朝食を終えたウィトネスはいつもの様に自室へと促される。

部屋には、毎朝と同じ従者が待ち構えていた。

「え〜、面倒…。」

「何が面倒なんですか。」

隣から、ぴしゃりとアリュミーナの叱責が飛ぶ。

「だって〜、ドコにも行かないじゃない。」

憂欝そうに、ウィトネスは自身の何倍もある窓から外を見た。

「雨で外出のご予定がなくても、お召し替え下さい。」



ウィトネスは先程、寝間着から普段着に着替えていた。普段着とは言っても絢爛な刺繍が施された麗容なもの。

それから更にまた着替えさせられる。



晴天の日ならば彼女も苦痛とは思わない。

外出とは名ばかりでこの広大な宮殿の敷地内を散歩する程度だが、それでも他人の目には触れる。



『恥ずかしくない出で立ちと振る舞いを』

国王である父親は、彼女に厳しくそう繰り返していた。



その為だろう。

自然と王女の自覚を持つ様になったウィトネスは、幼いながらも威風堂々としていた。

彼女の漂わせる雰囲気は、同年代の子供のそれとは全く違う。



「ヤ〜だ〜!面倒くさいぃ〜!!眠いぃ〜!!」

「何をグズってるんです!」

それでもやはりそこは、未だ少女。

昨夜の寝不足も手伝い、最近では殆どなかった年相応な言動を見せた。

-8-

[] | []

しおりを挟む


目次 表紙

W.A


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -