しかし。

これほどの検挙率に加えて国法が厳しいにも関わらず、何故に連続で事件が起こるのだろうか。

「甘く見てるのだろう、我々を。」

ルーヴィンは再び、喉を鳴らして低く笑う。

「最終兵器があるのも知らずに、な。」

ドラクールが問い掛ける前に扉は閉ざされてしまった。

仕方なく彼は、上げかけた自分の指先を見つめていた。






━━最終兵器?

いくら考えても、彼にはベネディクトしか浮かんで来なかった。



━━カーミラも不思議な能力を持っているが、とてもフェンヴェルグと組んでる様には思えない。

そう言えば前に言っていたな。事件解決のエキスパートが、どうとか。

俺の知らない者が俺の知らない事をしてる、って訳だな。



その人物に心当たりもなければ、接する機会もない。

事実を知るが為に、
真実を求める為に、



━━自由が必要だ。



ドラクールは今初めて、己の能力を疎ましく思った。

捨てれるものなら捨ててやりたい。

そしてフェンヴェルグの様な愚かな者がそれに群がる光景を想像して、苦笑を漏らした。

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