1
くそげー。
クソゲー。
糞ゲーとは、「クソゲーム」の短縮形で、ユーザーやゲーム評論筋がコンピューターゲームを酷評する際に用いる言葉である。
此処は都心のビルが立ち並ぶなかでポツリと忘れ去られたようにある倉庫だ。
もう使われていないが根城には丁度良い。
俺は関東を中心に暴れまわる最強のカラーギャング『ルシファー』のヘッドを務めている、カラーはブラック。
目下の一番の対抗勢力はレッドの『ミカエル』だ。
けど、だからといって毎日抗争してる訳でもない。
今日は倉庫の奥に位置する幹部だけの部屋でソファーにゆったりと座って寛いでいた。
そうしたら・・・俺は突然、ゲームの主人公に指定された。
ぽんっという音と共に現れた・・・蝙蝠によって。
そいつは羽をパタパタ羽ばたかせながら言った。
「パンパカパァ〜ン!君っ!君は今から魔界の暇つぶしゲーム主人公に選ばれたよ!おめでとう!」
突然降って湧いた蝙蝠が俺の目の前を飛び回っている。
なんだこのしゃべる蝙蝠・・・と思ってグシャッと握る。
「あああああっ」
その途端、蝙蝠があげた叫び声にビクッとして、思わず手を離したら、地面にぺシャッと落ちた。
「なんだてめぇ」
気持ち悪い。
下げずんだ目で見たら、その蝙蝠はほろりと泣いた。
えっ蝙蝠って泣くのか?
「だ、からぁ・・・ゲーム案内・・・」
・・・まだ訝しい気持ちで見ていると、
俺のいる部屋の扉が音を立てて開いた。
「どうした」
ルシファーのNO.3を張っている幹部・柊 冬樹だ。
白銀の髪をかき上げてこちらへやってくる。
「いや、何でもねぇ」
視線を蝙蝠からそらして、再び黒のふかふかのソファーへ体を預けると・・・頭上に何か現れた。
なんだこれ?
「おいっなんだこれっ」
すると冬樹は眉を寄せる、
「なにがだ」
「はぁっ?」
だが俺は気付いてしまった・・・冬樹はジッと俺だけを見ている。
薄藍の瞳に俺だけを映して・・・俺の頭上にぽやぽや浮かんでる文字を・・・見ていないのだ。
「おいっ」
俺は直ぐに地面に転がっている蝙蝠に手を伸ばすと、
ピコンッ
変な電子音が俺の脳内で響いた、そして・・・
せっ選択肢がっ!赤くなってるうぅぅぅ!!
これって選んだって事なの?ねぇちょ待てやこらああっ!!
瞬時に選択肢たちが霧のように消え失せる。
叫んだつもりで声が出なかった。
というのも冬樹が急に動いたかと思うと・・・抱き締められながら黒のソファーに押し倒されていたからだ。
「なんだよっこの選択肢はぁっ!!しかも何だよ(笑)って何だよ!ゲームオーバーって意味わかんねぇし!」
「どうした黒琥?」
だが耳元で俺を宥める様に囁いてきた冬樹の低い声に何故か俺の体はヒクッと鮮やかな反応を返してしまった。
「一昨日のミカエルとの抗争で先走ったこと怒ってんのか?」
そんなの忘れてたよっ!!
ピチャリッと耳を舐められて「あっ」と声が零れる、可笑しいっ可笑しいっ俺、こんな声あげねぇからっ!
「やめっろっ」
腕をふるえば、それを冬樹に捕らえられソファーに縫い付けられる。
「やめない、俺、今わかった」
真剣な、薄藍の瞳に俺を映している冬樹。
何がわかったんだよ、なんか怖い…表情が獣の顔をしてる。
「アンタを抱く」
ふおおおおおおおっ!!!
なんだよこれええええっ!!!
けど内心とは裏腹に、下肢へ伸びて俺のペニスを布越しに愛撫した冬樹の手に俺は「ふああぁっ」と喘いでいて、ペロッと唇を舐める冬樹が扇情的だった、そのままゆっくりと冬樹の整った顔が俺に近付いて、口付けられる。
「うっんぁぁっんっ」
くちゅくちゅっと舌が俺の中を愛撫する度にゾクゾクして、受身がこんなに快感をもたらすのだと・・・俺は知らなかった、否っ!知らなくて良かったのにっ!
それと同時に冬樹の手がズボンの中へ入り込みペニスを直に握ると、俺の体を快感が支配する。
「あっあぁっやめっあぁっ冬樹っおまっ」
ぐちゅぐちゅぬちゅっと卑猥な音がする。
やめてくれっ
「ああぁっやあっっ」
「普段の黒琥じゃないな」
浅く早く呼吸が止まらなくて喘いで、ハァッハァツと息をしながら冬樹を見上げれば、男の獣の顔をしていた。
「イケよ」
ぐりっとペニスの先端に軽く爪を立てられて、俺は呆気なくイッてしまった。
「やあっぁぁっ」
頭が真っ白になる、何でこんな事にっ!
俺はルシファーのヘッドだっ!
そしてイッたばかりで呆けてる俺のズボンを冬樹は取り払い、上体を倒すと、俺のイッたばかりのペニスを舐め上げた。
「っくあぁぁんっ」
体が震えて、声が止まらない、そんな俺に冬樹はクスリッと笑う、おまっそこで笑うなっ!
それすら快楽をひろってしまう俺の体が哀しい、と後ろに違和感を感じで身じろぎをした。
「っ気付いた?」
冬樹が笑ってくちゅっとペニスの先端を咥えられる、やべっスゲェイイッ
「んあぁっ」
そして違和感がより強くなる・・・冬樹の長い指が俺の中を掻き回している。
ぐちゅぐちゅとさっき俺が出した精液を使ってアナルを掻き回し、ペニスを舐める冬樹は凄く上手かった、余りの良さにまた頭がふわふわと真っ白へなっていく。
ぐちゅぐちゅっと冬樹の指を美味そうに俺が喰ってる。
「ああっやぁっあっんっあっ」
そしてペニスの裏側にあるしこりのようなものを引っ掛かれた時、俺のつま先から脳天までを快感が突き抜けた、
「ああああっんああっっやああっっ」
震える体と止まらない喘ぎに冬樹が気付いたように、其処ばかり攻めるっこのドSがっ!
グチュグチュッヌチュッ
音も激しくなって自分が誰なのか分からなくなるっと、突然、冬樹が俺から離れた。
ホッと息を吐き出したのも束の間、ジーッとズボンのチャックを開ける嫌な音がした。
思わず冬樹の方を見て後悔する、奴のペニスが猛々しく立ち上がっているのを見てしまった。
最悪だ。
「たっぷり鳴かせてやるから、黒琥」
最悪だ。
まだ体が快楽で動かない俺に冬樹が覆い被さってきて、俺のアナルへ冬樹の熱くて太いペニスがあてがわれる。
ドクドクッといってるのが分かった。
あの引っ掛かれた快楽を体が覚えていて、こんな太いので中を掻き回されたらと思うと怖い、真剣な薄藍の瞳に俺を映して冬樹がニッと獣のように獰猛に笑う。
「これで俺のもの」
玲瓏な声で言われた。
グチュリッという水音と一緒に灼熱のペニスが俺を穿った。
余りの衝撃に仰け反る。
「あああっっ」
俺はっっ!
「はっ信じらんねっ食い千切られそうっ!」
俺はっルシファーのヘッドだっ!!
そのまま冬樹は奥をグチュッとペニスでゆっくりと抉る。
その緩慢ともいえる動きに更に快楽を拾って、生理的な涙が零れた。
なんだよこれっ!!
初めてなら痛い筈だろっ!
それなのに俺は冬樹に抱かれて感じていたのだ。
グチュヌチュと水音がする。
「ダメだっあっそこっダメだっ!」
ペニスの裏側のしこりを突かれる。
「ここかよ?」
「あっあっんぅっふゆっ」
その度に体がビクッビクッと震えて、仰け反る。なんでっこんな感じてるんだよっ!
「可愛いなっ」
切羽詰ったかのような冬樹の声がする、ぺろりっと頬を舐められる、それさえも俺の体は快感を拾う、
そして次に冬樹はガツガツッと俺の奥へ腰を打ち付けてきた、俺ももうイキそうだっ
「俺の飲めよっ下の口からっ全部っ飲めっ」
「あぁっ!!ふゆっ」
「黒琥っ!」
ドクドクピュッピュルッ
熱く腹の中に広がる感覚にドッと汗が吹き出る、俺、中出しされた。
最悪だ。
俺はルシファーのヘッドなのに、なんでNO.3の冬樹に犯されてんだよっ!
パタパタッ
そして羽音がして・・・冬樹の背中越しにあの蝙蝠が飛んでいた。
そして奴は二ィッと笑って、こう言った。
「それは君がこのゲームの主人公だからだよ!!」
なんだよっそのクソゲーはっ!!!
←◇→