「セシリーア女王とは結構会ってるの?」
「物心つく頃から・・・、傍にいてくれてて・・・、」
「そっか、彼女なりの罪滅ぼしをしているのかもしれないね」
「罪滅ぼし?」
「ああ、彼女はこの世界をひっくり返す程の大戦を神にしかけた
そして負けるわけだけど、罪は大きくてね処刑をされたんだ
歴史上、地上最悪な罪人とも言われていたね」
「セシリアが?!」

青年はうなずくとポケットから紫色の石がはめ込まれた指輪を出す
私の人差し指にはめるとサイズがぴったりだった
私が取ろうとすると指輪はしっかりしがみ付くように取れず
青年を慌ててみると「君のだからつけてて」と言った


「君のお母さんは世界の崩壊を止めた英雄でもあるんだ
そして君を護ろうとした」
「お母さんが・・・?」
「ああ、忘れてた、俺は篠、篠=オルカ・アルヴィアカ
この世界を代表して君を歓迎するよ花恵!」
「篠・・・、私、何も分からない・・・、セシリアはこの世界は
とても綺麗で美しい楽園だと言っていた・・・、でもこの世界で
セシリアは処刑されるほど罪人なの?」


私の言葉に篠は首を傾げて人差し指で宙に何かを描くと
光がふわりと浮かびティーポットとティーカップが
宙をふわふわしながらこちらに向かってくるとゆっくり
机の上に着地する、そのティーポットを掴むとカップに
紅茶を注ぎ渡しに差し出してきたのだ
ゆらゆらと白い湯気が立つ紅茶を暫く眺めまた篠を見る


「この世界は、花恵がいた世界と違って魔法がある
その魔法を作ったのは母なる神と父なる神の魔術師なんだけど
まあこの世界ではその二人がとても偉いんだ、この世界を作った
張本人であり神様だからね」
「神様・・・?魔法・・・?」

「そう、そして歴史上最初の大戦と言われたのが、母なる神
アルテミシアと父なる神アルカの戦い、ヒストリア戦争だ
この世界はアルカが生命を生み出した事で大地や木々
そして俺らのような生物が産まれた」
「私も?」
「そう、花恵もだよ、でもアルテミシアは猛反対だったんだ
海と空、つまり、アルカとアルテミシアしかない世界を彼女は
望んでいて、第三者である生命を作る気は無かったんだネ」

青と蒼しかない絵画ばかりでは見飽きてしまう
海と空の音だけでは聞き飽きてしまう
アルテミシア、君だけではいつか僕は退屈で眠ってしまいそうだ
父なる神アルカはそういうと生命を創り出し
大地から木々や花々を創りそして生命を創った
生き物は特に面白くアルカの興味心をくすぐる、毎日は楽しく悲しい
誰かが泣くと誰かが笑っているのだ、そしてまた誰かが怒る
アルカはその中でも一番賢く一番優しい人間が好きだった
そして一人の女性に恋をしてしまったんだ
その人間の女性はアルカとの子供を宿してしまう

その事にアルテミシアは激怒して「この世の生命、特に人間は
なんて汚らわしいんでしょう、アルカを誑かし神の子を
授かるとは私への侮辱に価する」といって人間の住む下界に
雷を落とした、その雷は人々だけではなく木々や花々
動物達まで殺していった

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