秀徳主 In The Another 秀徳HIGH SCHOOL!!

「透!!お前またか!?」

「笹岡ぁ〜!!アイシングー!!」

「ちょっもう、お前マジで外行って休んで来い!つかもう保健室行って来い!!」

「えー。大丈夫ですってー」

「んな訳あるか!!そういって今まで危なかったやつが何を言ってんだ。
 先輩命令。水分買ってくるついでに暫く休んで来い。先週みたいに外周してきたっつったら当分試合禁止。」

「うっ、はぁ〜い・・・」

今日も熱中症になってしまい、先輩方に外へ休息に出されてしまった。
般若のような顧問の笑みがこっちを静かに見ていたのは恐かった・・・。

「あぁ〜っちぃ」

こう何度も何度も暑さにやられていると、当然外へぽいっとされる回数も増えてくるもので、時間帯別に校内で涼しいところを覚えてしまった。
確かこの時間は中庭の辺りのベンチが涼しいはず。早速タオルとドリンクを抱えなおして向かう。


「よし、やっぱりここの日陰は正解だったわ。ここのとこ忙しくて寝不足気味だったし、少しくらい寝ちゃってもいいよね?」

そう、この後あんなことになるとも知らず私は寝てしまったのです・・・。



     ★     ★     ★


「・・・・・・・・・、・・・・・・・・い。・・・おい」

「んー?」

「おい、こんなところで寝ると体調を崩すのだよ」

「あれ?しんたろー?今日部活が休みだっていって高尾君とすぽ−つしょっぷに行くって言ってなかったっけ・・・。ふぁ〜」

「?今日も部活はあるのだよ。というかお前は誰なのだよ、見たところジャージの色は同じ一年のようだが」

「はいっ?えー何、とぼけちゃって。幼馴染の透ですって、因幡 と・お・る!」

「俺には幼馴染など居た記憶はないのだよ。騒がしい上に残念な感じのイトコなら1人居るが」

「・・・イトコ?」

「イトコなのだよ」

転寝をしていたら誰かに起こされた。てっきり北村主将か、溝端先輩かと思って目を開けると幼馴染の真太郎だった。
だが、私を知らないと言い切った上にイトコしか付き合いが長いのは居ないとも言われてしまいちょっとしたパニックになっている。

「えっ、っと?」

思いっきり眉間に皺を寄せて溜息を吐かれる。

「本当に覚えてないの?小中高一応一緒なんだけど・・・。えと、私ずっとバドミントンしてて、お互いに時間が合えば試合の観戦やったりしてたんだけど・・・・・・」

やばい。何だか寝起きで思考が柔らかいせいか何だか泣きそうだ。

「そう言われても知らないのだよ、って泣くのではないのだよ!?」

泣くのを堪えていたが、視線を合わせているのが辛くなり目線を下げたら涙がこぼれてしまった。
それを見た真太郎(仮)がオロオロしだすのが私の知っている真太郎とそっくりで余計に複雑になってきた。
半べそ掻いているちびっ子とオロオロする高身長。なんてシュールな光景、そんな事をふと思いついていると誰かが近づいてきた。

「あれー?真ちゃん何女の子泣かしてんのー?」

「ホントだー。ちょっと真ちゃん何したのwwwww」

「俺は何もしていないのだよ!!」

高尾君はよく真太郎と一緒に居る所を見たことがあるが、この高身長の女子生徒は見たことがない。
この人がイトコさんなのだろうかと見ていると目が合った。

「コンニチハ。きみこんなのに何かされちゃったのねー、こら真太郎早く謝りなさいよー」

「真ちゃん女の子泣かすとか何考えてんだよー」

息ぴったり、なのだろうか。とりあえずさっきとは違った意味で眉間に皺を寄せている真太郎の弁明をせねば、と思いぐっと手に力を込めた。

「あ、あの!」

「「ん?」」

「その、えーと。何て説明したら良いのか分からないんですけど・・・」






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