彼女は跳ねる様に椅子から立ち上がると、裁判で使用した書類を机の上に広げて文字を目で追った。






ガイ・マーベリック 34歳

アークライト共和国出身

移民として、国歴32年にキャンベル国籍を取得

職業 武器職人

家族構成
妻 リディア・マーベリック
(国歴37年没 享年33歳)
長女 リサ・マーベリック 11歳
長男 ハク・マーベリック 8歳
次女 ミサ・マーベリック 3歳






「移民の為、他親族については不明…。」

ベネディクトは一旦書類から目を離し、考えた。

「11歳なら、多少の知恵と体力もあるわよね。」

とは言え、年端の行かぬ子供が知識的にも金銭的にも国外逃亡を図ったとは考えにくい。

素性を隠して、国内で未だに生き延びていると推し量る方が自然だ。

ベネディクトは早急に調査を開始した。



まず彼女が部下に命じたのは、暗黒街での情報収集だった。

生きて行く為には、何はなくとも金が必要だ。金を手に入れるには強盗や乞食といった手段もあるが、確実なのは仕事を得る事だ。

だが、子供に出来る仕事は限られている。まして稼ぎになる仕事となると、皆無に等しい。

一番簡単なのは娼婦になる事だろう。元手も身分も、何も要らない。

そして次に考えられる可能性は、奴隷として買い取ってもらう方法だ。

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