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やばい、
マルコと二人連れ立って、露天風呂へ向かう。
「貸し切っといたよい」
と言われて、本当に二人っきりなんだと思うと尚更、俺の体温が上昇した。
多分、マルコは俺たちの刺青を気遣って貸しきったんだろうと言うことは予想が付いていたけど。
隣りを歩くマルコを見上げ、
「そうか、贅沢でいいじゃん」
二カッと笑えば、マルコも微笑んでくれる。
あぁでも俺ってやばい。
こんなにマルコに惹かれてる。
ここの露天風呂は海が直ぐ側にあってドォドォッと潮の音が轟いている石造りのもので。
凄く景色がいい。
取り合えず海から見られるんじゃね、と言ったらマルコが大笑いした。
「誰も見ねぇし、見えねぇよい!何の為に柵があるってんだ。」
そしてマルコがおもむろに服を脱ぐ、
男らしく躊躇無く脱ぎ捨てる姿にドキッとしながら。
俺も続けとばかりに帽子を脱いでハーフパンツを脱いでいった。
互いに服を脱ぐ音。
かける言葉なんて知らない。
なんか恥ずかしいし。
兄弟だけど、マルコだ。
「行くよい」
そして互いにタオル一枚腰に巻いただけの格好になると、マルコが俺に言った。
どうしよう。
マルコの鍛えられた体が男の俺から見ても格好良くて。
胸が熱くてふわふわ浮つく。
まじまじと見たらツンと眉間を指で抑えられる。
「おい人の体、まじまじと見んなよい。」
でもマルコの表情は優しい苦笑。
「いや羨ましくて、」
と言うと、マルコがニヤッとからかいを含んで獰猛に笑う。
「そうか?じゃあ俺がエースと俺の違いを見てやるよい」
その表情に心臓が壊れそうだ。
マルコが上から下まで俺を見詰める。
ぞくぞくする視線。
熱い。
なんか空気も、俺の体温も、熱い気がする。
やばい。
やばいって俺の頭ん中やばい。
そして
俺の体を見詰めた、マルコは視線を合わせて。
からかいの表情で、
「もっと身長伸ばせよい」
と言った。
その言葉に、「なんだよっ」と普通の雰囲気に戻れて良かったと思った。
あの熱い雰囲気に、きっと俺はのぼせてしまうから。
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