「あ、だ、だって、ボクに触るなって…。パパが、それが契約の条件だから絶対に守れって…!」

「ああ。あれは、俺に対しての制約ですよ。」

「だから、触るなってヤツだろ?」

「ですから、俺『に』触れるなって事ですよ。俺『が』触らないとは言ってません。」

ビオレッタは暫く、不思議そうな顔をしていた。

「意味、理解して頂けましたか?」

「キミがスゴく自己中だって事は良く分かった。」

どうやら彼女の機嫌を損ねてしまった様だ。アンバーは苦笑する。

「俺がその条件を提示した理由は、ご存知ですか?」

ビオレッタはアンバーを睨み付けながらも、素直に首を横に振る。

「実は俺、女性が凄く苦手なんですよ。ですので、令嬢の護衛をと言われて慌ててそれを付加したんです。」

彼女は黙って話しを聞いていた。

「でもあなたならこの条件、必要なさそうです。」



それを聞いたビオレッタは、息の詰まる様な感覚に陥った。

高鳴る鼓動が、苦しくて。

熱された頬が、紅潮する。

自分の変化に戸惑いを感じて俯くも、それ以上はどうしたら良いか分からなかった。



そんな彼女の頭上に降って来た、残酷な一言。

「まさか、こんな子供だとは思わなかったので。ドンの年齢からして、勝手に成人女性だと思い込んでました。」

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