ブチャラティの筆下ろし(迫られる の続き) 観念して押し倒されたユウリの唇に、渇いた男の唇が押し当てられる。 「ん……! ブローノく、……」 「黙ってろ……」 もう少年とは言わせない。熱い吐息。これは、18になった男の唇だ。 はじめは唇の表面だけ合わせるだけの口付けだったが、やがて舌の絡む濃厚なものへと変わる。ふと目を開けてみれば、愛おしそうにこちらを見つめるブチャラティの瞳とかち合って、ユウリの下腹が甘く疼いた。 (ほんっとに……、なんでこんなにイイ男になっちゃったの……!!) それなりに恋愛経験のあるユウリでさえクラクラするほどの良い男。熱に浮かされたような眼差しで見つめられたら、身体の芯まで痺れてしまう。 「ユウリ、好きだ……。お前に心底惚れてる」 「耳元で、言わないでッ……!」 「耳が弱いのか? 可愛いな」 「誰だって弱いわよっ! 待って! あッ、もう、わざとやってるでしょ……!」 執拗に耳元へ吐息を吹きかけるブチャラティに、ユウリはキッと鋭い視線を向ける。けれど、半分蕩けたような涙目で睨まれても、はっきり言って男の興奮を煽るだけだ。ブチャラティは女の耳たぶを甘噛みしながら、手のひらを胸元へと下降させた。 焦れたようにブラウスのボタンを手早く外す。 その性急な手付きに、ユウリはずっと気になっていたことを口にした。 「ねぇ、ブローノくんって……経験あるの?」 ぴた。 ブチャラティの手が止まった。このリアクション、返事を待たずとも答えは明白だ。ユウリは「げえ……」と言いそうになるのを咄嗟にこらえた。 「……ねえちょっと、ホントに? その……初めて……なの?」 ブチャラティは目を伏せて答える。 「……ずっとお前のことだけ考えていたからな。この6年間、お前以外の女は目に入らなかった」 「え、えぇー……」 お、重てぇ〜……。 「……重たいか?」 「(バレた!?) いやッ、そんなことないけど! ブローノくんが私に操立てしてくれてたのは素直に嬉しいよ。でも、その……私、童貞の男の子とセックスするのって初めてだから……、えっと……ちょっと動揺しちゃって……って何ニヤニヤしてんの!?」 ブチャラティを傷つけないように言葉を選んでいたのだが、当の本人は何故だか緩んだ口元を押さえて視線を泳がせていた。 「……いや、悪い。『これからセックスする』って言われてスゲー興奮した」 「あーそう……そこね……んむっ!?」 油断しきっていた唇にブチャラティのそれが押し当てられる。有無を言わせず舌が差し込まれ、ユウリはその感触に身悶えた。彼の興奮ぶりが伝わる、余裕のないキスだ。 「はァ、……はー……ユウリ、……好きだ……、ん……」 「ん……んうっ……ふ、……ん、ブローノ、くんっ……!」 ブチャラティは荒っぽい手付きでボタンの残りを外していく。はら、とブラウスの前が肌蹴て、ブラックの総レースの下着に包まれた胸元があらわになった。 えーと。こういう場合、焦らした方がいいのかな。それとも私の方からブラジャー外しておっぱい見せた方がいいんだろうか。 キスをしながらユウリはそんなことを考えていた。 けれど、ユウリが何かするより先に、ブチャラティはブラジャーのカップを下にずらして、淡い色の乳首を露出させた。 「はぁ……」 ブチャラティは熱い吐息とともに、唇、首筋、デコルテを辿って胸元へと唇を寄せる。 憧れ続けた女の胸。きれいな桜色の乳首。 クラクラした。ブチャラティは夢中でそこにしゃぶりついた。 「あッ! ぶ、ブローノく……、あんっ!」 ───ちょっと待って何この子!? どうしよう、舐めるの超上手い!! ユウリの太ももから爪先までがピンと強張る。ブチャラティの責めは童貞らしく荒削りなものだったが、舌使いの巧みさはまさに天性のものだった。 「あっ、あん……ちくびっ、すごいぃ、きもちぃ……」 「気持ちいい? ……もっと良くしてやる」 「あぁん!!」 たっぷりと唾液を絡めて乳首を転がし、じゅるるるっ、と音を立てて吸う。尖らせた舌先で乳輪をなぞると、ユウリは「あんっ」と甘く鳴いて背を浮かせた。 ブチャラティはその隙に背中に手を回してブラジャーのホックを外し、乱暴に下着とブラウスを取り払った。 「あ……おっぱい、丸見えになっちゃったぁ……」 ユウリはもはや胸元を隠そうともせず、とろん、と甘ったるい目で見つめてくる。 「なあ……お前、エロすぎじゃあねえか」 「それ、よく言われるぅ……」 「……待て。『よく言われる』って、誰にだ」 「えっとぉ……、今まで付き合った人たち……」 「…………」 ブチャラティの表情と動きが止まる。あっやべっ、怒った?―――とユウリが身を起こそうとしたとき、 「んッ!!」 勢いよく唇を塞がれた。 「んぅっ……んちゅ、……はぁ……、あふっ……」 「……お前、……こんな、……ン、妬かせるなよ……はァ……」 嵐のように激しく口づけ合って、途切れ途切れに呼吸する。 唇が離れても、透明な唾液の糸が2人を結んでいた。 「ブローノくんてば、ヤキモチ焼いたんだ。カワイイね」 「……お前な……、そんなこと言ってられなくなるぞ」 「ドーゾ? ほら、セックスしよ?」 小悪魔みたいに妖しく笑って、ユウリはまるで見せつけるように膝丈のタイトスカートを脱ぎ払った。20デニールの黒いストッキングも脱ぎ、ソファの脇にはらりと落とした。 「ユウリッ……!」 ショーツ1枚になったユウリに、ブチャラティはたまらず覆いかぶさってキスをした。はっきり言って、もうめちゃくちゃに興奮していた。 大袈裟でなく夢にまで見たユウリの裸体。正直なところ、彼女に焦がれて夢精したことすらあった。 「はーっ……、はーっ……、ユウリ……」 「あっ……ちょっとぉ……、こすれてるぅ……」 「仕方ねえだろッ……」 キスをしながら、ブチャラティは無意識のうちに身体の中心部をこすり付けていた。ユウリの下腹部に、パンパンに張り詰めたペニスを押し付ける。スラックス越しでもその熱と硬さが伝わってきて、ユウリの背筋がゾクゾクとあわ立った。 「はぁ……、ブローノくんのおちんちん、すごい、……苦しそう……」 ラクにしてあげるぅ、と舌足らずに言って、ユウリは屹立したペニスに手を伸ばした。 カチャカチャと手探りでベルトを外し、ボクサーパンツに手をすべらせる。 「ッ……!」 グレーの下着はもうくっきりとペニスの形が浮き出ており、中心部はもうドロドロのカウパーですっかり色が変わっていた。 「すごぉい、ビクビクしてる」 ボトムと下着を太ももまで下げて、ペニスを取り出す。肌の色よりも一段階濃い色の包皮が、まだすこしだけカリ首の部分に被っていた。 ドクンドクンと脈打つペニスを優しく右手で包んで、緩やかに手を上下させる。 「う……!!」ブチャラティの表情が苦しげに歪んだ。初めて見せる表情だ。 「はァッ……、もっと、強くッ……」 「しょうがないなぁ。ほらぁ、いっぱいシコシコしてあげる」 「ッ! ぐっ、 ユウリ、……ッ!!」 「あはっ、かーわいい」 フェラチオもしてあげたいけど、ブローノくんてばおちんちん舐めたらすぐイッちゃいそうよね。 フェラはまた今度かな……とぼんやり思っていると、ユウリは太ももに違和感を覚えた。 「あ……! ちょっとぉ……!」 ぴったりと閉じたユウリの太ももの間に、ペニスが差し込まれたのだ。ユウリの視点では、自身の太ももの間から赤黒い亀頭が飛び出しているように見える。 ブチャラティは我慢できずにそのまま腰を揺さぶった。カウパーでヌルヌルになった亀頭はおもしろいくらいによくすべり、ローションなしでも充分だった。 「はぁー……、っ、あ……!」 「あぁぁん! こんなのだめぇ! こんなッ、中途半端なのぉっ……」 「……中で、すぐ、出したらッ……カッコつかねえ……だろッ」 「はぅぅ、あぁん! だからってぇ……! こんなっ、あぁぁん!……素股なんて、もどかしいよぉっ……」 「濡れてるクセによォ、よく言うよなッ……」 ペニスは太ももから脚の付け根の方へ降りてゆき、もはや素股ではなくマンズリになっていた。ショーツ越しにこしゅっこしゅっ、と亀頭がクリトリスをかすめて気持ちいい。 素股なんて中途半端でもどかしい、と言っていたユウリの口からは、次第に甘い喘ぎが漏れはじめた。 「あッ! あんっ、あぅんっ、おちんぽっ、クリトリスっ、あたってるぅっ! だめっ、あんっ、おちんぽっ、きもちいいのぉっ!!」 「ッお前……!! まだ入れてねえのに、ッこんな、感じてンだなッ! はぁッ、……ぐ、……ッん……!!」 「あぁぁんっ!! だめぇ、きちゃう、こんなのでイクッ! あぁぁん、イッちゃうぅ!! イクッ、素股イキしちゃうぅっ!!」 ユウリの嬌声に、ブチャラティもますます興奮して腰の動きを激しくした。ちゅこっ、ちゅこっ、といやらしい音を立てて、互いの敏感な部分が熱くこすれる。 「はーッ、あぁ、俺も、もう出るッ!」 「あっ!! ふあぁっ、もぉだめぇぇ!! おちんぽでごしゅごしゅされてイクッ――!! 」 「ぐッ……!!!」 ユウリが背を仰け反らせて達したのとほぼ同時に、びゅるっ、と重たい精液が彼女の腹を濡らした。 「はー……はー……、す、素股でイッちゃった……」 ぎゅ、とブチャラティの首に腕をまわして、ユウリは大きく息を吐いた。 ブチャラティはそんな彼女に触れるだけのフレンチキスをして、腹に出した精子をティッシュで拭ってやった。 「んふ、すごーい……。今イッたばっかりなのに、おちんちんもう勃ってるぅ……」 「……当たり前だろ……。だから先に1回抜いたんだぜ」 聞いているのかいないのか、ユウリは完勃起したペニスをつついて微笑んでいる。 「やめろ、出ちまうだろ」 「これくらいで出ないでしょ」 いたずらっぽく笑って、ユウリは「そうだ」と思い出したように言う。 「ねえ、ベッドに行こうよ。初めてがソファなんてイヤでしょ?」 「俺はべつに、相手がお前ならどこでもいい」 「もー、そういうこと言う……。いいから来て」 2人の体液で濡れたソファから降りて、寝室へと向かう。 ベッドに辿り着くまでに、ブチャラティは中途半端に纏わりついていたボトムと上着を脱ぎ捨て、裸になった。 「なぁ、すげぇ濡れてるぞ」 女をベッドに押し倒しながら、ビショビショになったショーツをゆっくり剥ぎ取る。 あらわになったそこはもうぬるま湯でもかぶったようにぐっしょりと濡れて、くぱくぱと口をひらいて男を待っていた。 「スゲーな、こんなに濡れるモンなのか」 「だって……、さっきいっぱい擦られたからぁ……、───あん!!」 くちゅ、と小さな音を立てて中指が埋まった。愛撫というよりも、好奇心旺盛な子どもが探検するみたいに、悪戯っぽく抜き差しする。内部はもうすっかりぐずぐずになっていて、なんの抵抗もない。自然と指が二本に増やされる。 「あぁん!ゆびぃ、気持ちいぃ……」 「ッ!おい、チンポ擦るな……!」 ペニスはとめどなく溢れるカウパーで濡れて光っていた。ユウリが両の手のひらで扱くと、あっ、と声をあげて男の腰が引けた。 「やめ……ッ、また、出る……!ッもう、入れさせてくれ……」 「入れたいのぉ? ……ん、いいよ、ほら」 ここだよぉ、と脚を広げ、ペニスを導く。ブチャラティはもう限界だった。手加減する余裕など微塵もない。 ふーっ、ふーっ、と荒く息を吐きながら、割れ目にペニスをあてがう。しっとりと濡れた性毛に囲まれた陰部は、物欲しそうにひくついて、やがてゆっくりとペニスを迎え入れた。 「あ……ッ!入って、くるぅ……!!」 先端が埋まれば、あとはもう簡単だった。やわらかくぬかるんだ内部はペニスを喜んで受け入れ、自由自在に形を変える。 焦らすこともせず一気に奥まで辿り着くと、ブチャラティはあまりの快感に尻を震わせた。耐えきれずにすこし精子が漏れたようだった。 「何だ、これはッ……!うっ、……良いッ……」 「はぁぁん、すごいぃ……おちんぽ奥まで届いてるぅ……」 「クソ、腰が、止まらねえッ……」 若さとは素晴らしいものだった。 はじめて女の体を知ったブチャラティは夢中で腰を振り、容赦なく最奥を突き上げた。不恰好になることも気にとめず、ユウリの身体に跨ると、ばちゅばちゅと音を立てて敏感な膣内の壁を太いカリで擦り上げる。女の口から強請るような声が零れた。 「あん!あんっ!だめぇ、ズポズポされるのダメェ!あぁん」 「ん……スゲェ、締まる……ッ」 「やだぁ、良いのぉっ、ブローノくんのおちんぽ良いッ、気持ちいぃよぉ」 ヘコヘコと腰を揺するたび、性器と下腹部のあたりに震えるような快感がはしって、頭の奥が真っ白になる。行き過ぎた快感とは恐怖にも似ていた。 「あんっ、あぅん、生ハメセックス良いっ!もぉだめ、イク、イッちゃうよぉ」 「お前、この奥のところが良いんだな……ほら」 「あぁぁんっ!だめぇ!そこっ、ホントにだめだからぁぁ!」 ユウリは、子宮口に近い壁のあたりが弱かった。そこをペニスでコンコンと押されるようにつつかれるともうダメだった。 ふいに視線が絡み合い、眼前の色男と、十二歳の少年とがリンクする。 ───なんだか、いけないことをしている気分だ。 けれど背徳感とは快楽とも表裏一体であった。ユウリの全身に、気が遠のくほどの快感がはしった。 「やぁぁん、だめっ、イクッ、イクぅ〜〜〜っ……!!」 「ッ!!中っ、キツッ……!」 「あぁん、イッてる、のにぃ!パコパコ突かないでぇ〜……っ!!おかしく、なるぅ……!!」 達したばかりの膣はペニスを出し入れする動きすら惜しむように、収縮を繰り返してきゅうきゅうと締め付ける。少しでも射精を堪えたいブチャラティからすればたまったものではなかった。 「待っ……、くそ、出るっ……!!」 少年の精悍な眼差しはすっかり欲情しきって、今はもはや野生の獣のそれだった。初めての女の身体は少年を大人にも獣にも変えるのだ。 目の上で切りそろえられた前髪が汗で肌に貼り付いている。それを指先でそっとすくって、ユウリは精液を強請るようにキスをした。ブチャラティの蕩けるような吐息を口腔内に感じる。限界が近いのだった。 「ブローノくん、あっ、いいよぉ、んぅ、あんっ、ここに、いっぱい出してぇ」 「ハァ、っ……ユウリ、……ッイク!ダメだ、出るっ!」 「あぁっ」 ぐり、と一番深いところに腰を押し付け、少年は吐精した。排泄するような勢いで、ドクドクと大量に流れ込む。こんなに出したのは初めてだった。 「はーっ……はーっ……、すげえ……」 惚けたように言う。ブチャラティの尾てい骨のあたりがジンジンと疼いて、射精の余韻で腰が痙攣するようだった。 「初めてのセックスで生ハメ中出ししちゃったのやばいね、ブローノくん……超キモチよかったでしょ」 「ああ。どうにかなるかと思った」 「私もすっごく良かった。こんなにイキっぱなしだったの、初めてかも」 「マジにか?いいな、それ」 繋がったままの部分。ユウリの中でペニスがまた大きくなった感覚があり、ちょっと!と抗議の声をあげた。 「もうムリ、疲れちゃったよぉ」 「何言ってんだ?俺は今日まで散々焦らされてきたんだぜ」 これだけで足りるか。 そう言ってペニスをゆっくり引いて、抜ける寸前でまた戻す。 「あぁぁん!それ、だめだってばぁ!」 「ダメって声じゃあねーだろ、そりゃ」 「すぐ気持ちよくなっちゃうからダメなのぉ!あっあっ、もう、動かないで〜……っ!!」 「無理、だな……」 抵抗しようと身を捩ったのが仇となり、器用に身体を転がされ、寝バックの体勢で思うまま腰を押し付けられる。先ほどのようなむちゃくちゃな律動ではなく、中を探ってかき回すような動きだ。女は泣くような声を上げた。 「も、だめぇ……もうぜんぜんわかんないぃ……」 ───その日、互いに何度果てたのか、どのように終わったのかも覚えていない。 目を覚ましたときにはもう深夜であった。 強烈な喉の渇きを感じて上半身を起こすと、すべての元凶が隣ですやすやと寝息を立てて眠っていた。その寝顔といったら、腹が立つほどに美しい。 裸の肩が寝息に合わせて上下している。毛布をかけ直してやると、んん、と悩ましい声をもらして、黒髪のダビデ像は寝返りをうった。 ケーキを口実にこの男を家に上げたのだが、結局のところケーキなど箱からも出していない。ああやっちまった。私ってば年下のアウトサイダー相手になにをやっているんだ。 猛烈に襲いくる賢者タイムに頭痛と眩暈を覚えたが、その反面、もはやこの男のことが愛しくてたまらなかった。ユウリは身をもって知ったのだ。背徳とはこの上なく甘美なものである。 「……くそぉ、呑気に寝てくれちゃって」 憎まれ口をたたいてみるが、それでも無理やり起こしてやろうなどとは思えなかった。かわいいなあ。好きだなあ。いま思うのはそんなことばかりであった。 終 2021.03.05 お題「ブチャラティに迫られる、の続き」「ブチャラティの筆下ろし」 |