「ああナマエ、ルフィの奴がまたやらかしたんだ」
『こ、こりないね〜』
ウソップから説明を受け、状況を把握するナマエ。
「朝メシ用のスープに手ェ出さなかったのは褒めてやるが…だいたいてめェは!!」
『サッ…サンジ!あたしお腹空いちゃったー!』
ルフィを庇うようにナマエがサンジに話しかける。
「でもナマエちゃん…」
『い…いつもより遠慮してたんだから許してあげようよ』
ナマエはルフィの胸ぐらを掴むサンジの手を外す。
『あああたし、早くサンジの作ったオニオンスープが飲みたーい!』
ナマエはわざとらしくサンジの手を引き、キッチンへ向かう。
「……ん?」
『…え…何?』
サンジはナマエの言葉を聞き逃さなかった。
「おいナマエ、なんで今日のスープ知ってんだァ?」
いつも的外れなルフィが、今日に限って的確な質問。
「サンジ今日のスープはオニオンスープなのか!」
ルフィは目を輝かせる。
「今日のスープは昨日の夜中に作って…誰も知らねェはずなんだが…」
ルフィ以外の視線がナマエに集中する。
「なんでおめェらナマエのこと見てんだ?」
「ちょっと黙ってルフィ。……ねぇナマエ?」
ナミが優しげな声でナマエに話しかける。
しかし、顔は不機嫌そう。
『…は…はい?』
ナマエはタラタラと汗を流しながらナミの方を向く。
「サンジ君が“夜中”に作ったスープの事なんだけど…」
ナミは夜中という部分をより一層強調してナマエに詰め寄る。
『な…何の事だか…』
ナマエはナミから目をそらし、少しずつ後退する。
「うめェ!やっぱサンジの作ったスープうめェな!」
「ルフィ黙ってろ」
いつもは女性に優しいサンジだが、今の笑顔は不機嫌である。
「…ナマエちゃん?」
『…はい?』
「昨日の夜…ルフィと冷蔵庫をあさったのかい?」
サンジは額に青筋一本たてたまま笑顔で問い掛ける。
『ちっ違うもん!あたしバレると思ってルフィの後に…』
「ほほう、ルフィの後にあさりに来たって事だな」
『し…しまった!ルフィのせいにする事言っちゃった!』
ナマエは慌てて口を押さえるが、時すでに遅し。
「…自分で全部バラしてるじゃないの」
確信をもったサンジから、徐々に笑顔が消えていく。
「ナマエこのやろォ!!」
『ぎゃァァァァーッ!ごめんなさいィィ!!』
サンジとナマエの鬼ごっこが始まった。