不確かなもの
「おはよ。」
「よ。」
いつもの公園のいつものベンチに、彼はいた。
「何それ、変だぞ。」
あたしのサングラスを指差し、ちょっと笑う。
「紫外線対策。」
泣いて腫れてるなんて、知られたくない。
「あー、寝過ぎて眠い。」
かったるそうに猫にエサをあげながら、目を擦る。
返信が来たのは、今から1時間ぐらい前。
「ずっと寝てたの?」
「うん。寝溜め?」
何となく居心地の悪さを感じているのは、あたしだけだろうか。
「結婚て、何?」
この空間にあたしは耐えられない。
「へぇ?結婚?…アレだろ、結婚式。」
「いや、意味が分かりません。」
「教会とかウェディングドレス?」
「連想ゲームしてるんじゃありません。」
「いきなり聞かれて、俺も意味が分かりません。」
「言ったクセに!」
あたしは掴みかかる勢いで怒鳴った。
「言ったじゃん!あたしに!!」
「何を?」
目の前が真っ暗になった気がした。
-59- [←] | [→]
目次 表紙
W.A×