スクアーロとティッツァと三角関係
 イタリア全土に勢力を伸ばすギャング組織、パッショーネ。
 決して素性を明かさないボスに対し、不平を感じ、正体を探ろうとする者が時おり現れる。そんな不穏な行動を見せる裏切り者の粛清も、ボスの親衛隊であるスクアーロとティッツァーノの仕事だ。

 彼らは常に滞りなく任務を遂行していたが、今回は少し下手を踏み、スクアーロを庇ってティッツァーノが負傷した。
 傷自体は浅かったが、己の不注意で相棒に傷を負わせてしまい、罪悪感を覚えたスクアーロは「俺に出来ることならなんでも礼をする」と提案した。

「…なんでも、ですか」
「ああ」

「まぁ、何でもっつってもそりゃあ限度があるがよ」と続けるスクアーロだったが、ティッツァーノの次の言葉に凍りついた。

「ユウリとセックスがしたい」












 スクアーロがまず思ったのは、コイツまだユウリのこと諦めてなかったのか、ということだった。ユウリは仕事仲間であり、スクアーロの恋人だった。ティッツァーノは長い間彼女に横恋慕していたが、もうとっくに吹っ切れたと思っていた。

 次にスクアーロは、イヤお前何言ってんだアホか、と即答できないのを不思議に思った。必死に口説き落とし、やっとのことで手に入れた女を他の男に一晩でもくれてやるなど、できるわけがない。

 ―――そして。



「ユウリ、スクアーロ…ありがとう」

 ローマ郊外のホテル。最上階のスイートルームに三人は集まっていた。
 リビングスペースで、三人そろって丸テーブルを囲む。シャンパンを二本、空にしたが、誰一人として酔いが回らない。


 結論から言うと、スクアーロは一連の判断をユウリに委ねた。
 そして、ユウリはティッツァーノから提示された条件を承諾した。自分を抱きたいなどという頼みを聞いた時は耳を疑ったが、恋人をかばって受けた傷や、捨てられた子犬のような彼の瞳にほだされ、その願いを聞き入れたのだった。

「まさかユウリがOKしてくれるとはね」
「…それは俺も予想外だったぜ」
「いや私も…つい…」
「でも、どうしてスクアーロも一緒なんです? ユウリとふたりきりだと思ったのに」
「2人になんてするわきゃねェだろ! これでも譲歩してんだぞ!」

 声を荒げるスクアーロを、ユウリがまあまあ、となだめる。ここまで来て、つまらない喧嘩はやめて欲しい。

「ねえ、早く始めよう…もう我慢できない」
「あっ。ちょっと、ティッツァ」

 シャンパングラスを持ったままのユウリを抱き上げ、ベッドへ向かう。スクアーロはあわてて追いかけ、ユウリの手からグラスを受け取った。

「ずっと好きでした。…こうして触れられるなんて夢みたいだ」
「ティッツァ、私……んっ」

 キングサイズのベッドに押し倒しながら、ゆっくりと、そして深く口付ける。

「あっ!? テメー、キスまで許可した覚えはねェぞ!」

 すかさずスクアーロが二人の間に割って入ろうとするが、ティッツァーノがギュッと強くユウリを抱きしめ、邪魔を防いだ。
 ―――そもそもセックスを許可したくせに、今さらキスでガタガタ騒ぐとはどういうことなのか。ユウリとティッツァーノの思考がシンクロした瞬間である。

「スクアーロ。ユウリですら覚悟を決めたっていうのに、お前は…」
「いやフザけんな、キスは大事だろキスは!」
「なに処女みたいなこと言ってるのよ。…もう、早く始めましょう」

 ユウリは布越しにティッツァーノのペニスを撫でた。そこはすでに期待で硬くふくらんでおり、ティッツァーノは切なげに下唇を噛む。

「ティッツァ、服、脱いで」

 言われたとおりにティッツァーノは生成り色のオールインワンを脱ぎ、下着姿になる。ティッツァーノはユウリの服を脱がそうとするが、スクアーロが制止した。

「待て。俺が脱がす」
「ケチですね」

 スクアーロはユウリを抱え込むように後ろへまわった。モヘアのタートルネックに手を入れ、うすっぺらで柔らかい腹を撫でる。ふふ、とユウリがくすぐったそうに笑う。
 自身の腹をまさぐるスクアーロの手を取って、ユウリはトップスをデコルテのあたりまで捲り上げた。一気に露出した白い肌に、ティッツァーノがごくりと喉を鳴らす。
 ふっくらと柔らかな乳房を包む、コーラルピンクの布地に、白い花のレースでふちどられた下着。

「可愛い下着ですね」
「これ俺が買ったやつ」

 勝ち誇ったような表情のスクアーロを無視して、ティッツァーノはレースを少しずらして乳首を露出させた。「あっ…」ユウリの頬がわずかに紅潮する。
 桜色の小ぶりな乳首。ティッツァーノは感動したように大袈裟な溜め息を吐いた。

「…すごく可愛い。ユウリの乳首、むかし一度だけ見たことがあるけど、何度も何度も思い出してオナニーしました」

「えっ」まさかの爆弾発言に、ユウリとスクアーロの声が重なった。

「以前仕事でユウリがドレスを着ていたときがあったでしょう。ほらあの青いロングドレス。ユウリが屈んだときに一瞬、チラッと見えたんです。もうすごく興奮してしまってその日は眠れなかった。朝までオナニーした」
「ええぇ…知らなかった…ていうか知らないままでいたかった…」
「ティッツァ、お前マジかよ…」
「はい。あの日見たユウリの乳首が忘れられません。舐めてもいいですか」

 あまりに真剣なティッツァーノの目に、ユウリはくすっと笑って、どうぞ好きにして、とブラジャーのホックを外した。
「仕方ねーな…」
 スクアーロは不本意そうに、ユウリの上半身にわだかまっていたタートルネックを脱がし、細い腕からするりとブラジャーを抜きとってやる。
 ハリのある白い乳房。その中心のピンク色に、ティッツァーノは夢中でしゃぶりついた。

「あっ! ティッツァ、いきなり激しい…!」

 ずっと憧れていた女を前にして、じらす余裕などない。ティッツァーノは尖らせた舌で乳首をねぶり、唇で挟んでその突起を堪能した。

「ん、ふぅ…。あぁ、ん」
「…ハァ、ユウリ、可愛い声」

 感度もよく、乳首はすぐにピンと硬くなった。ティッツァーノはうれしそうにもう片方の胸も指で愛撫する。やさしく指ではじいたり、カリカリと爪で引っ掻いてみたり、その度にユウリは声を上げて、その白い体を波打たせた。

「おいユウリ、お前スゲェ感じてんじゃあねーかッ! 」
「あん! あっ、あぁん。だって、ティッツァ、舐めるの、上手…」
「嬉しい、ユウリ。もっと気持ちよくなって欲しい…」

 そう言ってティッツァーノはますます激しく乳首に舌を絡めた。ローションのように唾液をたっぷりと垂らし、左右前後に舌を細かく動かす。

「あん! あぁ〜ん、ティッツァ、あん、きもちいぃッ…」
「く、クソ…ティッツァ…」

 喘ぎながら、ユウリは無意識のうちにぐいぐいと腰をティッツァーノの身体に押し付けていた。ティッツァーノはそれが嬉しかったが、ユウリを後ろから支えているスクアーロはたまらなく悔しかった。いつもならティッツァーノの場所には自分がいたはずなのに。

「はァ、ユウリ、スカートの中…見てもいいですか」
「…良いわよね? スクアーロ」

 ユウリが振り向く。交差した視線があまりにも熱っぽくて、スクアーロは生唾を飲み込んだ。
 良い?と、恋人が自分に確認してくれたことが嬉しい。自分で承知したくせに、他の男に恋人の身体を差し出すのは腹わたが煮えくりかえる思いだったが、スクアーロはユウリに頷いてみせた。

「スクアーロ、ありがとう」

 そう言ってティッツァーノはユウリの太ももを持ち、M字に開脚させる。
 穿いていたグレンチェックのプリーツスカートがたやすく乱れて、女の臀部を丸見えにした。

「…ユウリ、パンティ、すごい濡れてる」
「言わないでよ…」

 ブラジャーと揃いのショーツ、その中心はすでにぐっしょりと濡れていた。
 それをまじまじと見つめられ、ユウリは羞恥から、両手で口元を覆って首を振った。それでもユウリの体の中心は、期待と興奮でますます水気を帯びる。

「舐めたい。舐めていいですか」

 言いながら、ショーツの濡れた部分を三つ指でなぞる。布の上から、厚みのある大陰唇をかき分けるような動き。
 そこは少し指を動かしただけで、くちゅ、と湿った音を立てる。あっ、と吐息まじりにユウリが喘いだ。
 ティッツァーノは堪えきれずに、息を荒くしてショーツを脱がせた。うっすらと生えた陰毛は肌に貼りつき、開脚しているせいで濡れた性器の入り口が見えている。ティッツァーノは芸術品でも眺めるようにうっとりとそこを眺めた。

「スクアーロにハメられまくってるのに、すごく綺麗なアソコですね」
「…ハメるとか、下品な言い方しないで」
 顔を赤くするユウリに、スクアーロがおい、と突っ込む。
「事実なんだから別にいいだろ。つーかお前マジで濡らしすぎ」
「あっ」

 ユウリの背後からスクアーロの手がのびた。勝手知ったる、というふうに、むき出しになったユウリの割れ目に右手の中指を挿入し、浅く出し入れをする。

「あっ! スクアーロ、だめ! すごい、あっ、あん、…感じちゃってる、からぁ…!」
「クソ、ティッツァ相手にこんなに感じやがって…」

 他の男に濡らされた膣が憎たらしい。しかし感度はいつもどおり良好で、スクアーロの指をきゅうきゅうと締めつける。

「あん、あぅ、んんっ…」
「スクアーロ、指、抜いてください。舐められないじゃあないですか」
「お前な…」

 渋々、スクアーロは指を抜き、その濡れた指先をユウリの口へ持っていく。ユウリは慣れているのか、おとなしくスクアーロの指を舐めた。
 ティッツァーノは息の荒い唇を女の性器に近づけると、唾液まみれの舌をのばしてそこにしゃぶりついた。

「あぁぁん! あぁ、んぅぅ…あぁん、あっ、あん、ティッツァ…!」
「すごい、どんどん濡れてくる…はぁ」

 こんな機会はもう二度とない。ティッツァーノはなりふりかまわず夢中で割れ目を舌で上下になぞり、クリトリスを吸った。
 スクアーロはその間に、乳首をコリコリとこね回す。

「あぁぁ…っ、一緒になんて、あん、だめぇ…!」

 行き場を失ったユウリの手は、ティッツァーノの頭をつかむ。ハニーメープルのような美しい長髪が手の中でくしゃっと歪んだ。

「あぁ…もうダメ、入れたい…」

 ティッツァーノは、下着から取り出したペニスを右手でしごいた。褐色肌のペニスだが、カウパーで濡れた先端は果実のように赤い。
 ユウリは久しぶりに見るスクアーロ以外のペニスに、思わず生唾を飲んで赤面した。
 ああ、私これからスクアーロじゃない男の人とセックスするんだ。恋人の目の前で、この大きなおちんちん入れられちゃうんだ。

「ああ…本当に、ユウリとヤレるんだ…」

 感嘆の溜め息をもらすティッツァーノに、おい、スクアーロが釘をさす。

「約束通り、一発だけだからな。一発ヤッたら終わりだ。あとテメー、ちゃんとゴムつけろよ」
「わかってますよ。…ハァ、中出ししたかったなァ」
「えっ!?」

 それにはさすがにユウリもぎょっと目を見開いた。スクアーロは血管をヒクヒクさせながら「ザケんなテメー!!」と叫ぶ。

「スクアーロ、耳元で大声出さないで…」
「ユウリは黙ってろ! いいかティッツァ、お前調子乗りやがって、コイツが誰の女かわかってんだろうなァ!?」
「あぁんッ!」

 きゃんきゃんうるさいスクアーロを無視して、ティッツァーノは素早くコンドームを装着すると、その先端を挿入した。ユウリは喘ぎ、上半身を弓なりに震わせる。

「あぁ…ユウリ、先っぽ、入りましたよ…」
「おいコラ!!」
「あぁッ… あぁん…ティッツァ…はやく、はやく奥までいれてぇぇ…」
「ユウリッ! テメーら聞けよッ!」

 まだ先端が埋まっただけだというのに、ティッツァーノはあまりの快感に涙を滲ませた。先端に全ての神経が集中したように、とても敏感になっている。
 ずっと好きだった。一度でいいから繋がりたかった。早く全部入れて、とユウリは強請るが、すぐに終わらせてしまっては勿体ない。
 しかしユウリの淫らな肉に抗うことはどうやっても不可能で、ティッツァーノは全身に甘い痺れを感じながら、ゆっくりと腰を奥へすすめた。

「あぁぁん…ティッツァぁ…いい、きもちいいのぉっ…」
「うぅッ…。ぜ、全部、入ったッ…」

 そこからはもう嵐のようだった。積年の思いをぶつけるように腰を打ちつけ、恋人のように指と指を絡める。好きです、愛してる、とうわごとのように囁くたびに、ユウリの膣がきゅうっと萎縮する。

「おいユウリ、アンアン言ってんじゃあねーぞ。こっち向け」
「んッ」

 ユウリが振り向くと、スクアーロは噛みつくような勢いでキスをした。愛憎をたっぷりと含んだ、奪うようなキス。

「あっ、う、ユウリ、今、スゴい締まった。スクアーロにキスされて、感じてるんですね」

 奥を突きながら、ティッツァーノは大粒の汗を落とす。もう、妬けて妬けて仕方なかった。この胸の痛みには慣れたと思っていたのに。

「あぁ、ユウリ、スゴい、気持ち良さそう、そんな顔されたら、あッ、もう、出るッ…」
「んッ、んふぅ、あん、ティッツァ…」
「あぁぁ! ユウリ、出ます、もうイキますッ!」

 嫉妬も愛も快楽もすべて混ざり合って、頭の奥へ突き抜ける。頭が真っ白になるような感覚。ティッツァーノは掠れた声を出して、ラテックスに射精した。ここ最近記憶にないくらい、無我夢中だった。そして間違いなく、今までで最高の射精だった。

「はぁ…はぁ…。ユウリ、好きだ、愛してる」
「ティッツァ…」
「今日のこと、一生忘れません。やっぱり私はユウリのことが好きだ」

 幸せ、と胸にもたれてくる褐色肌の青年、その頬をユウリは優しく撫でる。

「ユウリ、テメー、満更でもなさそうなカオすんな!」
「だって…、ティッツァみたいな綺麗な人にそんなこと言われたら、フツー照れるでしょ」
「ンだとォ!」

 生意気言いやがって、今度は俺の番だからな。
 スクアーロはユウリを四つん這いにすると、尻を自身の腰の位置まで高く上げさせた。
 ティッツァーノはコンドームを取り、口元をしばって捨てた。そしてユウリの前に跪くと、まだほんの少し硬さの残るペニスを握りしめる。

「クッソ、トロットロじゃあねーか」

 バックの体勢で先端をあてがうと、ぐずぐずにふやけたその入り口に、スクアーロは思わず舌打ちした。クソ、どんだけ感じてたんだよコイツ。

「あぁもう入れるからな。メチャクチャ突いてやる」
「あっ…スクアーロ…!!」

 何度も受け入れてきたスクアーロのペニスを、ユウリの膣はたやすく飲み込んだ。もう数えきれないくらいセックスをして、ユウリの中はもうスクアーロの形を記憶している。

「あぁぁん! スクアーロ、奥っ、奥まで届いてるぅ…!」
「お前、まだイッてないよな。ティッツァにイキ顔見せてやれ」
「あッ、あ〜ん、あぅん、だめ、あん、そんなのだめだってばぁ!」
「見せてください。ユウリのイクところ、見たい」

 2人のセックスを特等席で見つめながら、ティッツァーノは激しくペニスをこする。ユウリの喘ぎ声も、突かれるたびにぷるんぷるんと揺れる乳房も、ゆるみきった隙だらけの唇も、たまらなく興奮した。

「あっ、やだ、ティッツァ、あんっ、あんっ、そんなに見ないで…」
「はぁ…うッ、無理、ですよ…そんなの」
「オラッ! 気ィそらしてんじゃあねーぞ!」
「あぁんッ!」

 前後のピストンの動きに加えて、スクアーロは円を描くようにぐりぐりと奥を責める。ユウリの声が震え、いっそう甲高くなる。イキそうな時の声だ。スクアーロの興奮と支配欲が高まり、自然と腰の動きが激しくなった。

「うッ、ユウリ、ほらイけよ、はァッ、イイんだろ、これ」
「んぅ、うぅん、あぅっ、イイっ、スクアーロのおちんちんイイのっ。だめぇ、もぉイク、イッちゃう!」
「ユウリ…スゲェ可愛い。私も、もう、あぁダメ、出るッ」

 ビクッと尻を浮かせ、ティッツァーノはユウリの顔面に射精した。頬に生暖かな白濁を吐き出され、「あぁんッ」連鎖するようにユウリも達した。
 イッたことで膣は小刻みに痙攣し、ぎゅうぎゅうと収縮を繰り返す。

「うぅッ、クソ、出るッ! 出すからな、ユウリ、いいか、あぁ、イクぞッ!」
「あッ、スクアーロ、まって、あんッ、もぉ、ヘンになっちゃうッ…」
「あああッ、イク! イクッ! 」

 快感に抗いきれず、スクアーロも最奥に熱を吐き出した。震えるユウリの腰を支え、すべて出し切ってもまだ、その余韻を味わう。
 ティッツァーノはティッシュでユウリの頬を拭うと、濡れた唇にキスをした。

「ユウリ、スゴく良かった。キミは世界一いい女だ」
「…当たり前だろうが。誰の女だと思ってやがる」




2019.04.07
お題「スクアーロとティッツァと三角関係で裏」
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