◎笑顔が1番! 心結side


「あ、起きた?おはよう」


合宿2日目。まだ重たい目をこすると、おぼろげにだけど小春が見えた。


「ん、おはよ」


とりあえず小春の言葉に応えてから、私は立ち上がってコンタクトを付けるために洗面所へ向かった。





「小春ー、早くご飯食べに行こ!」
「ちょっと待ってーっ」


コンタクトを入れたついでに顔も洗ってすっきりした私は、ゆっくり靴を履く小春を廊下に出て急かす。


「朝ご飯何かなぁ、やっぱりホテルだしバイキング?」
「どうだろう、でも美味しかったらなんでもいいかな」
「あは、確かにねー!」


そんなことを話しているうちに、エレベーターの前に着く。小春が下向きの三角を押すと、ボタンはオレンジ色に染まった。


「あー、早く来ないかなぁ…」
「そんな急がなくてもご飯は逃げないよ?」
「だってお腹減ったんだもん。‥あ、4階で止まった」


「早くしてよねぇ」と私が呟くと、小春は可笑しそうに笑う。するとエレベーターが動いたようで、目の前で到着したことを伝える音が聞こえた。


「あれ、丸井くんと柳生くんだ。おはよー」
「お、心結ちゃん小春ちゃん。おはよ」
「おはようございます」
「うん、おはよう!」

「そういえば、心結ちゃん昨日は絆創膏ありがとな。男ばっかだと誰も持ってなくてよ」
「それもそうだよね。大丈夫だったー?」
「ばっちり大丈夫だぜい!」

「小春さんには、切原くんがお世話になったようですね」
「え、全然全然!」
「いえ、彼がお世話になったと言っていたので。ありがとうございます」
「いいよ、そんな」


軽く頭を下げる柳生くんに、小春は慌てて首を振った。柳生くんって、本当に礼儀正しい人だなぁ。
なんでまさとダブルス組んでるんだろう。不思議。なーんて言ったら、まさに怒られちゃうかな?…あっ、やっと着く!


「さ、皆さん出てください」


目的の階に着くとさりげなく開くボタンを押し、私達を先に出そうとしてくれる柳生くん。


「柳生くんって、本当に紳士!」
「まーな」
「って、丸井くんが威張るところじゃないでしょ?」
「うっ」


小春のツッコミに、丸井くんがやられたというような顔をする。それを見て、私達は笑ったんだ。





「あ、バイキングだ!」


朝食の会場は、昨日私達がご飯を食べたところとは違う、ホテルに泊まっている人が自由に食べれるようなところだった。ちなみに丸井くんと柳生くんとは、ここに着いた時点で別れている。


「心結はパンとご飯どっち派?」
「あたしご飯!小春は?」
「私はパンかな。じゃあ各自取ってきてここで食べよ!」
「了解!」





私がおぼんを持ってご飯のところに行くと、見知った顔が2つ。


「宍戸跡部、おはよー」
「お、おはよ」
「ああ、おはよう…心結はご飯か?」

「今日はなんとなくね!跡部と宍戸はご飯派なんだっけ?」
「俺様も今日はそんな気分だっただけだ」
「俺は元々ご飯派だけどな」
「へぇ‥あ、跡部は今からパンの方に行く?小春はパンの方行ったけど…。宍戸とは私が選んでてあげるよ?」


私がわざと考えたように言うと、跡部は呆れたような顔をした。って、そうしながらも、パン食の方ちらちら見てる。えへへっ。


「……お前楽しんでんだろ」
「んー、ま、頑張ってね!」
「それ返事なってなくね?」
「まーまー気にしない!…あれ、宍戸なんか髪濡れてない?」
「あー…朝寝癖酷くて髪洗ったの、まだ乾いてねーかも」


そう言って髪をかき上げた宍戸。どきん。……あれっ?い、今のはなんだろう?


「確かに、ドライヤーとかはいらなそうだもんね」
「ああ、夏はすげー楽」
「いーなぁ、私もそうなりたい!坊主とか絶対便利だよね、なってみたいなぁ」
「…心結は絶対似合わねーな」
「わかんないじゃん!跡部が坊主そこそこ似合ってたのと同じで、私も似合うかもしんないし」


そうだよ、案外イケるかも!もこもこ…。そう思って自分が坊主になった姿を想像しようとした矢先。


「じゃあ切るか?」

「えっ、や、それはやだけど!」


宍戸の思わぬ提案に、無意識のうちに嫌だと答える私がいた。


「いやなんじゃねーか、心結から言ったくせに」
「ま、今のは無意識なの!口が勝手に!…そんな責めないでよー!」
「くくっ」
「あっはは、心結いじんのやっぱり面白いな」
「え、えー!意味わかんない!」


いきなり笑い出したと思ったら、私が面白い?訳わかんない…私は全然面白くない!


「心結には一生わかんねーだろうな」
「ま、わかんなくていいことだから気にすんな、な?」


まだ笑いながら言う宍戸に、若干納得できないけど…。仕方なく首を縦に振ると「絶対わかってねーだろ」と跡部にまた笑われた。

今日は朝から笑ったり笑われたり、だなぁ。



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