あのこのハートをもてあそぶ

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「ペンちゃんって本当にお肌が白くて木目細かいわよねぇ〜!何で?北国だから?北国出身だから?」

そう言いながら子供にするみたいに俺に頬擦りするのはやめてほしい。向こうからとてつもなくどす黒いオーラを感じて冷や汗が止まらない。その気配の主は我らが船長。どうやらお気に入りのナマエが俺にばっかりかまっているものだから相当機嫌が悪いようだ。

この目の前のオカマ(正確には口癖で本人はノンケとのこと)は、船長の好意を知ってか知らずかいつも俺やシャチに絡んでは船員全員をヒヤヒヤさせるのだ。毎回そのフォローに回る俺たちの身にもなってほしい。
しばらく俺に頬をすり寄せていたナマエだったが、ようやく剣呑な気配を感じ取ったのか、船長の方を見やった。途端に顔を顰めて彼に詰め寄る。

「やっだ!もうローったら!そんなに眉間に皺をよせるとクセになっちゃうから控えてって言ったじゃないの」
「地顔だ」

ぶすりと頬を膨らませながら、顔を背ける船長。怒ったようなしぐさはしているものの、彼の関心が自分へと向いたことで少し嬉しそうだ。船長の顔をじっと見ていたナマエだったが、不意に彼の顎をつまみ、くいと自分の方に向けた。

「……でも最近、私の言う通りにスキンケアしてるから。お肌すべすべねえ」

そう言いながら、頬から顎にかけてするりと撫でる。ああ、やばい船長がときめいちゃう。

「もともとお肌が木目細かいから乾燥肌になりやすいのよねぇ。でもほら、いまはとてもしっとりしてる…」

指先でゆっくりと顎をさすると、船長がふるりと小さく震えた。

「ナマエ、っ…」
「あっ!シャチー!あんた昨日夜更かししたでしょ?!」

船長がナマエの手をとる前に、その手はするりと船長の頬を離れてしまった。じっとりとシャチを睨みつける目線が本気で怖い。

そんな様子をぼんやり眺めていると、ふと、ナマエがちらりと船長の方に視線を移したことに気付いた。船長は毛羽立った心をなだめるためにベポの毛並みをなでることに集中していてその目線を感じ取ってはいないようだ。

すると、ナマエは。不満げな船長の顔を確認し、くすりと。至極ゆかいそうに小さく笑ったのだ。

……先ほどの、船長の好意を知ってか知らずか、という一文は訂正する。こいつ絶対わざとだろ。船長の反応を見て楽しんでやがる。
哀れな船長に心から同情しながらも、またナマエに捕まらないうちにと倉庫へと逃げた俺は決して悪くないはずだ。

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