女装に目覚めたのは、高校生のとき。女子の制服を見て、なんとなく可愛いと思ったから。男子の制服よりあっちのが着たかった、それくらいだった。
大学生に入ってバイトをはじめると自分の金が手に入るようになってはじめて、ふりふりのスカートやピンクのセーターを買ったりした。いつしかそれが趣味になり、服装だけでなく髪も化粧も凝るようになった。

その格好で街に出掛けても、はじめのうちはバレるかもとどきどきしたけど意外にもバレない。いつしか背筋を伸ばして、女っぽく歩いたり、可愛いショップに入っても注目されないし、ショッピングも出来るようになった。この前なんてナンパされた。似合ってるらしい。

でもしばらくして女装だけじゃ物足りなくなった。だから今日は思い切ってマッサージに来たのだ。もちろん女装して。

フリフリの短いスカートを精一杯に下に引っ張って、うつ伏せでいるとその手を誰かに取られて体の横に置かれる。
ここはマッサージ店で、俺は女装好きな変態だ。バレるのは恥ずかしい、でもばれたらどうしよう。ちょっと、楽しみになる。そんな気持ちを抱えている。
担当の人は爽やかな肉体系。俺の手を取った時の手の大きさとかゴツゴツ感はちょっとちょっとときめいたりもした。

「むくみが酷い、と。お仕事忙しいんですか?」
「は、はい」

出す声はちょっと高め、流石に素で喋ったら男ってすぐバレる。
実際仕事は忙しい。そのぶんのストレスを女装して休日で発散している。

「揉んでみたりすると全然変わるんですけど、実際そんな余裕もない方もいるんですよね」

声が掠れていて、すごく優しい。サービス業とは言え、勘違いする人がいてもおかしくないくらい。

「じゃあまず太ももの方、揉んでいきますね」
「お願い、します」

さっき触れた大きな骨ばった手が、ニーハイの上から太ももをゆっくり押し始める。痛くはないけし、気持ちいい。でもバレないか、恥ずかしい。
押すだけじゃなくて、指でゆっくり揉みはじめる。ほどよい力加減で緊張に強ばった身体から力が抜ける。さすがプロ。

ぐにゅっぐにっぐにゅっぐりりっ...

「んっ...ふっ、ぁ」
「痛くないですか?女性の方だと痛がる方も少なくないんですよね」
「ぁ、あ...だい、じょぶ、です...っ」
「良かった」

鼻に掛かったような声がつい漏れ出て、唇を噛む。それでも吐息が何度も漏れる。やばいくらい気持ちいい。
それだけじゃなくて、先生の低い声で優しく声を掛けられるたびに腰の奥にじんじん響く感じがする。あ、また変な声が漏れる...。

「は、ぁ...んっ」

一瞬だけ先生の手が止まった。うわ、バレた?
やばい変な声だしてるヤツって思われたのかな。

俺は顔を真っ赤にしながらどうにか声が出ないように耐える。でも程よい力加減がどうしようもなく気持ちいいのだ。

「んっ…ぅ、う」
「確かに浮腫んでますね、しっかり治して帰りましょうね」
「は、ぁ...はい、っ」
「今度はふくらはぎの方に行きますね」

先生の手が移動する時、指だけが離れないで太ももをなぞって移動していく感触にぞわぞわっとした。何その感じ。わざと?確信犯?

腰の奥がずんっと重い感触がする。やばっ...勃ちそう...。

「ふっ、ぅう...」

この声とか聞かれてる。先生はどう思っているんだろう。感じやすい女、とか思われてるのかな。それはそれでちょっと興奮するけど。

脹脛を程よく圧迫しながら膝の辺りにだんだん上っていく。
ふくらはぎとか太ももより、膝裏が一番ぞわっとする。思わず足が揺れてしまい先生の腕にぱしっとぶつかってしまった。

「す、すみません...」
「いえいえ」
「ひっぃ、ぁ...あのっ、なんか...」
「くすぐったいですかね」
「は、いっ…んっんぅ」

しばらく揉まれ、顔がすっかり上気しているのがわかる。たまに、つい腰が浮いちゃうのとか多分見えてるはず。
先生はどの辺を見てマッサージしてるんだろう。気になって、首を少しだけ少し曲げておそるおそる背後を覗くと、ばちっと目が合う。
そしてにっこり微笑まれる。うわーかっこいい、マジタイプだ。イケメンすぎる。

「気持ちいいですか?」
「す、っごく...」
「それは良かった。人によっては苦手という人もいるんで」
「そう、なんですか、っ...ぁ」
「オイルとかは大丈夫ですか?」

オイルとかエロい。ちょっと期待しながらこくりと頷く。
あれ、でもオイルって直接肌に付けるんじゃ...。
あ、やっぱなしで、と言う前にニーハイを脱がされる。ゆっくり、片方ずつ。あ、脚だけならバレないかな、さすがに。

たらり、とオイルが直接太ももの上に垂らされその冷たさにどきっとする。

ぴちゃっぴちゃぴちゃっ
にゅるっにゅるっぬるぬるッ

「ぁ、あっ...な、んか、」
「どうですか?オイルは気持ちいいとおっしゃる方も多いんですよ」
「そう、ぁ、ですねッ...ん、はぁッ」
「よかった」

にゅるんッ

「えっ、ぁ、あぁんッ!...ま、待って、くださいッ、そこは...」

太ももを撫でていたのに急に下着の下に一瞬だけ指が入った。お尻に少しだけ触れた。思わず手を掴んで止めると先生は「ああ、すいません」とにっこり微笑んだ。

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