王宮より、更に奥。
然程大きくはないが、遜色なく丁寧に造られた立派な宮殿が在る。
白壁は常に磨き上げられ、一面には花が咲き誇っていた。
この可憐な風景に似付かわしくない、無骨そうな甲冑姿の男が二人。
その門衛達はルーヴィンの姿に気付くと敬礼し、重々しい扉を開いた。
「有り難う。」
彼が一礼して去る間際、門衛の一人が悲嘆した声で呼び止めた。
「国師様!!お願いします、もうどうかこれ以上…。」
途端、ルーヴィンは険しい表情を見せた。
「誰も何も、強制などしていない。」
厳しく言い切り、門衛を見据える。
「出過ぎた事を…申し訳ありません。」
謝罪する門衛を一瞥すると、彼は長い廊下を進んだ。
絨毯敷きの階段を上がり、目的の部屋へ。
そこには扉に縋るアリュミーナの姿。
「…っ!」
アリュミーナはルーヴィンを見るなり、声を殺して泣き崩れた。
「大丈夫だ。」
ルーヴィンは彼女の正面にすっとしゃがみ、優しく語りかける。
「ウィトネスが自身で決心し、行動しているんだ。我々はそれを支え、それに従うまで。」
アリュミーナは俯いてはいるが強く頷いた。
暫くした後、彼女は静かに立ち去った。
それを見届けたルーヴィンは扉の中へと消えた。
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W.A