沢田達と遭遇してから二週間ほど経ったが、特に何も起きない。

よかった。本当によかった。

会ってからすぐはずっとビクビクとしていたが、今ではもう堂々と廊下を歩ける。人が勝手にはけていくから真ん中を歩きやすいなあフハハハ泣いてなんかないんだからね。


そうして気付けば体育祭当日。
了平は当然のことながら、「極限必勝!」とメラメラ燃えている。熱い。

今年は運のいいことに僕はB組だ。体育祭のチームは縦割りで作られるため、A組の了平や沢田達とは別チーム。
去年は了平と同じチームだったが、了平の熱血が原因で様々なトラブルが発生したり面倒なことに巻き込まれたりと、体育祭どころじゃなかった。ひたすらに神経削られていた記憶しかない。
だから別チームで、とても、とても安心している。とても。

了平はゴリ押しで沢田をA組の総大将にしたらしい。沢田かわいそうに。ご愁傷様。僕も通った道だよ諦めな。


そういえば、さっきからなんだか見られている感じがする。一人からではなくて大勢から。
……僕が体育着を着ているのがそんなに珍しいのか?体育とか普通に出てるんだけど。週三で体育着を着てるんですけども?
そんなに学ランイメージ強いか。特に下級生からジロジロと視線を感じる。

「ヒバリさんも体育着とか着るんだ…」

おい、今言ったの誰だ。聞こえたぞ。僕をなんだと思ってるんだ。

複雑な気持ちになっていると、遠くから了平が歩いてくるのが見えた。

「ヒバリ!俺達は互いに友情を誓い合った仲ではあるが、今は敵同士だ!極限に全力でぶつかり合うぞ!」
「ああ、うん」

了平は通常運転。全力でぶつかり合うとは言ってもね、僕の個人競技は玉入れだけど。


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