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  きみにだけ


気まづさと恥ずかしさを感じながら、書類を眺める。その原因は何かと言うと、私の膝の上に頭を乗せてソファに堂々と横になっているロブ・ルッチその人だ。
唐突に私の前に現れたルッチさんは、ソファで書類を読んでいた私の膝に遠慮なく頭を乗せてきたわけだ。…わけは、わからない。どうしてこうなったのか。
肝心の彼はというと、長いまつ毛を伏せて静かに横になっている、…だけ。話す訳でもなく、いつもながら触ってくるわけでもなく…やけに静かだ。
だから余計、私は妙に気まづくて恥ずかしいのかもしれない。

「…ルッチ、さん?」
「…………」

小さく声をかけると、ルッチさんは不機嫌そうに目を開いた。そして睨まれる。(そんな睨まなくても…)
膝が辛くなってきましたと呟くと、知らんと言いたげに体を横に向けてしまった。長くてすらっとした鼻先が私のお腹に触れそうでちょっとビクリとする。
そんな私を横目にちらと見ると、私の反応を察したように腰に手を回してお腹に鼻先を埋めてきた。

「〜〜……ルッチさん」
「なんだ」
「…その…恥ずかしい、のですが」
「知らん」

さっき想像したような回答。
ぎゅうっとその腕に力を込められて、書類どころではなくなってしまった。うぐ、と唸ると、ルッチさんは徐に制服をめくり始めて、お腹に噛み付いてきた。

「ッい!?る、ルッチさん何ッ」
「…るせェ」
「うるさくなッ…やめ!んッ…!」

何度も何度も角度を変えて噛みつかれる。なんでこんなことになった。痛い、んだけど、妙に生暖かい舌の感触も感じるからか、ゾワゾワと鳥肌が立つ。背中には電流が走っているみたいだ。
頭を押し返してもどく訳もないけれど、力を手に込め続ける。暫くそれが続いてから、飽きたのかふとそれが止まった。 するとルッチさんは噛みついていた部分にキスを数回落としてから、すり、ともう一度鼻先を寄せる。
何だか、彼らしくないと、ふと思う。

「どうかしたんですか、?」
「…何故」
「疲れてるのかなって」
「ほう?」

言い終わってから、はっとして口を抑える。心の声のつもりが、そのままペラペラと喋ってしまった。
まずい、と思ってはもう遅い。お腹が圧迫から解放されてゆらり、とルッチさんが起き上がる。ウェーブがかった髪に顔が隠れて表情が読めない。…読めない、けど、これは

「…もっと、構って欲しいということか」

したり顔だ。

こうなってはもう違うといっても無視だろう。それどころか何をされるかわかったものじゃない。頭を抱えていると目の前の男は膝をソファにギシリと掛けて、私の逃げ場を無くす。
長い髪を耳にかける仕草がムカつくほど色っぽい。

「構って欲しいのはルッチさんじゃない」
「減らず口」
「そうじゃないですか!心配してるんです私は」

そう言うと、ポーカーフェイスが少しだけ揺らいだように見えた。それを私なんかに悟られるくらいには…疲れているんだろうな、なんて思う。
じ、っと鋭い瞳を見つめると、観念したかのようにため息をひとつ落として私の隣に座り直したルッチさん。

「素直に言えばいいのに」
「……俺が?」
「そうですよ。ルッチさんだって人です」
「…フッ」

笑うところではないのですが。
むむ、と唸って下を向く。何故笑ったのかと解いた出そうと顔を上げるとと微笑んで表情が柔らかくなったルッチさんがいつの間にか目の前にいて。眉毛と髭は相変わらず不思議だけど、整ったその顔にドキリと心臓が高なった。

「お前は、…バカヤロウだ、やはり」
「し、失礼な…ンむッ」

暴言だと言い返そうとすると、顎をくっと長い指に引かれてそのまま唇が重ねられる。静かに1度離れたとき、「何を」と呟くと「さァ」とだけ答えが返ってきて、もう1度ルッチさんの薄い唇が私の唇を食らう。
先程と違って、口内に侵入してこようとする舌を唇を閉じてどうにか押しかえそうと抗った。するとルッチさんは制服の中に手をするりと潜り込ませてきて、肩がびくりとと跳ねた。その隙を見逃さず、口内に舌が入り込んでくる。

「、っふ…ァ、…ンん」

くぐもった声と、ぴちゃ、と舌が絡み合う水音が私の耳に届いて羞恥心がさらに高まった。
肩を必死に押し返してどうにか離された唇。微かに彼の温もりが残っているのを振り払うように、ルッチさんを睨みつける。…けれど、このスキンシップがルッチさんらしいところがあって、それが戻ったということは、少し元気になったのかな、と思ってしまう。なんて……つくづく甘い。

「そんな顔をするな」
「ッルッチさんの方が、バカヤロウですッ」
「フフ…」

ルッチさんはなんと言うか、余裕がある。私はこんなに余裕もなくて、ルッチさんにからかわれるたびドキドキしてしまうのに。それでも小馬鹿にされているみたいで、どうしたって腹も立つのだけれど!

「… ニナ」
「え、はい。」
「疲れた。…甘えさせろ」
「…」

唐突に降ってきた衝撃の言葉にあんぐりと口が塞がらなくなった。
今、ルッチさんが言ったの?
あまりの驚きに思考停止していると、ルッチさんが不機嫌そうに少しだけ恥ずかしそうに私の頬を引っ張ってきた。

「いっつ、つ」
「お前が言ったんだろう………」
「ふぇ?」
「…素直に、言えと」

そう言うと、チッと小さく舌打ちをして顔を背けてしまった。微かに見える彼の耳が、珍しく、本当に、珍しく少し赤くなっているように見えて、思わずニヤ、と口角が上がってしまった。まさかまさか、ルッチさんを可愛いなんて思う日が来るなんて。(後ろに可愛い猫さんが見える)
その顔を追いかけると、また背けられ、また追いかけると頬をガっと掴まれてしまった。

「覚悟しろ、ニナ」
「………ふ?」

「言わせた分、甘やかしてもらうぞ」

いつの間にか猛獣に代わった背後霊。サアと血の気が引いたけれど、後の祭りだ。そのままガブリと唇を食べられて、これでもかと味わわれる。両手をしっかりホールドされた私は、絶好の餌食となってしたまったのだ。










きみにだけ











ぼくのほんとうのきもちを


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キリ番リクエスト
「my dear主に甘えたいルッチ」でした。
ご希望に添えてるといいなあ、…!
ルッチは強いですけど、弱くあってほしいです。(願望)
気を許した1部の人間には本音が言える…といいなあ、とか思いながら。それを夢主ができるといいなあ…なんて。
リクエストありがとうございました!!

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