ぎぎぎぎんたま! | ナノ


▽ 叶った!


「バカじゃねーの」
「うるさいな!いいじゃないのバカでも!夢見ても!」
「そんなちっぽけな葉っぱに何ができるってんでィ」


そういって指をさした先にあるのは、私がせっせと作っている押し花…いや推し葉っぱ?
四葉のクローバー。シロツメクサの葉っぱ。
さっきまで私が課題そっちのけでそれはもうすごい執念で探してた葉っぱ。


「そんなもん、押し花にしたところで。何が叶うっていうんでィ」
「知らないわよ。なんでもいいでしょーが!」
「んだよ聞いてるだけじゃねーか」
「バカなんていうからでしょーが!」


後は辞書にでもはさんで…押し花なんて作るの久しぶりだなぁ…。
この後は栞にでもしようか。いや、樹脂買ってきてキーホルダーでもありだな。
目の前に居る沖田がまだ何か言いたそうにしてるが、あえて無視して作業をすすめる、

…が、なんとなく何を言いたいのか聞いてみたい気もするので(またバカにされるんであろうが)、聞いてあげることにした。


「…沖田、何?」
「…叶えたいことってなんなんですかィ?」
「へ?…あー、内緒」
「……そこまでして叶えたいことってなんなんでィ」


見上げたら思ったより沖田が真剣な顔をしていて驚いた。
本当、整った良い顔してるよ。くやしいくらいもててライバル多いから腹立つ。

そこまでして叶えたいこと?もちろん、沖田に振り向いて欲しいんだよ。

なーんて本人にいえるわけもあるまいし。
考えていたら、ぽつりと沖田が言う。あまりにも小さくて聞き取れない。

「…んな葉っぱに願わなくたって。俺が…」
「え?何?」
「んなちっぽけな葉っぱになんて願わなくたって、俺がお前の願いくらい叶えてやリまさァ」
「…本気で言ってんの?」


そう聞けば真剣な顔で頷かれた。
そしてそのまま椅子に座って、たったまま作業してた私を見上げるような感じでこう言い放った。


「だってすきなんでさァ。お前のこと」


だから、お前の願いは俺がかなえてーんでィ。


ああ、私の課題そっちのけの苦労はなんだったのか。
この辞書、開くの忘れそうだなと思いながら、私は笑った。


叶った!
(んだよほんと、バカじゃねーの、そんな願い)
(バカとは何よ!)


+++
みじかっ!うはぁ…

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