「おや、ユキさん。どうかしましたか?」
「シャルトスのことで、ちょーっと聞きたいことがあってねぇ」
「あの剣について、ですか?わかりました、どうぞ座ってください」



ヤードに勧められた椅子に座り、疑問に思っていたことを聞いてみる。



「ヤード、シャルトスについてお前が俺達に話してくれたこと……本当にあれで全部なのか?」
「……?はい、私が剣について知っていることは、ユキさん達に話した内容で全てです」
「そっか……」



なら、剣が意志を持っていることは、ヤードですら知らないことだったのか……。

嘘をついているようにも見えないしな。



「私の方からも、質問させてもらって良いでしょうか?」
「ん?ああ、構わないぜ」
「あなたのような剣の使い方は、派閥のどの資料にも載っていなかったんです。やはり、帝国軍独自の方法か何かですか?」
「いや、俺はただ、剣から聞こえた声に従っただけだ」
「声……!?」


剣が意思を持っているらしいことを伝えると、ヤードは驚愕の表情を浮かべた。


「やっぱり、ヤードも知らなかったのか?」
「はい。私はこの剣は、召喚師の魔力を強めるものだとしか……」
「ふーむ……まあ何にせよ、この剣について、俺達はまだ知らないことが多いってわけだな」
「ええ。私の方でももっと調べてみますが、何分手がかりが少ないものですから……。何かあったら、必ず私に言ってくださいね?」
「おう、わかった。ありがとな、ヤード」
「あ……いえ……」



俺が微笑みかけると、ヤードの顔が赤くなった。

……あれ、そう言えばヤードって、俺が男だって知ってたっけ?いや、知ってたかって言い方はおかしいな、俺はどっからどう見ても男なわけだし。


もしヤードが俺を女だと勘違いしていることが発覚したら、その時に粛清……もとい、訂正すればいいか。あはっ。




そのまま部屋を出ようとドアに手をかけたその時――島の中から、爆発音のようなものが響いた。

音源は、ここからそう遠くはないようだ。
俺はヤードと顔を見合わせる。



「今のは!?」
「わかりません。ですが、召喚術の炸裂音に似ていたような気がします!」
「行ってみよう!俺はレックス達を、ヤードはカイル達を呼びに行ってくれ!!」
「わかりました!」



扉を出て、俺たちは別々の方向に走る。









「アティ、レックス!」
「ユキ!」
「さっきの音を聞いたか!?」
「ああ、それで今ユキ達を呼びに行こうとしてた最中だったんだ」


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