「――っつーわけさ」
「まさか、名も無き世界からの召喚獣まで、この島にいるなんてねぇ……」



船で帰りを待っていたみんなに、俺は各集落の様子を手短に伝えた。



「なあヤード、名も無き世界の召喚獣ってのは、そんなに珍しいものなのか?」
「私の知っている限り、聖王国にある『蒼の派閥』や『金の派閥』で"そのような事例がある"という報告だけしかなかったと思います」
「ねぇねぇ、ヤードのいた『無色の派閥』にはさ、そういった報告は無かったわけ?」
「ええ、全く。私もユキさんを見るまで、半分疑っていましたし……」
「俺達は、学生の頃から知ってたけどね?」
「ねー♪」



カイル達も、アティとレックスも、俺が名も無き世界の召喚獣であることは既に知っている。
別に隠さなければいけない程のことでもないし、それを話しても、コイツらは何も気にせずに接してくれる。

まあ、召喚獣に対して偏見を持ってる奴だったら、また違う反応を見せるのだろう。
だからこのことは極力他人には話さなかったし、知っているのは極一部の人間だけだ。



さて――問題は、俺の目の前に座っている奴ら。



「今の話を聞いた通り、俺は人間じゃなく召喚獣だ。そんな俺を、お前達はまだ兄と呼べるか?」



組んだ手に顎を乗せ、ナップ、ウィル、アリーゼ、ベルフラウーー四人の顔を一人一人見つめ、ゆっくりと話す。

召喚獣と人間という違いをどう捉えているか。それで拒絶されれば……まあ、その時はその時。



「俺は呼べるよ。召喚獣だろうと何だろうと、兄ちゃんは兄ちゃんだからな」
「僕も、ナップと同意見だね。召喚獣だからって、僕達とどんな違いがあるわけでもないし……」
「私も……召喚獣だとか人間だとか、そう言うのは……あの、関係ないと思います」
「私だって、お兄様が嫌だと言っても呼び続けますわよ」



……全く、嬉しいことを言ってくれるじゃないか。俺の「弟」と「妹」は。

「有り難う」と言い、とびっきりの笑顔で微笑むと、四人とも顔を真っ赤にしていた。


あ、でも俺が嫌だって言ったらやめてほしいなー。俺の意見を無視する方向なの?



「ところでさ、みんなユキって名前聞いて、何か思い当たらないの?」
「「「「え?」」」」



ソノラの発した言葉の意味が分からず、子供達は首を傾げる。


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