仙様、理性が崩壊する


 
 
 
「サチ!ここを通るのを待っていた!!さあ!踏んでくれ!!!」

『気持ち悪っ』






「見つけたぞサチっ!これから実習なんだ!一発罵ってくれ!!!」

『気持ち悪っ』






「サチ!!是非寝る前に踏まれたい!!さあいつでも来い!!!」

『気持ち悪っ』






神よ、私は何かしましたか。



「どうしたサチ。随分やつれたな」



自室で「ハァ……」と大きなため息を吐き出したと同時に、天井から音もなく降りて来た友人のタマちゃん。



『風の噂で聞いてないの?今気持ち悪い先輩に付きまとわれてるんですけど』

「知ってるぞ?有名だからな」

『てめェ他人事だと思いやがってタマ公コラ』



私はタマちゃんに回し蹴りをかまし、机に置いていた本を片手に自室を後にした。



『………ハァ』



出来れば自室から出たくない。何故ならあの気持ち悪い先輩が行く先行く先で待ち構えているからだ。



しかし、借りた本は返さなければならない。以前同室が期限内に本を返し忘れて、図書委員に雷を落とされたのはまだ記憶に新しい。あれは本気で怖かった。



とにかく、さっさと返却して戻って来よう。



じゃないと、










「ここにいたかサチ!!!さあ遠慮はいらない!!私を踏み付けてくれ!!さあ!!!!」



ほら、出た。












通路で待ち伏せ、踏めコール

(うわぁ、気持ち悪っ)


 



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