺人事件については、降谷に起因する事件であるというただ一点の情報を除き、伏せられていた二件目以降全ての事件が世間に公表されることになっている。警察は早期解決できなかったことを強く批難されるだろうが、できるだけ誠実に対応し、真実を公表するという結論を出した。それほど痛ましい事件であった。
 恵は凄惨な事件に巻き込まれ、自身も傷を負い生死の狭間を彷徨ったにもかかわらず、精神状態はいたって健康的な状態だった。失血によるショックで前後の記憶が曖昧なことが主な理由だ。
 事件の詳細を知りたい警察組織にとっては、恵の記憶に齟齬が見られるのは芳しい状態ではない。だが心的外傷後ストレス障害を発症する可能性もあるため、忘れたままでいることが好ましいと医師は判断した。周囲もその判断に納得していた。恵は事件の概要や工藤邸で過ごしていたことのみをぼんやりと記憶に留めているだけの状態である。
「そうだ、退院したら梓がポアロでお祝いしてくれるって言ってたの」
「俺も誘われた、蘭と一緒に行く予定。梓さん最近新規開拓したみたいで、めちゃめちゃ美味しいメニューが加わってるんだ。恵さん気に入ると思う」
「本当? 楽しみ」
「恵君、俺は誘ってくれないのかな」
「赤井さんもぜひ。ただ……零さんを誘っていいのか悩んでて……付いてくるとは思うんだけど……」
「……普通に安室さんとして行くんじゃない?」
 毛利の周辺にだけは強く安室の存在が残っている。安室を清算した降谷がどのようにしてポアロを訪れるのかと悩んでいた恵だが、気にすることじゃないだろうと新一は笑った。
 よくよく考えれば、どんな場所にでも馴染む降谷の手腕は素晴らしいものだ。警察然とした降谷に接触する機会が圧倒的に多い三人は、安室透の愛らしいキャラクター性について議論を交わし、大いに盛り上がることとなる。次第に日は傾いていった。
「じゃあ、俺はそろそろ戻ろうかな」
「はい。赤井さん、来てくださってありがとうございます」
「礼を言われることじゃないさ。降谷君への手土産も兼ねているし、何より俺たちはもう友人だろう?」
 立ち上がる赤井が、そう言ってささやかに笑った。まさか異性から友人だと称されるとは思わず、恵は気恥ずかしさを覚えながら肯定する。かつての人嫌いが嘘のように、恵の交友関係は降谷を中心に広がっていた。
「降谷君も数日の間に顔を見せるだろう、出てくるとき相当鬱屈としていた」
「はは、降谷さんってほんと恵さんにべたべただな」
「し、新一くん……やめてよ恥ずかしい……」
「だって、恋人は日本だとか言って車大破させる人が、恵さんの前では形無しだぜ? それに、みんなあの人の危険運転に付き合わされてても、恵さんは一度もないんだろ?」
「車を……大破……危険運転……」
「……これ言っちゃまずかったか」
 降谷が運転する車については別件でいいとは言えない思い出をもつ恵である。もう降谷の車には乗らない方が賢明なのではないか、そう考える恵に向かって赤井が降谷を庇う。
「彼は無事故無違反らしいぞ。ゴールド免許を見せてくれた」
「むしろ通報してあげるべきじゃないでしょうか」
 つたない庇い方だった。恵は容赦なく冷静なツッコミを入れた。
 赤井が帰り、しばらくして新一も帰宅した。赤井もだが、新一もよく気を遣って恵を見舞いに来る。ときに蘭を連れて、ときに志保を連れて。入院生活で暇を持て余している恵にとっては非常にありがたかった。
 志保とは初対面だったが、救出作戦ではバックアップに尽力したと聞き、恵は志保に強く感謝した。冷静沈着で頭のいい志保は、蘭とはまた違った安心感を恵に抱かせ、恵は志保にすぐ信頼を置いた。志保もまた、極めて人畜無害な恵を気に入った様子だった。
 入院生活はまたしばらく伸びることになる。降谷とは事件の後始末や自身の潜入捜査で顔を合わせない日が続いたが、それでも時間を縫って見舞いに来た。
 詳しい事情を知らない梓の「いつ退院できるの!? そんなにひどい怪我なの!?」という不安の声を宥めながら、恵は穏やかな日々を過ごした。


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