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  ちょっとくらい


それでなくても、それぞれがそれぞれに個性が強くてなんとも五月蝿いのに。それが3人そろったらどうなるかって…

「オイ!酒追加だ!」
「むぐぐぐ!!肉ふも!」
「少しは静かに食えねェのか…ってオイ!俺はパンは嫌いだと言っているはずだ!」
「テメェの好き嫌いなんか知るかバーカ!」
「肉うぅ!!」
「テメェ!!人のを盗ってんじゃねェ馬鹿猿!!」

…………こうなるわけで。
滅多に遭遇することもないこの3船長が一同に会してしまうのは、中々レアなもので。しかし、私やきっとクルーたちにとっては胃が痛いものだ。(ほら、あっちでナミとキラーとペンギンが頭を抱えてる)
それぞれの海賊団が、バラバラにこの島に来てくれることはあった。私に会いに来てくれる。けれど、この中で2つの海賊団が一緒になっても、3つは今までなかったのだ。今までなかったのが、幸福に感じる。彼らのために店も貸切にして、大騒ぎだ。

「ニナも大変だよな」
「分かってくれるの?シャチ」
「この状況見てたら思うだろ」
「ゾロ…じゃあ手伝ってよ」
「それは俺の仕事じゃねェ」
「俺にお任せ下さい、ニナさん」
「お、お願いね。サンジ」

濃い。3つの海賊団濃い……。
こんなことがあっていいの??疲れる。
と、思えてる位がまだマシだったのだ。

サンジと次の料理について話していると、突然体がびょんっと引っ張られる。その勢いに息を飲んで声も出ない。ぎゅうっと暖かい体温に包まれたと思ったら、そこは見事にルフィの腕の中。…何でこうなった。

「サンジばっかズリぃ!俺にも構え!」
「ええ……どこの誰のせいでご飯作るの大変だと思ってるの…」
「ギザ男だろ!」
「「いやお前もだ」」

ルフィにギザ男と呼ばれているキッドと見事にハモった。ルフィとこうやって揃って気づく新たな事実は、キッドが実はすごく大食いだったこと。まさかのルフィにも引けを取らないという。…食料庫尽きちゃうよ…。

「オイ麦わら屋、ニナを離せ」
「いやだ!ニナは俺ンだ!」
「いやそれは違うかな」
「いーやーだ!俺のだ!」

むぎゅうとルフィの伸びた腕が私を抱きしめる。力が強すぎてちょっと苦しい。

「これだから馬鹿猿は。無理にして、それこそニナに嫌われるのが分からねェのか」
「ぅっ…………」

あ、そこ押し負けるんだ。なんて思っていると、巻きついていた腕がぎゅるるっと元に戻る。苦しさから解放されると同時に、ルフィにぐっと顔を寄せられた。

「………嫌いになってねェか…?」

珍しく弱気な発言もあるものだ。眉をひそめてそう呟くルフィは、何だか少し可愛い。

「そんなに心狭くないわ、私」
「そ、そうだよな!う〜ニナ〜!」
「ちょ、ル…うわっ」

ルフィに再び抱きつかれる寸前に、襟をぐいと引かれてぼふんと後方に倒れ込む。そのままお腹に回された右手は、キッドのものだ。

「単細胞野郎。」
「何だと!」
「少しは頭使いやがれ、馬鹿が」

べぇ、と赤い舌がルフィを挑発する。ムカムカと効果音が出ていそうなルフィだが、そこにサンジが大きなお肉を運んできたものだから、そちらに気が向いたようで、またガツガツと食べ始めた。

「助けてくれたことにはありがとうなんだけど、離してくれる?」
「あァ?お前はここにいりゃいいんだ」
「でも、これじゃ貴方何も食べれないじゃない」

キッドは左腕がないから。唯一自由な右手は私のお腹に回っていて、当然に何もできる状況にないのは、一目瞭然だ。
キッドはそれにニヤ、と口角を上げて言った。

「お前が食べさせてくれンだろ?」
「は」
「それとも何か、助けてやった借りも返さねェ女なのか?お前は」
「…ムカつく」
「そりゃァどうも」

私がどう答えてどう対応するのかも、キッドは想像できていて、掌の上で踊らされてるのも分かっている。けど、そう言われたら借りはそのままにはできない性分で。お皿のピザを1切れ掴んで差し出してやる。それを嬉しそうに頬張るキッドを見ていると、差し出していた手をがっと掴まれてそのままべろりと舐めあげられる。

「っ…な!!」
「ソース、ついた」
「だ、だからって舐めなくていいっ…ン!」

指先をじゅ、と吸ってから舐めるそのいやらしさに思わず体が跳ねる。少し熱をもった瞳とバチりと目が合って、まずいと危険信号がなる。

「あ、あのっ」
「シャンブルズ」
「───きゃっ!」

キッドに辞めるようもう一度伝えようとした時、何故かいつの間にか体が宙に浮いてどさりと落ちる。その先は、ローの体の上。

「ッロー」
「好き勝手され過ぎだ、馬鹿」
「ち、ちがう!あれはキッドが」
「邪魔すんなトラファルガー!」
「邪魔?どっちが」

キッドの方を伺うと、酒を頭から被っていて。ああ、シャンブルズだったのかと納得する。

「オイ。そんなにユースタス屋がいいのか」
「え?違うよ」
「誰がいいか言ってみろ」

あ、ちょっと珍しい。
ローはほんとはヤキモチ妬きのくせ、私や他のみんなの前では強がってそれを出さない時が多い。余裕ぶってる振りをする。(エースのときもそうだった)きっといつもなら「俺がいいだろ」とでもいうところだ。
けど、今のローは、はっきりと

「……ふふ、」
「…… ニナ」

ヤキモチを妬いてます、って顔だ。

「ローが1番よ。ローがいい」
「……当然だ」

への地に曲がった口元が、何とも可愛らしくて、今日は私も珍しく、私からその唇に口付けをした。










ちょっとくらい










そういうのも見たくなるじゃない?



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uriさんよりキリ番リクエスト
3船長でロー落ち夢でした。
my honey主がご希望ということで、がんばりました…!
個人的には、3船長の中で1番の常識人はキッドだと思っているので、真面目な発言とか良識ぶった発言が多いイメージです笑
my honey主なので、周りからどんなアプローチ受けようと、ローにしか心はない。そんなお話がかけたらいいなと思いました。
いかがでしたでしょうか?
リクエストありがとうございました!

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