「りた…?いや、それより君達って俺と誰の事だ?」

リュユージュは無意識に、その存在を自ら吐露してしまっていた。

「…。レオン。」

彼は呟く様に小さく、けれど素直に述べた。

「ああ。そう言えば途中から副隊長さんがバースに全く来なくなったけど、忙しいのか?」

すると、リュユージュは深い溜息を落とすと同時に俯いた。

「何かあったのか?」

ギルバートは心配そうに、向かいに座るリュユージュの顔を覗き込む仕草をする。






それに対してリュユージュは目を閉じ、静かに首を横に振った。









「レオンは、追放になった。永久国外追放だ。」









「ど、どうして…?」

衝撃的過ぎる理由に、ギルバートの顔は見る間に青褪めて行く。

「国家反逆罪。」

「どういう事だ!?反逆って…。副隊長さんが隊長さんに背くなんて、俺にはとても考えられない!!」

そう声を荒げて激昂すると、ソファから立ち上がった。

「詳細は指定国家機密だから今この場で君に話す訳にはいかないんだけど、レオンは別に僕に背いたんじゃない。」

リュユージュはもう一度溜息を吐くと、ギルバートを見上げた。

「さっき僕が言った『利他的』とは、自分自身の事よりも、まず他人の利益や幸福を追求しようとする思想や行動の事だよ。」

そう話す声は、微かに震えていた。

「何故…、君達は他人の為に…。いや、僕の…為に…!」



初めて彼が表に出した、悲愴を極めたその情動。



「そんな人生で、満足すると思ってるのかよ…!?」



その魂の叫びに、ギルバートの胸は軋んだ。

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