しかし当然、キャンベル王国の国法では人身売買は禁じられている。

それでも奴隷を欲しがる輩は無数に居り、需要に供給が追い付いていないのが現実だ。

買い手は大枚を叩くだけに留まらず危険をも犯すのだから、安全で健康な奴隷にしか見向きもしない。

健康を保証する物としては医師の診断書でも添付すればいいが、安全を証明するのは容易な事ではない。

何せ身分を証明出来る者が奴隷になる事例は、そう多くはないからだ。

奴隷市場の商品の殆どは、親の顔も名も知らぬ年少の子供や、焼き討ちにあった村の生き残り等だった。






そういった中で特別、高値で取り引きされる実例も存在する。



それは、乳児や幼児だ。



最高の値段が付くのは、親が子に出生証明書を付けて売った場合だ。

また奴隷商人が誘拐して来た場合などで出生証明書がなくとも、乳児や幼児は破格で取り引きされる。

何故なら、特に乳児は絶対数が少ないからだ。希少価値が高い。

だが、仮に行きずりの男に孕まされられた売女が便所で産み落とした赤子を奴隷商人に売ったとしても、商人が商品を管理しきれず市場に並べる前に罹病したり最悪の場合は死亡してしまう事もある。

高値は保証されているが損害を受ける可能性も非常に高い乳児には、手を出さない商人も多い。

以上が、乳児の市場占有率が低い理由である。



幼児は乳児よりは若干扱い易いが、それでも市場で見掛ける事はやはり極めて少ない。

常連の顧客が直接商人と交渉して売買が行われているため、市場にまで出回らないのだ。






━━国内に留まっていると仮定するならば、特定は容易いわ。11歳の女児なら、確実に話題になる筈だもの。

ベネディクトは奴隷市場の調査を開始するべく、一人の部下へ特別命令を下す事とした。

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