◎きのせい? 小春side


「最終日の今日は、団体戦を行う。ただし、勝負がついてもシングルス1まで行うから、選手はそのつもりでアップするように。…それでは、今から各自30分アップをしてくれ!」


幸村くんが「解散!」と声を上げると、みんなそれぞれがコートに散っていった。それを見ていた私と心結に、景吾と幸村くんが近づいてくる。


「今日の試合なんだが、マネージャーも氷帝と立海で分かれてスコアを付けることになった」
「おお、なるほど」
「もし嫌ならいいんだ、氷帝とは敵の学校であることに変わりないからね」

「ちょっとそんなこと言わないでよう!4日間、一緒にやってきたんだもん」
「うんうん、私達なら大丈夫だよ!…じゃあ、んー、どうしようか?」
「あ、後で2人で話し合うから、跡部と幸村くんはアップ行きなよー」
「2人ともありがとう。よろしくね」
「お前ら、直射日光に当たらねえ所にいろよ」

「はーい!」
「はーい」


2人で返事をすると、景吾と幸村くんは私達に背を向ける。

そのとき、景吾が一瞬ふらついたように見えた。


「あ、景吾!」
「ん…どうした?」


振り返った景吾はなんともなくて。うーん、私の気のせいだったのかなぁ…。


「…ううん。ごめん、何でもない」
「なんだ?具合が悪いんだったら無理しねーで休んでろ」
「私は大丈夫!ごめんね、呼び止めて。頑張ってね」
「?…ああ」


景吾が再び歩き始めたのを確認して、私は心結が向かった木陰に走った。


「跡部どうかした?」
「ううん、何でもないよ。ごめんね」
「全然だよう。…そこで、小春さんお願いがあります」
「ん?」
「私、スコア書くのあんまり自信なくて…小春、立海の方行ってもらえないかなと思って」


「お願い!」顔の前に手を合わせて頭を下げる心結。確かに、いつもスコアは私が書いていて、心結は代わりにドリンクやタオルを用意していてくれていた。


「わかった、じゃあ私が立海ね!」
「小春ありがとうー!」
「ふふ、どういたしまして」





それは、アップ終了の5分前に起きた。私と心結はコートを見ながら、他愛も無い話をしていた。


「あーあ、明日からまた学校か…」
「4連休はさすがに少し嫌になっちゃうね」
「本当に!しかも合宿後なのに休みがないなんて…悲しい」
「それは言えてる。…しかも、今日は朝から暑いしね」


ふう。息をついて顔を上げると、目の前でアップをしていた選手が1人、倒れたのが目に入った。



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