スクアーロ生誕祭201 | ナノ

公私混同か否か


『私と一緒にこの男を斬ってください』



『隊長やヴァリアーの迷惑になるくらいなら死んだ方がマシです』



その言葉を聞いた瞬間、コイツは健気すぎて馬鹿なんじゃねぇかと思った。何でいつも俺のことを第一にして自分のことを考えねぇ。

今まで俺の下についた部下はまあまあいるが、こんなに健気に俺についてきたやつは始めてだった。だいたいが与えられた仕事をそれなりにこなすやつらばかりだった。

でもこいつは違う。仕事はできるし気も回る。何よりなまえはいつだって笑顔なのだ。嫌々なんて顔を見たことがない。

『隊長!書類まだ手伝えますよ!』

『コーヒー飲みます?紅茶の方いいですか?』

『隊長と戦ってるとすごく楽しいんです』


どんなときだって笑ってやがる。まぁ風邪の時は申し訳なさそうな顔だったが。でも少し話したらまた笑ってくれた。いつの間にかその笑顔がそばにいることが嬉しくなっていた。ただの上司でいるだけでは満足できなくなっていた。



だから、死んだ方がマシなんて言うんじゃねぇ。

俺の後をついてきて、俺の側にいつもいて、どんなときも笑っているなまえを手放したくはねぇ。

助け出したとき、なまえが少し涙目になっているような気がした。やっぱり死にたくねぇんじゃねぇかぁという言葉は言わずに、ただ俺の後をついてくるように言った。それでいい。組織のために死ぬとかお前には似合わねぇ。なまえは笑ってろ。ただ、笑って俺の側にいてくれれば、それだけでいいんだぁ。

らしくねぇかもしれねぇが、こんなことを思うのは俺もはじめてだった。ただ、誰にもなまえを渡したくねぇ。それがわかったならあとは十分だ。それさえわかれば、なまえの手を握って歩いていけばいいんだからなぁ。



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