「一体、どういう事!?クラウス!!」

机に手を突いて金色の髪を揺らしながら身を乗り出すベネディクトに対し、ヘルガヒルデは射る様な鋭い視線を向けた。

「どういう事も何も、手前が『無能は要らねえ』って言ったんじゃねえか。わざわざ、俺んちに来てまでよ。」

「そんな事、言っていないわ!」

ベネディクトは更に身を乗り出すと、ヘルガヒルデの言葉を強く否定する。

「ああ、そう。それならそれで別に構わないけどね、証拠がある訳じゃなし。」

「止めなさいよ!貴女が勝手に私の言葉尻を捉えて、一方的に言っているだけじゃない!」



「喚くな。喧しい。」

声を張り上げているベネディクトとは対照的に極めて淡然としているルーヴィンは、ヘルガヒルデとクラウスに交互に視線を走らせた。

「成程。交換条件という訳か。」

「そうさ。君は話しが早くて助かるよ。」

ヘルガヒルデはそう、口角を上げる。

「聞いての通りだ、ベティ。手前のお望み通り、戻って来てやるよ。その代わり俺は、ニックの権限消失を要求する。」

「貴女は自分が何を言っているか、分かっているの!?」

「勿論だ。しかし、手前が納得しようがしまいが実際問題、俺がいねえとどうしようもないだろ?」

「自惚れているのは貴女だわ!!自分がいなければ、我々が敗亡するとでも!?」

「喚くなと言っているのに…。」

激昂するベネディクトに対し、ルーヴィンは落ち着く様に促す。

そして、彼は物議を醸す発言をした。






「私はお前を支持しよう、ヘルガヒルデ。」

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