結局は人任せか…、と心中でメカゴジラにボヤきつつも、機龍はその人影に近づいていった。


「どうなさいました?」
「………!」

服装は黒のスーツ姿で、片手にビジネスバッグを抱えていたものの、何よりも気に留まったのはその顔だった。
まるで、モアイ像にニヤケ面を貼り付けた様な、無機質な変わらぬ表情。一見すると怪しさ満点だったが、武器などは持っていない様だった。

相手は一頻り機龍に目配せすると、電子音(恐らく自らの声だろう)を発しながら防衛庁を指差した。


「此処が防衛庁か?そうですよ。何の用で?」

問い掛けられ、いそいそとバッグから書類を取り出す相手。手渡された物を見ると、それは履歴書だった。
字は自分で書いたのか、平仮名も漢字もあちこち角張っている。

「あの…これは……」

返事の代わりに自分の胸を掌でポンと叩き、やや1オクターブ高い電子音が返ってきた。
言葉は解らないけれど、どうやらこのロボットは防衛庁に面接を受けに来た様だ。


「だけど困りますよ、こういうのは私達へ直に渡すんじゃなくて…「どうした機龍」

機龍の言葉を割って、メカゴジラが横から乱入してきた。
そして履歴書とニヤケ面のロボットを互いに凝視すると、「ははぁ」と納得した声を上げ、機龍の代わりに受け答えをした。

「アンタ、此処に面接受けに来たのか?」

その質問に相手は何度も頷く。直後、メカゴジラの脳内では心地よいハープの音色と共に、地面一帯に満面のお花畑が広がり始めた。
顔や怪しさはどうあれ、やっと念願の新人が来たのだ。門前払いなんてとんでもない。

「だったら此処で立ち話してないで、早く応接室に行こうぜ!試験は直ぐ始めるからな!」
「ちょっ、先輩…いきなりそんな」

ロボットの方を見れば、案の定というかやはり電子音を立てながらしきりにお辞儀をしていた。
もう今更追い返す訳には行かないだろう。その証拠に、メカゴジラはやたら上機嫌だったから。




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