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「おい、静雄着いたぞ、お前んち」
「うー」
静雄はタクシーが滑らかにマンション前に着いてもグッタリしたままだった。
仕方ない、一緒に家に上がるかしかないだろう。
俺は腹くくって、タクシー代を支払い、静雄を支えながらマンションの前まで来た。
「鍵、鍵どこだ、」
静雄に耳元で尋ねると少し反応し、「そこ」と静雄がポストを指さす。
かがんで(かがむと静雄の体重がこっちにかかってマジで辛かった)ポストに手を突っ込んでみると裏側に小さな箱があり、その中に鍵が入っている。
ガチャっとドアを開けて玄関で自分の靴を足だけで脱ぎッ散らかすと、今度は静雄を玄関に座らせ子供よろしく一足ずつ脱がせた。
「ホントどうした」
こんなに酒癖悪い奴だったろうか。
まぁ仕方ない俺はそのまま静雄を横に抱き上げる。
「んぅ」
と唸っても全然怖くはない。そのままリビングへ行って備え付けのベッドに静雄を寝かせた。
ドサッという音と共にベッドに俺と静雄の体重がかかる、共すれば押し倒したような格好に内心少し慌てた。
けど学生時代から考えて大人になったからこその、この距離感に少し俺は微笑んだ。
これが俺の日常。
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