スクアーロ生誕祭201 | ナノ

頼むから


キャバッローネファミリーから連絡が入った。そうボスから言われたらしい。

『それつまり尋問が…』

「ああ。どうやら噂は本当だったらしい」

隊長の口から聞いているが、つまり殲滅の決定が下されたというわけだ。

『ディーノさんは許可を?』

「まぁ迷ったらしいがこればかりは仕方ねぇ」

スクアーロ隊長曰く、ディーノさんは結構甘いところがあるらしい。出来れば殺生は避けたいという考えの持ち主らしく、どんなときでも生かす方法を考えるらしい。
ただ、今回はボンゴレのためにもキャバッローネのためにもこの決断をしたということらしい。

「で、今日の夜は任務だぁ」

スクアーロ隊長が私に書類を渡した。

『相手ファミリーの殲滅ですね』

肯定の声が聞こえ、私はその書類をしまった。

「出発は夜9時半だぁ」

完全に夜の任務だ。

『わかりました』

相手ファミリーには、どんな手練れたちがいるのだろうか。失礼しますと頭をペコリと下げて、私は自室へと向かった。

短剣や銃、ナイフ。小型爆弾などを隊服に忍ばせて、予定通りアジトから出発した。車で道のあるところを通るよりも道じゃないところを走る方が早いので走る。相手ファミリーのアジトはそこまで遠くない。部下と私は裏口から突入する。隊長と数人の部下は正面突破だ。

「う゛ぉい、なまえ準備はいいかぁ」

『はい』

「カウントのあとつっこめぇ」

以前と同様に、3,2,1でつっこんだ。何者だ!?という声が聞こえる。下手に騒がれる前に、ナイフでその男を黙らせた。下手に銃声などで感づかれて上層部に逃げ出されては元も子もない。でも、通信機の向こうから聞こえてきたのはそんなことなんて考えてもいなさそうな隊長の声だった。

「う゛お゛ぉぉぉぉい!弱ぇぞぉ!!!」

その聞こえてきた声に思わず笑みがこぼれる。誰一人逃がさないであろうその実力ゆえにこんなことができるんだろうと考えたら、私も早く合流したくて、周りの男たちを一気に剣で片付ける。1階は恐らく完璧だ。私は目の前の階段をかけ上がったのだった。


「ヴァリアーだな」

聞きなれない低く冷たい声。声の方を見ようとすれば、その声の主はもう背後に迫っていた。暗殺部隊の幹部補佐としては情けない話なのだが、それどころではない。気配の消し方がうますぎる。全く感じなかった。銃が背中から心臓の辺りに当てられたことがわかる。ああ、死ぬかもしれない。そう思った。耳につけていた通信機が壊される。

その後その声の主の部下であろう男がきた。

「正面を突破してきているのはヴァリアーの隊長スペルビ・スクアーロだと思われます」

「この女は?」

聞けば聞くほど恐ろしく冷たい声だと思った。

「…まさかベルフェゴールも来ているのか?」

「いや、まだそいつの存在は確認していない」

「こいつはベルフェゴールの部下です」

なぜそこまで詳しく知っているのか。まぁ、スクアーロ隊長のもとに異動となったことは知らなかったらしいが、なぜ私の顔まで。

幹部クラスとなれば、相当名前が裏社会に轟いている人間が多くなるが、私のような幹部補佐やその他の部下は全くといっていいほど、社会に名前が出回らない。それこそ同盟ファミリー同士で話し合ったディーノさんくらいしか私のことを知らないだろう。

「まぁいい。コイツは生け捕りだ」

後手に手錠がかけられる。ロープなどなら自分で切れたが、手錠となると一筋縄ではいかなそうだ。

「仲間でも目の前で殺されそうになればすぐ落ち着くだろう」

冷たい声の主の顔をこのとき始めてみた。声だけでなく、目までもが恐ろしく冷たかった。人としての温もりがないような、そんな目。

『そんなことするなら殺して』

スクアーロ隊長の足を引っ張ってしまうことになるとは情けない。すごく、すごく情けない。悔しくて手錠をはずす方法を考えようとするが、何も浮かばない。焦燥感ばかりが胸を占める。

「死ぬかどうかは二代目剣帝次第だな」

歩け、と後ろから思いきり蹴られた。その衝撃に前へふっとび、手が使えないので受け身もうまくできない。近くの壁に激突して、壁が壊れる。肋骨から嫌な音がした。恐らく骨が少なくとも一本は折れている。

「横になるな。歩け」

そう言われてまた蹴られた。腹部を蹴られてものすごい嘔吐感に襲われた。ああ、隊長に会いたい。そうだ。足は自由なのだ。そう思って私はどうにか立ち上がり、隊長が入ってきた正面へ向かって駆け出したのだった。



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