朝食を終えたウィトネスはいつもの様に自室へと促される。
部屋には、毎朝と同じ従者が待ち構えていた。
「え〜、面倒…。」
「何が面倒なんですか。」
隣から、ぴしゃりとアリュミーナの叱責が飛ぶ。
「だって〜、ドコにも行かないじゃない。」
憂欝そうに、ウィトネスは自身の何倍もある窓から外を見た。
「雨で外出のご予定がなくても、お召し替え下さい。」
ウィトネスは先程、寝間着から普段着に着替えていた。普段着とは言っても絢爛な刺繍が施された麗容なもの。
それから更にまた着替えさせられる。
晴天の日ならば彼女も苦痛とは思わない。
外出とは名ばかりでこの広大な宮殿の敷地内を散歩する程度だが、それでも他人の目には触れる。
『恥ずかしくない出で立ちと振る舞いを』
国王である父親は、彼女に厳しくそう繰り返していた。
その為だろう。
自然と王女の自覚を持つ様になったウィトネスは、幼いながらも威風堂々としていた。
彼女の漂わせる雰囲気は、同年代の子供のそれとは全く違う。
「ヤ〜だ〜!面倒くさいぃ〜!!眠いぃ〜!!」
「何をグズってるんです!」
それでもやはりそこは、未だ少女。
昨夜の寝不足も手伝い、最近では殆どなかった年相応な言動を見せた。
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W.A